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緊急速報メールの「避難勧告」メールについての問題

 台風19号はほぼ全国縦断というコースを取ったことにより、多くの地方で被害が出たようですが、被害に遭われた地域の方には心よりお見舞い申し上げます。ただこちらの方も本日未明に台風が通過する予定になっているので、被害が出るかどうかというのはわからないまま書いています。ただ、大きな台風が来る前にやってきた緊急速報メールについて、これでいいのかと思ったので今後のためにも少し書かせていただきたいと思います。

 昨日の夕方4時0分に、私の住む地域を含む広域に避難勧告が出ました。ちなみに、その前に避難準備情報が出たのですが、念のためと避難所となる近所の学校を見に行ったところ、門は閉ざされ人のいる気配がなく、本当に避難準備情報が出されたのか疑ってしまうほどでした。しかしその後、携帯電話やスマートフォンのアラームがけたたましく鳴ったことにより、緊張感が高まってきました。何の設定もしないまま緊急速報メールを受け取る設定にしておくと、災害による避難勧告が出た際にもアラームが鳴ることがその時にわかったのですが、そのメールはこのような形でやってきました。

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 画面が小さいのでわかりづらいかも知れませんが、5通の緊急速報メールが届いています。5通は同時に届いたのではなく、時間をおいてやってきました。内容は全て、16時00分に静岡市内の各エリアに発表された避難勧告についてのものでした。備忘録として、やってきた時間をここに書いておきます(auの緊急速報メールの場合で、auのMVNOであるmineoで問題なく受信できました)。

一通目 16:17
二通目 16:38
三通目 16:33
四通目 16:37
五通目 16:41

 何回もスマートフォンや携帯電話がけたたましく鳴ることについても辟易しましたが、私の住んでいる地域に避難勧告が出たことを知らせる「速報」メールが、避難勧告が発表されてからおよそ40分後、最後の五通目として16時41分に届いたということの方がショックが大きかったですね。もし緊急速報メールからの情報だけで避難を決定するようなことがあった場合、勧告が出てからかなりの時間が経っているので、もしこれが避難勧告後すぐに竜巻などで家が飛ばされてしまうようなことが起きたら、メールを出し遅れた側の責任は少なからず追求されたことでしょう。

 幸いにしてメールが遅配されたことによる致命的な影響は出ませんでしたが、今回の体験から改めて行政の出す情報を全面的に信頼することはせず、インターネットやテレビのデータ放送、ラジオなどあらゆる情報源から自分のいる場所に何か避難勧告は出ていないのか確認することが大切だと悟りました。

 今回のメールが5回に分けられたのは、私の住んでいる静岡市が周辺の市町村と合併し、大きくなっていったことと関係があるように思います。一通で全ての地域の情報が配信できないので、地域ごとに5通に分けていたとしたら、静岡市と同じように合併で大きくなった市にお住まいの方は同様のメール遅配が起こる可能性がありますので、早めに情報入力を心がけるようにしてください。


ぷららLTEで実用的になった? SOLIVE24

 旅先で天候の急変に遭遇したり、台風が予想した進路を通らずに進行方向に不幸にも向かってしまった場合、最新の気象情報を入力するためにはラジオからのニュースや、インターネットの文字情報を利用するのが基本でした。というのも、テレビの情報を入手しようとしても市街地以外でワンセグの電波をまともに捉えるのは難しいということと、ワンセグを見る場合、大きくても5インチ前後のスマートフォンで見るため、天気図や雲の様子など、小さくて見えにくいというのが問題のように思います。ノートパソコンやタブレットにテレビチューナーユニットを接続して見るということも可能性としてはありますが、受信環境は場所によって左右され、どこでも快適に見られるということではないので、動画のある気象通報は外では見られないことを前提に対策を立てるように今まではしてきました。

 しかし、3Mbps上限のスピードでNTTdocomoのエリア内でのデータ通信が無制限で可能になったぷららのLTEサービスが使えるようになったことで状況が変わってきました。だいたい1Mbpsのスピードが出れば、YouTubeのような動画も出先で快適に見られると思うのですが、このぷららのプランでは、今後ユーザー数の増加によりどうなるかはわからないものの、これを書いている現在では安定して1Mbps以上のスピードが出ています。

 今後はテレビのオンデマンド放送をネットで見られるようになればと思うのですが、なかなか実現に至る問題が多そうなので、せめて気象通報ぐらいは見られるようにできればいいと思っていたところ、すでに行なっているところがあったのを思い出しました。ウェザーニュース社が24時間生放送している「SOLIVE24」です。

 この「SOLIVE24」は、インターネットからの動画配信だけでなく、BSの受信できるテレビであれば、データ放送のチャンネルでだれでも見ることができます。自宅にBSが見られるテレビがある方は、BS放送を見ている状態で「Ch番号入力」のモードにして、チャンネル番号の「910」を入力してみてください。そのままでは小さな窓の中のみ動画になっていますが、画面のメニューから「動画拡大」を選ぶとそれなりに視聴することができるでしょう。天気専門チャンネルですが大きな災害が起きた際には特別編成になり、より情報が得やすくなりますのでNHKのニュースでも情報が得られないと思われた場合は、こちらのチャンネルに切り替えてみるのをお勧めします。

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 インターネット経由で見る場合は、パソコンの場合は専用ソフト「ソラマド」を導入すると(無料の会員登録が必要)、チャット機能も使いつつ配信を受けることができます。スマートフォンの場合でもアプリの「ウェザーニュースタッチ」を導入すれば生放送を見られますが、写真にあるNTTdocomoが販売している格安タプレっとのdtabはアプリがこの機種に対応していませんでした。アプリを使える場合でも、アプリ経由から生放送を見ると画面の大きさに制限があるようなので、以下のリンクから生中継の動画を、動画プレーヤーを起動させてそこから見ていますがなかなか快適です(パソコンなど、お使位の端末によっては見られないこともあります)。

http://weathernews.jp/s/solive24/

 もしこのリンクから見られない場合は、ネット検索で「SOLIVE24」と検索してその先から生放送に入ってみてください。アンドロイド端末でご覧になる場合は、フリーアプリの「MX動画プレーヤー」と併用するのがおすすめです。

 このようにして、ネットが無制限に利用できる状況でうまくSOLIVE24が見られる環境が整った場合、車の中やキャンプ場の中で長時間見続けることが十分考えられます。せめて夜ずっと生放送を見ていても大丈夫なように、視聴する端末にはセカンドバッテリーをつないでおけば安心です。その際、同じくらいのバッテリーを2つ用意しておき、昼間に走行しながら充電できる環境を整えておけば、昼間の走行距離にもよりますが、安定して夜間の動画閲覧に効果を発揮します。大容量のセカンドバッテリーを用意しておくのもこの種のサービスを旅行中に利用するためには必須であると思います。


太知ホールディングス 備蓄ラジオ KOBAN ECO-5 の潔さとは

 手回しハンドルの付いた携帯ラジオというのは実に多くのメーカーから発売されています。私が認識している範囲では、ソニーのICF-B200あたりではないかと思います。出てきた当時は、ついに電池がなくても聞けるラジオが出たかと感慨したものでした。私自身このラジオは買いませんでしたが、ソニー系列のAIWAから出た手回しラジオを購入し、今も持っています。ラジオとサイレン、ライトが付いていましたが、当時はまだLEDが普及していなかったので手回し発電だけでライトを普通に使うのは厳しいものでした。

 ソニーの手回しハンドル付きラジオとしては、現行機ではICF-B88あたりが国内で販売されているものの中では全体的にしっかりした作りになっているだけでなく、以上のような特徴があります。

・手回し充電だけでなくAC電源からや太陽電池で、内蔵充電池の充電が可能
・LEDスポットライト搭載
・汎用USB端子採用で携帯電話だけでなくスマートフォン充電にも対応
・単三電池2本による駆動も可能
・防滴機能でキッチン回りでも使用可能
・ケーブルだけでなくキャリングポーチ、ハンドストラップ、ホイッスルが付属

 形状的にもしっくりと手になじみ、ハンドルも回しやすいように作られています。また、操作関連の部品もしっかりしていて、高い評価があるのも頷けます。しかし私はこのラジオを買わず、今回紹介する備蓄ラジオECO-5というかなり安っぽいラジオを買ってしまいました。

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 このラジオは実売価格も同メーカーの前機種と比べて安いのですが、実はそれはかなり思い切っていろんなところを省略しているからでした。具体的には、以下のようなところです。

・使用電源は内蔵のキャパシタのみで、AC電源はもちろん、乾電池にも対応していない
・他のラジオには良くあるサイレンは無搭載
・防水機能はなし
・付属品はスマートフォン用のケーブルと携帯電話用の変換器具のみ

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 それでも、写真のようにLEDライトや普通のUSBスロット(給電用)、イヤホン端子は装備されているので使い勝手に不自由はありません。むしろ乾電池が使えるからと本体に入れたまま非常用持ち出し袋に入れておき、液漏れ事故等で使用不能になる危険性はないと言えます。メーカーが名付けた「備蓄ラジオ」というのは伊達ではないといった感じでしょうか。そして、この割り切りによって本体の大きさが大変小さくなっています。常に持ち運ぶラジオとしても魅力的に私には映りました。

 ただ、ラジオとしての魅力とともに総合評価すれば、一般的にはどうしてもブランドイメージが上のソニーのICF-B88を選ぶ人が多いと思うのですが、私があえてECO-5を選んだのは、以上のような割り切りが気に入ったことと、電源に充電池ではなくキャパシタ(コンデンサ)を使っていることに尽きます。ここでは何回もキャパシタの特性を紹介してきましたが、化学変化を利用して蓄電する充電池では何回も充電するうちに短期間の使用でも劣化が起こるのに対し、キャパシタは単に電気をためて放出するだけなので、比較的劣化せず半永久的に使えるという特徴があります。

 充電池が劣化した場合、充電しようとしてもほとんど充電されないようなことが起こります。それでも、ラジオはそれほど電力を使わないので、かなり充電池が劣化しても使用している上での変化は感じないと思いますが、併用するライトの性能には差が出てくることは予想されます。防災用としてライトを使おうとして、たくさんの回数ハンドルを回しても、少しの時間しか点灯しないということになったらあてにしていた明かりの用途にはならないわけで、やはりせっかく防災用として買うなら、キャパシタを使っているものの方がいいだろうと思ったわけです。

 選局方法はアナログなので、慣れないうちは目的の放送局に合わせることは難しいかも知れませんが、地方局が安定した状態で入感する場所でなら十分な感度を保ちます。ただ、FMはしっかりロッドアンテナを伸ばさないと安定しません。スピーカーからの音質はキンキンしたようなことはなく、そこそこ聞きやすい音質なので、本体の小ささを生かしてバッグの中に入れっぱなしにしておくにはいいラジオだと思います。あと注意したい点は、AM放送の聞ける範囲は530~1600KHzなので、高速道路や国道向けの交通情報は聞けません。こうした欠点があり、見てくれやラジオとしての中味は決して最高のものではないと思いますが、これ一台でラジオ・ライト・スマートフォンの充電がいざという時にできるという安心感は十分あります。非常用持ち出し袋に入れておくラジオとしてはこれがあれば何とかなると思いますが、これに短波が付いていたら、いざという時にラジオNikkeiが聞けたかと思うとその点が残念です。


吊り下げ式かとり線香皿はひとつ持っておこう

 車中泊用として夏の害虫対策を考える場合、その効果がどれくらいかというのはもちろん大切ですが、それ以上に車内にこもるにおいについても気にすべきだと思います。そのため、あえて導入への検討をして来なかったものに「蚊取り線香」があります。これは車内だけでなくテント内で使ってもかなり煙くなりますし、人によっては目が痛くなったりするかも知れません。

 しかし、蚊を媒介とするデング熱の流行によって状況は変わってきました。さすがに車内では電池式の蚊取り器のようなものを優先的に使い、蚊取り線香をメインには使いませんが、車の外側に置いて車に蚊が入ってこないようにしたり、車を降りて外で活動する場合に、周辺に蚊を寄せ付けないものとしてはやはり蚊取り線香が最強ではないかと思います。そして、スプレー式など付けた人にしか効かないものではなく、煙が回る範囲なら複数の人を守ることができるというメリットもあります。スプレー式の蚊を寄せ付けない薬剤は一人で移動する際には便利ですが、車内に放置すると爆発する危険がありますので、持ち運んで使う場合にはその取扱には十分注意する必要があるでしょう。

 そうは言っても、蚊取り線香を使う場合も、やはりその取り扱いに難しさは出てきます。使用するのに線香と同じですから火事の危険があり、頻繁に移動するような用途にはそのままでは適しません。そこで、新たに導入する価値があると思うのが、火をつけたまま持ち運び可能な吊り下げ式のケースの存在です。

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 この製品は私は100円ショップで見付けることができました。機能的に普通に売っているものとの違いはそうはない印象ですので、見付けたら1つ2つ買っておくというのもいいのではないかと思います。最近は蚊取り線香でも、らしくない香りのするものもありますので、好みのものを使えばいいと思いますが、写真のものはスタンダードタイプの蚊取り線香用です。メーカーによっては一回り大きいジャンボサイズの蚊取り線香があり、持続時間に優れますので、ケースもジャンボサイズ用のものを用意しておけばレギュラーサイズのものも使えます。さすがに大きなものは100円ショップにはありませんが、必要に応じてはサイズにこだわってみるのもいいでしょう。

 私はこのケースの中に入れる蚊取り線香もセットで用意してはいるものの、恐らく必要になれば日本全国どこでも手に入れることは可能ですし、災害時の支援物資としても届くのではないかと思います。ただ吊り下げ式のケースを現地で手に入れることができない環境も出てくると思いますので、携帯用としてだけでなく災害時の二次被害を防ぐためにも(火が落ちて火事になる危険を回避できます)シーズン終わりで手に入るうちに入手し、車の中や非常用持出袋の中に入れておくのを個人的にはおすすめしておきます。


発展途上国に向けた製品開発がもたらすもの

 先日、地方発のテレビニュースを見ていたら、いわゆる発展途上国で生活している現在は購買力の低い人たちに向けた日本の会社の事業展開について報道されていました。日本国内でも貧富の格差が問題になっていますが、発展途上国ではさらにひどいことになっていて、富裕層・中間層以外の人がべらぼうに多いということで、その人たちに向けての事業展開を考えているということでした。

 こういったやり方は、各々の購買力は低いものの何しろ大勢なので、トータルで考えると大きな取引になる可能性があり、さらに便利な製品を使ってもらうことで、いわゆる低所得から脱却する人を増やす狙いもあるようです。中間層まではいかなくても、それなりに生活が豊かになれば日本企業だけでなくその国の人たちのためにもなるとのこと。

 このニュースを見ていて私が思ったのは、発展途上国向けに作られた製品であっても、日本国内で需要を喚起するものであれば、日本での業績アップにも貢献するのではないかということです。ニュースの事例の中で、主に灯油を使った暖房器具を出していて、私にとっては災害時の明かりとしても使えるので注目している「レインボーストーブ」を出しているTOYOTOMIという企業が出てきました。この会社は発展途上国向けに日本でも発売されている灯油を使ったコンロを販売しているそうですが、実際に現地で使われる実態を見るとその使いにくさが明らかになったそうです。

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 具体的に言うと写真のようなコンロなのですが、この製品は日本のお座敷文化に合わせて作られているもので、畳に直置きすることで操作することが前提になっています。しかし多くの国ではテーブルの上に載せて使うことが普通なので、日本の製品をそのまま使うと、バンザイをしながら調理することになってしまい、現地では大変使い勝手が悪いということです。

 こうした不具合を解消するため、メーカーではテーブルに置いたままでも使いやすいように、カセットコンロや小ぶりのキャンプバーナーのような形状の製品を試作しているそうです。もしそうした製品が出てきたら、ぜひとも発展途上国向けだけでなく、日本国内で売ってほしいですね。私が欲しいということもありますが、結構需要があるのではないかと思います。カセットコンロは確かに便利ですが、カセットガスの空き容器の始末や炎天下の車の中に放置しておくと爆発の危険があることを考えると、防災製品としては比較的安全な灯油を使え、冬に石油ストーブを使っている家庭ならとりたてて備蓄をしなくてもいいというメリットがあります。

 オートキャンプのようなレジャーに使う場合でも、安い値段でどこでも入手できる灯油を使ったコンロを簡単に持ち運びでき、キャンプ用のテーブルに収まりがいいということになれば、口コミだけでもかなりの数の引き合いがあるような気がします。

 以前から発展途上国向けの様々なプロジェクトは存在し、その中には今の私たちにとっても魅力的な製品は多くあります。手回し発電のラジオはもちろんですが、手回し方式で充電するノートパソコンももし日本で売られれば、そこそこの需要はあったでしょう。

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 また、水用のポリタンクでは長いバームクーヘン型のものがあり、写真のように穴のところに紐を通し、その紐を腰に巻いて引っぱることで、容器自体を少ない力で転がして運ぶことのできるというアイデア商品も発展途上国での水汲みの労力を減らすために考案されています。国内でも大型ポリタンクにホイールが付いたものもありますが、強い力がかかったら駆動部分が壊れてしまう恐れがありますので、個人的にはこういうものがあったら便利なのにと思います。残念ながらこの形の水用ポリタンクは国内では販売されていませんが、今後開発されるであろう石油コンロも含めて、発展途上国用の製品は他には売らないというようなことではなく、例えば現地援助のための寄付金分を上乗せして売るとかして、何とか日本国内で手に入るような配慮をいただきたいと思いますね。


Anker ソーラーチャージャー 14W

 先日紹介した水や海水を注いで発電するマグネシウム空気電池「マグボックス」の市販情報を受け、改めて私が災害時に使うことを前提にした電力の入手について考えてみました。

 最低限生きていくための電力ということなら、携帯電話やスマートフォンに充電できる手回し発電機付きの災害用ラジオ(ライトも付いているものが多いので)で十分ですが、冷蔵庫などの生活家電まで使いたいと思うなら並大抵の準備では収まらないでしょう。そこは、いざという時に簡単に持ち運びができながら、ある程度の発電量があり、長期間にわたり継続利用が可ということになると、やはりそれなりの能力を持った太陽電池パネルを使ったモバイルバッテリーの充電でやり過ごすのがスマートフォンやタブレット端末を活用したい私にとってはベストの選択かなと思いました。

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 写真のAnkerが出したソーラーパネルはパネルが4枚あり最大14Wの出力を誇ります。出力はUSB端子が2つあり、接続した端末やバッテリーに応じた出力をするPowerIQという技術が採用されているとのこと。例えばガラケーに最大出力である5V2Aを供給してしまったら、最悪電池パックの破裂の恐れがあるので、充電時にはできるだけ充電する端末やバッテリーに直射日光が当たらないようにすれば安心して充電ができるでしょう。

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 ただ、太陽光発電の場合、夜や雨の日では全く充電できませんし、スマートフォンの電源を入れたままの充電だと充電量より電力消費量の方が多くなってしまい安定した充電ができない可能性もありますので、セカンドバッテリーの選択がカギとなります。そんなセカンドバッテリーの中で、本体の一緒にパッケージできるものとして、写真にある薄型のパナソニックのQE-QL301を強引に折りたたんだパネルの間にはさんで持ち運ぶことが可能でした。スペックは3.7V 10260mAhで出力のためのUSB端子を2つ持っているので、これだけで満充電すればスマートフォンの複数回の充電が可能です。このバッテリーの他に私が用意しているのは3.7V 13000mAhの出力を誇るAnker astro m3というLEDライト付きのモバイルバッテリーがありますので、一方を使っている間にもう一つのバッテリーを充電するような形で使えます。このようなモバイルバッテリーはあればあるほど災害時には心強いですが、増えすぎてしまうと日常使いで使わなくなってしまうバッテリーが出てしまうので、ほどほどに用意しておくことが結局は大切でしょう。

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 この製品は14Wとポータブルタイプにしては大きめの出力ということでパネルが4枚あり、人によってはもう少し少なくてもいいと考える方もいるかも知れません。ただそういう場合には、あえて半分のパネルを使わずに地面に直に置くような形で充電する方法も使えます。小さめのバックパックに固定して使う場合も、パネルを折りたたんで半分の7W相当にして使えば、まさに大は小を兼ねることになりますので、単体で6千円弱と安い14Wの方を入手するのが結局のところお得ではないかと思います。

 ひとつ購入前に注意したいことは、この製品には充電するモバイルバッテリーだけでなくケーブル類も付いていませんので、必要に応じて充電用のケーブルを購入することになります。また、本体を窓際や物干し竿、バックパックに付けるためのフックも用意することになりますので、100円ショップにあるようなフックを探して付けるのがいいと思います。

 このような製品は常用するものではありませんが、災害時だけでなく車でのお出掛けの際やキャンプ場のようなアウトドアフィールドでもあって役に立つ可能性はあります。家庭用のソーラーシステムを揃えるより安く、複数のモバイルバッテリーとの併用で家族の携帯電話やスマートフォンの充電用くらいにはなると思いますので、非常用持出袋の中に入れるものとして検討に値する一品だと思います。


災害時の水の用意についての考え方

 このブログでは、様々な災害についての準備についても紹介してきたつもりですが、実は私の中で準備しきれないものがあります。それが、災害時に必ず必要とされる水の確保についてです。

 水というのは私たちの生活に必要不可欠なものですが、人間が飲めるくらい水質がいいものと、多少汚れていてもいいものとの区別が肝心です。例えば、トイレを流すための水なら飲めない水でも十分です。よく公共のトイレの蛇口に「この水は飲めません」とあるのは、恐らく雨水を貯めたものを使っているのではないかと思われます。同じような備蓄のやり方として、お風呂のお湯をその日のうちに流さないで、翌日のお風呂の準備をする時に流すようにすることが推奨されますが、この水が飲めるかどうかはともかく、もしもの時に活用できる水が自宅にあるというのは心強いと思います。もしそうした用意がない場合であっても、飲めなくていい水でも良ければ、雨水をためたり、池や川の水を汲みに行ってもいいわけです。ただ、高層マンションにお住まいの方にとっては水くみに実際に行くことになったら、自宅まで登り降りするのが大変ですから、よくある大きなポリタンクよりも、リュックに詰められる容器やビニール袋を使うなど、水の運搬方法についても考えておかなければいけないでしょう。

 さて、水の中でも飲料水について、もしもの時のための備蓄はどのくらいあった方がいいのかというのは、防災に関する情報を出しているところによると、一人一日3リットルで3日分を目安ということが言われています。この通り用意すると4人家族で36リットルも備蓄しなければなりません。2リットルのペットボトルですと、6本入りケース3つですからかなりの量になります。ポリ容器につめる場合は10リッターなら4つ、18リッターなら2つですが、水道水を溜める場合は時間の経過とともに雑菌が入って飲めなくなっていくので、日常生活の中で溜めては入れ替えることがだんだんめんどくさくなっていくことが予想されます。大容量のポリタンクを否定するわけではありませんが、きちんとポリタンクに入れた水の管理をできない場合は、あまり無理はしない方がいいと思います。

 では、無理をしないでどのように飲料水を確保するかというのが一番問題になるわけです。必要とされる量の全てを用意するのは難しいと思いますが、日々使う水を一定量ためながら使うライフスタイルを実践しながら足りない分をペットボトルでというのが無難でしょう。私の場合は寝る前に大きめのやかんに水を入れておき、やかんで作ったお湯は2つの保温ポットに入れて食事の際のお茶やコーヒーに利用しています。当然ポットの中のお湯は残るので、その分ももしもの場合の飲料水に回せます。こうして溜められる飲料水はそれほど多くありませんが、それでも一日くらいは溜めた水でまかなうことができれば、備蓄用の水は1日分減らすことができます。さらに、近所のスーパーが提供するアルカリイオン水を汲みに行く習慣があればそこでもある程度の飲料水を確保できるので、その分ペットボトルで用意する水の量は多少ではありますが減らせます。購入したペットボトルにはその使用期限をダンボール箱の見えるところに書いておきましょう。間際になったら使用して新しいものと替えていくのが理想です。もし消費するのを忘れてしまった場合には、古いものをそのまま処分するのではなく、非常時のトイレ用としてそのままにしておくのもいいですし、庭木の水やり用にしてもいいでしょう。

 災害の中で自宅が無事な場合、深夜電力を使った電気による給湯器を使っている家なら、給湯器が温めた水を溜めるタンクがあると思うので、私がここまで書いてきたように悩みながら水の確保に関して心配する必要もないかも知れません。しかしそれでもタンクが破損するぐらいの衝撃で家が壊れたり、火事で焼けてしまったら飲料水確保の問題はまた最初に戻るわけで、準備するためのプランも多く用意しておくのに越したことはないでしょう。

 用意していた水が全てなくなってしまうような最悪の状況でも何とかするため、非常用の持出袋でなくても、日々持ち歩くバッグの中に1枚でも2枚でも、大きめのビニール袋を入れておき(各市町村の出しているゴミ袋あたりが無難)、もしもの場合に水を入れて運ぶために使うようにしておけば、何かの時にはきっと役立つことだけは確かだと思います。飲料水を得るためには専用のろ過機を使うという解決策もありますが、ありあわせのものしかない場合、汚れた水でも布や簡易ろ過器を作って濾してから火を起こし、鍋などで沸かした水が湯気になったところをビニール袋を広げたものなどで受け、蒸溜したものが落ちてくるのを溜めて飲み水を確保するという手段も考えられます。このように書いていても、普段の生活の中ではなかなかそこまでして水を飲めるようにする機会というのはありませんので、今挙げた方法については各自調べていただくとしても、本当にいざという時のための知識として水を極力使わない生活方法なども含めて、個人個人の生活パターンに合ったもしもの時の水対策を考えてみることが大事です。


古河電池 マグネシウム空気電池「マグボックス」は災害時にどこまで使えるか

 今回紹介する水を注入することによって発電する「マグボックス」ですが、2014年12月に1万円程度で発売というニュースが出ただけで、古河電池の株がストップ高になったとか、久々に景気のいいニュースになっているようです。

 まだ、発表されている情報のみではありますが、この電池は必要な時に水や海水を注入することによって発電し、最大電気量は300w/hということです。大体の目安としては車のシガーソケットから出るのはだいたい150wということなのでその倍くらいで、あくまで携帯電話やスマートフォンを充電する程度の発電量という風に考えればいいと思います。

 発電時間は最大5日間とされていますが、スマートフォン充電を最大30回くらいということなので、多くの人がこの電池を使ってスマートフォンの充電に殺到すれば、たちどころに使えなくなってしまうことが予想されます。直接明かりをつなげて照明用の電源にしたり、スマートフォン内臓のテレビを使いながら最大5日間持つものと考えると家庭で用意するのもありかと思いますが、一回使ったらそれまでというのが、いつ終わるともわからない避難生活の中では不安に思うところかも知れません。

 私がこのブログで紹介してきたのは、主に太陽電池モジュールを使い、大きなパネルなら自動車から外したバッテリーを充電し、必要に応じてインバーターを繋いで家電製品を動かすか、小さなパネルなら単三のニッケル水素電池を充電し、直接ラジオやライトの電源として使ったり、バッテリーボックスから携帯電話、スマートフォンを充電する方法でした。しかし、罹災してからずっと太陽が出ない天気が続く場合は使いものになりませんので、こうした水が使える電池も用意しておけば、太陽が出ない場合のブランBとして機能するという点で心強いものです。ただ、自宅で鉛バッテリーやニッケル水素電池を充電したものをストックしておける場合は、充電したものを先に使って晴れるのを待つというプランCという考え方もあります。

 ニュース記事によると「マグボックス」は主に避難所への配備を想定しているということですので、あえて家庭で用意することもないかも知れませんが、持っていれば何かの際に役に立つかもしれないと思えば、購入意欲を掻き立てられる方もいるかもしれません。しかし、これだけ盛り上がっているので、すぐに入手する前に実際に使ってみた方の感想をじっくりと見た上で考えた方がいいように私には思えます(^^;)。


全国の自治体が行なっている防災メールのサービス

 先日のニュースで、現状では地震に関する緊急警報が携帯電話・スマートフォンに直接送られるようになっていたのが、気象通報でも警報より危険度が上の特別警報が出た際にもリアルタイムで配信されることになるようです。人々の防災意識が上がっていることの現れと言えるかも知れませんが、私の住んでいる静岡市でも、緊急警報メールではありませんが、入ってくる情報が増えることになりそうです。ちなみに、私のところは今年はそれほど雨の被害はないものの、海側から南アルプスまで同じ市内ということもあり、さまざまな危険がある地域があると思えます。そうした特殊な地理環境にあることが考慮されたのかどうかはわかりませんが、他の地方でもあると思うのですが、携帯電話やスマートフォンに対して緊急時に発信される防災メール(緊急警報メールと違ってメール配信の登録が必要)のサービスが拡充されました。

 今までは地震関連情報や気象関連情報がほとんどでしたが、いわゆる「その他の情報」として、大雨や災害による「道路通行規制情報」の配信が追加されることになったようです。この情報については、別のプロジェクトでインターネット上で静岡の道路通行規制情報を見ることのできる「しずみちinfo」と連動し、メールでも配信するということになったようです。

 少なくとも必ず雨が降ることがわかっている場合には特別な用事がない限り外に出ることはないですが、外出先で急な大雨や災害に遭う可能性はあるわけで、こうしたサービスは心強いものです。なお、県外の方がこのサービスを利用するためには先述の「しずみちinfo」のサイトにアクセスすれば情報を取得することができます。旅行で静岡市周辺を訪れて足止めされるようなことになった場合は以下のサイトにアクセスされることをおすすめします(パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレット端末からも利用可能)。

http://shizuokashi-road.appspot.com/

 まあ、こうした情報サービスはインターネットブラウザから地図や文字情報にアクセスするという形で提供されているところは多いと思いますが、気象警報に続いて通行止情報が流れてくるようなことになると、早めの避難をするための判断の一つにもなるでしょう。せっかくなので、他の地域で行なわれている防災メールについても調べてみました。気象情報に関する防災メールを行なっている自治体については、以下のページに都道府県別のリンク集がありますので、お住まいの自治体で行なっているサービスに入っていない方は確認の上でサービスの利用を検討されてみてもいいでしょう。

http://www.jma.go.jp/jma/kishou/info/jichitai.html

 お住まいの地域でなくても、両親や親戚、友人が在住している地域の防災メールを登録しておけば、何かあった時にこちらが先に情報を仕入れることができるかも知れません。防災メールが入ってもそれほど大した被害を受けていない場合もあるでしょうが、避難勧告が出ていても本人が気付かない場合もあります。メールの着信でただならぬ状況が予想された時には、直接電話するなどして離れた場所にいても気遣うことは可能なように思います。


ようやくテレビに出てきた「ダンボールベッド」

 先日の広島県の土石流により避難している被災者の方々の様子を映すテレビを見ていたら、このブログで以前紹介させていただいた新潟大学の榛沢和彦氏が現地でエコノミークラス症候群になっていないかの簡易検査や予防のための取り組みをしている様子が出てきました。

 その報道と連動するように出てきたのがダンボールを使ったベッドが設営された様子でした。以下のリンクをご覧になればおわかりかも知れませんが、このベッドは榛沢氏の内覧会で紹介されていたものなので、榛沢氏のグループが一緒に持ち込んできたものかも知れません。

http://syachu.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-c21d.html

 私もさまざまな災害が起こるたびに注意してテレビを見ているのですが、単に体育館や公民館の床に直に寝ている画像は、見ている方が本当に心が痛みます。せめてこのベッドのキットが用意されていれば、単にエコノミークラス症候群回避のためだけでなく、床から高いところに寝床を作ることによってホコリの吸引も少なくなり、体を起こせばすぐに立ち上がれる状態にもなります。結果として避難所での生活を楽にしてくれるでしょう。団体による生活ができない事情のある人をのぞけば、間仕切りで多少のプライベートも保たれるこうしたダンボール組み立て式のベッドがあれば無理をして車中泊をする人も減るでしょう(完全にフラットな寝床を車内に作れる方を除く)。今回テレビにこのベッドが映ったことで他の地域から引き合いか来て、避難所を設営する場合にまずこのベッドを組み立てるような所が増えるといいのにと思います。

 ただ、今回の災害に関しても、既に一部の人たちが仮宿舎に転居が始まっている状態での報道だったのが残念です。できれば早い段階からダンボールベッドのキットが提供され、体の弱い方優先でもいいので必要とされる方のところへ行きわたるような仕組みが望まれます。