防災用品・防災コラム」カテゴリーアーカイブ

旅先の緊急情報をどう入手するか

 2014年は台風だけでなく局地的な豪雨や土砂崩れなどもあり、いかに早い段階で情報を入手し避難するかということを考えさせられました。地震や津波の場合は携帯電話を契約していれば夜中でも緊急メールが入る設定にしている方は多いと思いますが、その他の災害の場合は情報を入手する術がないというのが正直なところではないでしょうか。

 ただ、旅先でなく自宅にいたとしても、何の対策もしていないと災害についての大切な情報をなかなか入手することができない場合があります。多くの場合はテレビやラジオで知ることも多いでしょうが、困るのは市町村が行なっている広報が聞き取れないことです。これは自宅に立地にもよりますが、私の自宅からだとスピーカーから流れる人探しの情報もうまく聞き取れません。晴れている日でもそうなのですから、大雨の時に重要な避難情報をスピーカーから流してくれても何を言っているかわからないということになってしまいます。

 そうした問題をカバーする方法として、災害情報については市の広報をそのまま配信してくれる携帯メールサービスを私の住む自治体では行なってくれています。確かにテレビやラジオで警報は知ることができるものの、何を言っているのかわからない(^^;)、スピーカーからの情報をメールで確認できるのは安心です。

 このように、自宅周辺にいる時はそれでもいいのですが、旅先の場合は常に場所を移動しているわけですから、自分が今いる場所の情報を得られるようにする必要が出てきます。車で移動中にはカーラジオからニュースの形で気象や避難のための情報を取ることはできますが、ラジオの情報は広域の情報が多いので、正確に自分がいる場所の警報については細かく把握できないというのが実際のところでしょう。

 今や、こうした不安を払拭するような形でGPSの情報を使ったスマートフォンがあり、標準で入っている天気情報をGPSの位置情報を使ってその場での警報を表示してくれるようなことができたり、さまざまなアプリが情報入手の手助けとなってくれています。例えば、アプリの「Yahoo!防災速報」は設定の中にスマートフォンがある現在地の情報を配信してくれる機能があります。ただこのアプリは機種によってはうまく動かないことがあり、私の持っているものの中ではNexus5ではうまく動きませんでした。他にもあるお天気アプリを使う方法もありますが、どうしても情報は広域情報になりがちです。自分のいる場所の状況を適切に知るためには、マップで自分の場所のだいたいのところを特定したら、気象庁の提供しているウェブ上のサービスである「気象ナウキャスト」という降雨・降雪・竜巻に分かれた予想情報を見ながら判断することも必要になってくるかとも思います。しかしこうした情報もあくまで予想であるので、外れることもあります。過剰にネットからの情報を信じるだけでなく、実際に空の状態や雨の降り方を見ながら判断することも大切です。

 そうして気象情報から判断し、その場から逃げる段階になったら、道が通行止めや冠水などによって通行不能になっていないか確認の上出発するようにしないとまずいでしょう。避難して留まっている場所が高速道路のサービスエリアや道の駅なら道路情報が入ってくるところがあると思いますので、そこでの情報も積極的に入手するようにしたいものです。

 ここまで色々と紹介してきましたが、私がこれまで書いたことを実践するためには、外でスマートフォンを使いこなすことができる人はいいですが、スマートフォンの小さな画面では文字が小さすぎてわからないとか、あせって何を検索すればいいのかわからず、絶望的な気分になってしまう状況も起こってしまうかも知れません。しかし、そんな時こそ落ち着くことが大事です。幸いにも今の携帯電話契約の主流は、通話無制限になりつつあります。もし通話無料の契約でなくても、積極的に電話での問い合わせを活用することについても考えておきましょう。例えば天気予報の177は、携帯電話からだと掛からないと誤解されている場合があるかも知れませんが、市外局番の4ケタを先に入れてから電話するとその地域の気象警報を含む天気予報を聞くことができます。現地の市外局番を特定するためには、公衆電話が見付からない場合は、現地で見付けた看板やお店の表記があれば、その地の市外局番を知ることはできるのではないかと思います。

 また、道路情報については全国の地域別の番号が記載されたpdfファイルが日本道路交通情報センターによって公開されています。時間によってはオペレーターが直接出てくれますので、目的地までの道路はどこが安全に通行できるか(その場から動かない方がいい場合もあります)を教えてくれるかも知れません。いざという時のために以下のリンクから入手したファイルを印刷して持っておくのもいいでしょう。ただ、インクジェットプリンタで印刷すると雨でにじんでしまうので、その点はどうぞご注意を。

クリックしてtelNumberList.pdfにアクセス


電池不要のケミカルライトの実用性

 かなり前の話になりますが、いざという時に明かりを得るために電池不要のスティック型ライトを100円ショップで購入したことがありました。先日、ふとパッケージを見たら2012年に使用期限が切れてしまっていました(^^;)。ただそのまま捨ててしまってももったいないので、果たしてこの種の明かりは実用になるのかということでスティック部分を折るようにして中味の液体を混ぜ、発光させてみました。

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 すると、使用期限が2年前に切れているにも関わらず、白くきれいな光を放つではありませんか。この状態で手に持って振れば夜間に遠方にいる人にもそこに人がいることを知らせることができるでしょう。

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 また、周辺を照らす明かりとしてはどうかということですが、スティック本体はフックに掛けられるようになっており、S字フックと組み合わせれば上から吊るすこともできるのですがそれほど光はなかなか部屋全体には拡散しません。そのかわりとして、先日購入した1リットルのナルゲンボトルにシリコンケースを付けたものの中に入れてみました。すると、気のせいかも知れませんが、けっこう光が広がる印象です。何よりいいのは、ボトルに入れるとこの状態のまま立てることができ、ランタンのように使えるだけでなく、懐中電灯のように手元の確認をすることもできます。ケミカルライトの長さは約16センチで、たまたまこのボトルに収まることでこんなことができるようになるのがわかったので、本格的に災害用として用意しておくのもいいと思えます。

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 詳しく見たいもののがある場合はライトをボトルから出して、近くにライトを近づけるとまず問題なく内容を確認できます。写真のリモコンに書かれた細かな文字も、これだけで十分に見ることができました。新聞を読んだり手紙を書くにも何とか使えるだけの明かりです。

 私自身、人から比べればライトと電池はかなり用意していると思うのですが、急に停電になり一切の明かりがなくなってしまった場合、しまってあるところに行きつくまではかなり大変です。しかしこのライトは使い捨てではありますが6時間から8時間は点灯が継続しますし(今回試した期限切れのものでも夜使って翌朝まで光り続けていました)、津波や水害によって懐中電灯やランタンが使いものにならなくなった場合でも物理的に破損しなければ使えるという安心感はやはりすごいと思います。

 ケミカルライトには今回紹介したフックに付けられるスティックタイプの他、よくお祭りで売られているようなブレスレットとしてうでに巻けるタイプもあります。夜間に避難する際に、家族でケミカルライトを腕に巻いた状態で逃げると、ちょっとはぐれたぐらいなら確実にどこにいるかわかるので、用意しておいた方がいいものと言うよりも、スティックタイプとブレスレットタイプをセットで家族分は確実に用意しておくべきものではないかという感じがしました。

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 というわけで、早速近所のダイソーでスティックタイプのものとブレスレットタイプ(4本入り)をセットで買ってきました。ものは防災用品ではなく、コンサート用のペンライトが置いてあるところにありましたので、実際に商品を探される場合の参考にしてみてください。なお、日本では「ルミカライト」という名称で売られていますので、近所の100円ショップに取り扱いがない場合にはこのキーワードで探してみるのもいいと思います。



避難所に入れない人たちの存在を知る

 東日本大震災に関連するマスコミの報道を見ているうちに、3年前に考えたことでもいつの間にか忘れていて、改めて気付かされることが出てきてしまいます。今後、大きな災害が起きたとして、学校や公的施設に避難所が作られたとしても、避難所に入ることをためらう人たちが少なからず存在するということを思い出しました。

 避難所に入れない理由というのはさまざまですが、避難所で生活するためには大勢の人が集まる中、できるだけ我慢をして共同生活の秩序を乱すことなく暮らしていかなければなりません。ある程度の秩序が乱れても、それはお互いさまなのでと思っている方がいるかも知れませんが、避難所にいる人全員がそのような寛容な心を持っているわけではありません。赤ちゃんや子供がけたたましく泣き続けるだけでもここから出て行ってくれと思う人は多いでしょうし、ペットの場合は直接飼い主の方に文句を言う人も出てくるでしょう。

 先日、テレビの報道番組で出ていたのは、東日本大震災で罹災した自閉症の子供を持つ親御さんの話でした。人とのコミュニケーションがうまくできず、ちょっとしたことが原因でパニックを起こして大きな声を上げてしまうような人の場合、そのパターンを知っている人なら奇声に慌てることもなく、その後の対処法もわかっています。しかし、こうした行動が病のせいではなく、その人のパーソナリティに起因するものと思ってしまう人は実はとても多いのではないかと思います。今の私たちの生活の中では、こうした人に接したり、心の病を抱えながら苦しんでいる人がいることがわかっていないでも生活できてしまうという現状は大変残念です。今回挙げた以外にもさまざまなストレスを共同生活をしている中に持ち込んでくる人たちは、遠慮するというよりも避難所内でのトラブルを未然に防ぐために避難所に入らないという選択をするのも仕方ない気がします。

 3年前、さまざまな理由から避難所に入ることができず、長期間車中泊をしている人が多いことが問題になりました。そうした避難生活が長期間に及ぶと、いわゆる「エコノミー症候群」による血栓ができ、最悪の場合生命にも危険が及ぶことが指摘されていたのです。血栓が出ないためには手足を十分に伸ばして寝ることが必要ですが、普通の車の中でシートに腰掛けたまま全ての席に一人ずついるような状態ではしだいに体に悪影響を及ぼすことは明らかです。ご自宅にある車の中にフラットな空間を作り、家族全員が足を伸ばして寝られるようになればいいのですが、どうしてもそういった空間が作れない場合にはやはり避難所への誘導が必要になってくるのではないかと私は思います。

 しかしこれから日本のどこかで大きな災害が起きたと仮定して、果たして避難所に人を誘導する際に、ワンフロアで生活ができるグループと、閉じられたスペースでないと生活に支障を生じる人たちを分けることができるでしょうか。避難時は多くの人たちが色々なことを我慢しなければならないのに、なぜ一握りの人だけが環境のいいスペースに居住することができるのかと文句を言う人も出てくるでしょう。しかし実際はそうして生活空間を分けてあげないと、多くの人がストレスをためてしまい、心が傷つく人たちが多く出てしまいます。実際に避難所を運営する人たちはそうした際のノウハウを実際に経験した方たちに求めるべきでしょうし、せめて全国の学校では、集団生活になじむことができなかったり物理的にワンフロアの避難所で生活することが難しい人がいるという知識だけでも教えていくことが大切だと思います。


水でも戻せるカップ麺への期待

 先日、日清食品ホールディングスの社長の話として、「水でできるカップラーメン」の実現性について報道されていました。それによると、開発までに10年はかからないとのことですが、果たして水で作ることのできるカップ麺に需要はあるのでしょうか。

 元々、このような発言が出てきた背景には、東日本大震災において支援物資としてカップラーメンを配ったものの、お湯がないと食べることができず、常温の水でももどる製品についての要望があったからとのこと。確かにそうした作り方もできる製品が出てくれば良いと思えます。

 カップラーメンを水で戻すということについては、インターネットで調べてみると、実際にやった方が多くいらっしゃるようです。日清食品の製品で言うと「カップヌードル」を水から戻す場合、40分から60分浸しておかないと戻らないという結果らしく、それでは少々実用的ではないことがわかります。

 常温で食べられる食品としては、同じく水に浸して戻すアルファ米とか、カレーのレトルトにおいて植物性油脂を使った製品が既に出ています。この組み合わせなら水しかなくてもその味は別としてカレーライスが食べられるわけです。ラーメンについても、スープに寒いと固まってしまう動物性油脂を使わない方法や、麺の製法を水でも戻りやすいものに変えるなどすればいわゆる非常食として市販することはできそうですが、ここで一つ問題が出てきます。

 今はそれほどでもなくなりましたが、昔の非常食といえば硬くて食べにくいカンパンが主で、せっかく非常食として用意はしていても賞味期限が迫っても進んで食べようとする人がいなければゴミとしてそのまま捨てられてしまう可能性があります。最近では市販のお菓子をそのまま非常用として出しているところも増えてきており、賞味期限間近での消費についてはそれほど大変ではなくなりました。今後日清食品および、他社から水でも戻せるカップラーメンが出てくるかも知れませんが、やはりそれなりにおいしくいただけるのかということが、非常食として定着するかという点については大切になってくるだろうと思います。

 ただ、非常時でない場合は、あえて水で戻す必要はないわけで、お湯を入れて普通においしく食べられるものが出てくれば、私は常備食として置いておきたいと思っています。まだ具体的に製品として出てくるものではないのですが、このような水でもお湯でもおいしく食べられるカップラーメンが、早いうちに登場してくれるように願いたいですね。


「Google パーソンファインダー」に安否情報を登録する

もし自分の回りで未曾有の大災害が起きた場合、いかに心の不安を取り除き、冷静に行動できるかというのがポイントになってくるような気がします。これはあくまで個人的な見解ですが、災害直後の身体的被害を何とか回避でき、自分で自由に動ける状況になった場合、自分や自分の家族・友人だけのためでなく、回りにいる人たちのために何らかの行動を取る方が自分の精神状況も安定しやすいのではないかと思います。

このブログはモバイル機器関連について紹介していますので、携帯電話の基地局が生きていて、何とかスマートフォンやタブレット端末を現場で使える場合、何か人の役に立てることはないかと考えると、やはり肝心な情報発信についてその役割を担う方法がいいだろうという事で、今回提案してみたいと思います。

携帯電話やスマートフォンを使った携帯電話会社ごとにある「災害伝言板」は、Wi-Fi経由では使えないことがあるばかりでなく、広く安否情報を見たい人に見せることができにくい側面も持っています。被災者にはそもそも携帯電話を持っていない人もいるわけで、特に被災地から離れた人に向けて、「誰々は今こんな状態で元気です」といったメッセージを出すための方法として「Google パーソンファインダー」というGoogleのサービスを使うのをおすすめしたいと思うのです。

http://google.org/personfinder/japan

まずは上のリンクにアクセスしてこのページをブックマークしてみてください。現在は体験版のサービスが提供されていますので、興味のある方は実際に安否情報の入力を試してみてください。スマートフォンを使うと、本人の了解を得た上で聞き取りを行ない、顔写真もアップロードできたりなどかなり詳しく情報を登録できます。先日のニュースで、このGoogle パーソンファインダーと、NTT東西地域会社やNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルなど主要通信事業者とNHK、東京都など、10以上の企業・公的団体が安否情報や災害伝言板の情報を集約させる取り決めを結んでいる「J-anpi」(現状では提供を終了?)が連携し、広く入力した情報を拡散させることができるようになったとのことです。体験版で試してみたところ、Google パーソンファインダーに入力したら、そのデータもJ-anpiで情報の検索が可能になりました(名前で検索する場合、姓と名の間にスペースを空けないとだめでした)。

いったん聞き取りをした人についてはその人の状況が書かれたページが作られるので、例えばすでにだれかの手によって情報がアップロードされている場合でも、新たな状況の変化(登録されている地点から別の場所に移動したとか健康状態に変化があったなど)を入力すれば、もしその方の身内の方がこのページを発見したら、新たなメッセージが入力された場合に特定のメールアドレスに内容を送信する設定もあるので、必要な所にリアルタイムで情報を送ることができます。聞き取りをした方の名前を聞いたら、そのお名前で検索してみて、ページが見付かればデータ入力の作業を軽減できます。

また、災害が発生してこのシステムが動いた場合、携帯電話で使える受信専用のSMS番号がGoogleから発表されることになっているそうです。その番号に検索したい人の名前を入れたメッセージ(SMSとはショートメールのことです)を送信すると、入力された安否情報を携帯電話でも受信できるそうです。恐らく、携帯電話が被災地で使える状況の中、この番号は各々の避難所で発表されていると思いますので、携帯電話だけ持っている人で操作ができない人でも、回りの人の協力があれば登録されている情報を見ることができるようになります。そうなると、できるだけ多くの安否情報をどのように入力できるかが災害が大きくなればなるほど鍵になってくると思います。

少なくともこのブログを読まれた方々がこうしたシステムがあることをわかっていただければ、自分の回りにいる人の聞き取りを実施し、地道に情報を増やしていくことができるでしょう。当然他にスマートフォンを使える人がいたら登録方法を説明し、情報提供者を増やすことも可能です。そう考えると災害時にいかに長時間スマートフォンを使えるようにしておくかということも大事になってきます。というわけで、次回は長時間使用の鍵となるモバイルバッテリーについて紹介する予定です。


災害の状況によって異なるスマートフォン・携帯電話の扱い方

 3月11日、東日本大震災から3年になるということでテレビ番組はかなりの時間を割いて3年前の状況について検証しています。ただ、地震が起こった時どこにいたかによって、どのような行動を取ればよかったのかという話になってしまいがちです。今後来るであろう災害はどこにどのような形でやってくるかはわからないので、周辺の状況を判断した上で取るべき行動は違ってくるだろうと思います。ここでは表題の通り自分から発信したり連絡を受けたりできるスマートフォン・携帯電話を災害時に使う上でどうすべきかということを、考えてみようと思います。

 まず、端末本体が落としたり踏んづけたりして壊れてしまう場合や、水没反応によって使えなくなってしまう状況についてですが、この場合は端末を修理するというのはなかなか難しいと思いますが、とりあえず壊れた状態の端末は手離さないことをおすすめします。というのも、ウィルコムの電話機のような例外はありますが、ほとんどの電話のできる端末というのは中に電話番号が入っているSIMカードが抜き差しできる状態で入っています。ドコモ・au・ソフトバンク(イーモバイル)の3社のうち、au以外の2社の端末同士なら、同じサイズのSIMカードを使っている人の端末を貸してもらい、自分の番号から電話を掛けることができます。水没の場合どうなるかというのはちょっとわかりませんが、水没の場合は中のカードの金属部分が錆びないように水分を拭き取り、もし他の端末に入れて使えるようならラッキーです。支援物資として携帯電話やスマートフォンの白ロムを送ってもらえれば、通信インフラが復旧後、電源さえ確保できるなら電話やメールによる連絡を再開できる可能性も出てきます。

 何とか無事に端末を持ち出せた場合、周辺の被害の度合いによって電話やメールの通信がどうなるかも違ってきます。通信インフラである基地局自体がだめになってしまった場合、端末のアンテナ表示は「圏外」になっていると思いますので、表示を確認した場合はただちに電源を切りましょう。というのも、圏外になっている状態で電源を入れていると電波をつかんでいる時よりもより多く電波をつかもうとするので電池が減っていく割合が高いのです。圏外から復帰したか確認するには電源を入れ直せばいいわけですから、使わない時は電源を切っておくのが基本です。そうしないと肝心な時に電池切れになってしまい連絡できないということにもなりかねません。外への連絡は災害用伝言ダイヤルのようなサービスを利用しましょう。

 なお、場合によっては周辺の送電網が寸断されている場合でも、基地局本体が生きている場合があります。これは、基地局自体に補助電源があり、しばらくはその補助電源で基地局を動かしているためです。通常の停電なら補助電源が切れる前に停電が復旧するので問題はないでしょうが、長期間の停電が見込まれる場合は被害が出た直後の数時間程度は通信ができるものの、その後は電力の復旧か臨時局が携帯電話会社により設置されるまでは「圏外」になってしまうと考えた方がいいでしょう。携帯電話各社には「災害用伝言板」の用意があるので、まずはそちらの方に自分の安否を書き込むか、メールやツイッターなどで発信し、基地局がダウンしたら速やかに電源を落としましょう。

 3年前には直接建物や人命にまで被害が及ぶことはなかったものの交通機関が麻痺し、大混乱に陥った東京近郊のような状況に直面した場合、スマートフォンや携帯電話により通話の形で連絡を取るのはほとんど難しく、インターネット接続も多くの人がアクセスに集中することで普段とはかなりスピードが遅くなることが予想されます。特にスマートフォンでウェブページを見るのに止まったような感じになっても、そのまま待っていれば表示されることもありますので、とにかくあせっていろんなサイトを表示させようと思わないことが大事だと思います。もし停電になっていなかったら、公衆無線LANスポットを利用してネット接続を試みるのもいいかも知れません。具体的には契約しているスマートフォンで、自社の提供する公衆無線スポットが使えるならばそこを優先して接続すればいいですが、アクセスポイントが見付からなかった場合に備えて、主要コンビニエンスストアのローソン(専用アプリが必要)、セブンイレブン、ファミリーマートで行なっているWi-Fiサービスをいざという時に利用できるように、設定やアプリの導入を事前にやっておくこともいざという時には役に立つのではないでしょうか。また、スマートフォンの場合はどうしても早く電池が消耗しますので、帰宅まで相当時間がかかることが予想される所に住まれている場合、常日頃からスマートフォンを使いながら充電できる外付けのバッテリーを用意しておくこともいざという時の事を考えると必要になってくるのではないでしょうか。


非常時ライフライン対応自動販売機を見付けよう

災害に備えるということは、さまざまな品物をいつでも使えるように準備しておくことも大切ですが、どんな形で罹災するかだれもわからない以上、常に最悪の状況も想定しておくことも必要だと思います。

例えば、用意しておいた災害用品を何一つ持ち出すことができなかったという場合も十分に考えられます。そんな中、最低限生命を維持するためにどこへ行けば何を受け取れるのかという事も含め、最寄りの避難所の把握はしておくべきでしょう。

今回紹介しようと思うのは、最近町でも目立ってきた災害時にお金を入れなくても飲み物を提供してくれる災害対応の自動販売機についてです。こうした自動販売機の仕組みについて、電気が通っている場合はボタンを押せば次々に出てくるということは予想できても、では停電の時にはどうなのかという事があります。もちろん管理者が自動販売機のカギを開ければどんな自動販売機でも中の飲み物を提供出来ますが、最近のものはさらに一歩進んでいる印象です。私が実際に設置してあるのを確認した機種についてここでは紹介しようと思います。

・SANDEN「エネレンジャー」(以下にリンクを記載していましたがリンク切れのため削除しました)

別のメーカーでも同じような機能が付いたものはあると思うのですが、この販売機はカバーを外して手動のハンドルを回すことで内蔵のキャパシタに充電して販売機を動かすことができるようになっています。そして、上のリンクを読んで個人的に気になったのが、手回しハンドルでキャパシタにためた電気を使って携帯電話(スマートフォンは不可らしい)の充電ができるオプションが用意されているということです。さすがにオプションが付いているかどうかというのは利用者の側からはわかりませんが、設置者がこのオプションを付けた状態で設置してくれていたらたとえ中の飲み物を配り終えてしまったとしても、相当に利用価値が出てくるでしょう。このオプションの説明書きを読むと、ハンドルを70回以上回して充電可能ランプが付いたらハンドルを止め、ランプが消えるまで携帯電話を充電できるとあります。この一連の動作を一人ずつ繰り返していけば、大きな混乱もなく並んだ人に平等に充電を提供できるということにもなるでしょう。

この自動販売機の価格自体がわからないので安易に携帯充電のオプションを付けて設置してくれとは言いづらいですが(^^;)、少なくとも避難所や役所などの公共の場所に設置する自動販売機は、このような携帯電話充電の機能まであるものを設置して欲しいですね。それと改めて思いますが、家族で持つ通信端末を全てスマートフォンにはしないで、一つは従来のガラケーを用意しておくべきだと思いました。スマートフォン契約しかない場合でも、最近ではスマートフォンに入っているmicroSIMを採用したガラケーも出てきています。いざという時には差し替えて使えるようにしておくのも災害対策の一つです。また、近所のどこにこうした災害対応の自動販売機が置いてあるかというのも知っておいて損はない情報です。時間を見付けて家の周辺の散歩しつつ、自動販売機がどうなっているかを確認してみましょう。


実測による手回し充電の実力は?

 前回のエントリーでUSB出力の電圧・電流のだいたいの数値を測定できる簡易チェッカーを使ってみました。今回いろんなケーブルを試してみましたが、携帯電話の充電に使用するものならどんなケーブルでもほぼ500mA出力することができていることもわかりました。つまり、スマートフォンでなく普通の携帯電話なら、まず充電する機器を選ばないということです。

 そうしたことをふまえて気になるのは、災害時に使われることが想定されるダイナモを使った手回し充電ではどれくらいの電圧・電流を作れるのかということです。一般的な携帯電話用の充電器からですと5V 500mAというほぼパソコンのUSB端子からの出力と同程度の数値が計測できます。

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 今回は直接本体からUSBケーブルが繋げる現在は販売されていないLEDライトを使って試してみました。携帯電話を繋いで回し始めてもなかなか数値が表示されませんが、ある程度重くなった状態で出てきた数値は、約5V 50~200mA前後という結果でした。つまり、普通の充電器をコンセントに繋いで充電するよりも2~10倍の時間がかかってしまうことが予想されるわけです。さらに言うと、手回しを行なっていてふっとハンドルが軽くなる時があると思いますが、この時には電流の数値は0になってしまっています。あくまでハンドルが重くなった状態で充電するための電流が出力されるものであるわけです。

 これはあくまで個人的な見解になりますが、災害時にこうした手回しの発電システムはないよりはましだと思いますが、手回しで発電するような電力はラジオなど他の利用にあてながら、別の方法で携帯電話を充電する方法についても考えておいた方がいいような気がします。もちろん緊急避難用としては携帯電話を使いながら他の人に必死に手回ししてもらうという方法もあるわけですが、恐らくスマートフォンを使いながら充電することは人の手で作り出す電気ではとてもまかないきれないと思われます。

 私としては通話用にスマートフォンではない普通の携帯電話を災害用に確保しつつ、小型の太陽電池パネルで単三のニッケル水素電池を時間をかけて充電しながら手回し発電は補助的に使っていくことを考えています。今回試してわかったのですが、200mA前後の出力を手回しで維持するのは結構大変で、心身ともに疲れている被災者が何時間も続けるのはそれを行なう人の健康を害してしまう恐れがあると思います。そんなことも考えながら非常用の電源の確保について考えていくことをおすすめします。


solo stove をペレット燃料で使う(2)

 前回はコンパクトなウッドガスストーブであるsolo stoveでペレット燃料を使うために工夫してみましたが、今回は実際に火を起こしてみます。ペレット燃料は他の燃料と違って火が付くまでに大変なのですが、今回はアルコール燃料をペレット燃料に振り掛けるようにしてから火を付けるとうまくいきました。ただ、液体やジェル系燃料はよく燃えるので、火種が付いている状態で投入すると爆発的に燃えて火傷や火事の恐れがありますので十分にご注意下さい。

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 いったん燃え出すと、かなり強い勢いで火柱が上がってきます。普通に焚き火をする場合とは違ってきますが、これは、木材が燃える際に出てくるガスに引火して二次燃焼が起こっているためです。

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 solo stoveの内側に空気穴が開いていますが、そこから出てきたガスに引火しています。写真はその部分を拡大したものですが、これによりストーブから出てくる勢いはすごいことになります。

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 湯沸し用のステンレスポットを載せても、このようにかなりの火が外側に回っていってしまいます。ただこれだけの勢いがあるので、ポット容量の900ml近い水を入れて、風の影響のない場所で10分程度で沸騰したお湯が得られました。火の勢いを保ちたい場合はこの状況で追加のペレット燃料を投入していけばいいのですが、ある程度燃焼して火の勢いが収まったところで鍋にかけた方がいいような場合もありますので、細かい調理をするためには使いこなしのコツがいるかも知れません。ちなみに、一回のペレット燃料の用意のみで30分以上は燃え続けていました。先に湯を沸かし、必要に応じてペレット燃料を追加しながらご飯を炊くようにすれば、結構効率よく調理ができるように思います。

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 あと、このストーブを使う上で問題なのはこのようにポット全体に強烈な煤が付くということです。これはペレット燃料を使うのですから仕方ありませんが、けっこう鍋の後処理が大変になりますので、その点は了解の上で使うようにしましょう。ただこのストーブのサイズは、中にアルコール燃料を使ったトランギアのアルコールストーブがすっぽり入ります。アルコール燃料を燃やしても煤はほとんど付きませんので、ちょっとの時間で外でお湯を沸かす程度だったらアルコールストーブとの併用がおすすめです。

 今回使ったペレット燃料はカップ一杯ほどで、それほど多くありませんでしたが、燃料を全て燃やし尽くしてしまえば後には少しの灰が残るのみで、持ち帰って大変な量ではありません。暖房という点でも少人数で囲めば火柱が上がる分結構暖かいものなので、このストーブの上に網をのせて何かを焼きながら暖を取るなんてのもいいかも知れません。ペレット燃料は雨など水がかかるとすぐに元の木くずに戻ってしまいますので雨の時に使うのは難しいかも知れませんが、ペレット燃料と一緒に車の中に入れておけば、液体燃料やガスのように爆発する危険もなく、実に頼りになるでしょう。また、大きさも小さいので、ソロ行程であればキャンプ用としても十分実用になります。

 今回は安定して燃えるということで購入したペレット燃料を使いましたが、非常用としてはそこらへんに落ちている乾いた小枝や割り箸、短冊状に切った牛乳パック、廃材など、ストーブの中に収まるサイズにできれば何でも燃料として使えます。そういう意味ではこのストーブ単体が災害用品として機能することもできるわけですので、そんな用途での使用も想定している方にとっても魅力があるでしょう。


solo stove をペレット燃料で使う(1)

 キャンプだけでなく、災害時にも役立つ調理用の器具ですが、燃料としては何がいいかというのは判断の分かれるところでしょう。手軽さではガスでしょうが、ガソリンスタンドで調達できるレギュラーガソリンや灯油という液体燃料用のものは常に車の中に入れておかなくても現地調達が容易で便利です。ただ、車の中に保管しておく燃料としてはガスも液体燃料も引火して爆発炎上してしまう危険性を避けることはできませんので注意が必要です。さらに言うと、日本という国はこうしたエネルギーを輸入に頼っていますので昨今の燃料費の値上がりの影響を受けたり、ひどい場合には石油ショックの時のような入手が難しい状況も出てくるかも知れません。今回紹介する木質ペレット燃料は主に間伐材を砕いたものを固めるもので、日本国内の生産体制さえ整えば冬季の暖房用と限っても、灯油より安く提供される可能性があります。何しろこれならエネルギーを海外に依存しなくていいわけですからもっと普及してもらって、安い値段でホームセンターで買えるようになってくれればと思います。

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 以前このブログで紹介した薪や木炭だけでなくペレット燃料を使って調理のできる「ウッドガスキャンプストーブ」を便利に使っているのですが、今乗っている車の収納スペースがかなり少ないということもあり、現在は車から降ろしてしまっています。そういう状況の中、今の手狭なスペースにも収納可能な小型のウッドストーブがないかなと物色していたところ、電動のファンはありませんがウッドガスキャンプストーブと同じように木そのものから出るガスに引火し二次燃焼する小型の「solo stove」を見付けました。単に金属を打ち抜いたものですが結構なお値段がするので悩みましたが、サイズ的には今の車の中に常備するにはうってつけのものだと思って専用のステンレス製湯沸しポット(900ml)とのセットを購入しました。

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 このセットは収納袋がそれぞれに付いており、収納袋に入れた状態で湯沸しポットの中にsolo stoveを入れることができます。さらにこのストーブの中にはトランギアのアルコールストーブが入るので、アルコールストーブの風防として使えるのではないかと期待できます。ただこのストーブでペレット燃料を使おうとする場合、ひとつ問題があります。写真のように小枝を入れて使う設計になっているためか、中の仕切りがかなり荒いので、このままペレット燃料を入れたらほとんど下に落ちていってしまいます。そこで、あるものを用意することにしました。

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 これはホームセンターで売っている流し台の排水溝の上に置く器具です。ゴミを通さないために目が粗いため、これを中に敷けばペレット燃料は下に落ちずに燃焼するというわけです。

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 ちなみに、パッケージにある寸法を見ると、ゴムがかかっている状態でsolo stoveの内径とほぼ同じ105ミリとなっています。

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 ゴムを取り外した器具をsolo stoveの中に入れるとご覧のようにぴったりとはまります。この目の細かさではペレット燃料が下に落ちることはありません。これでペレット燃料を使う準備は完了です。

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 実際にペレット燃料を中に入れてみると、燃料が下に落ちることもありません。これからいよいよペレット燃料を使って湯沸しポットを使ってみることにしましょう。(つづく)