防災用品・防災コラム」カテゴリーアーカイブ

アルコールストーブの湯沸しセットとトランギアメスティンで炊飯レポート

 普段の生活の中で、なかなかごはんを鍋から炊くという事を実践されている方はいないと思います。そして、なべから炊飯している方でもガステーブルの中には簡単なセッティングで自動化されている場合がほとんどでしょう。今回紹介するような、火力が弱いアルコール燃料を燃やすストーブで、わざわざ弁当箱みたいなトランギアメスティンを使って炊くなんてことは、よほどこういうことが好きでないとやらないと思います。

 今回はバックパックに入っているものだけで何とか炊飯ができるかということでやってみましたが、例えば災害時においても、適当なフタ付きの鍋とカセットコンロがあればそちらの方が簡単にうまく炊けることはわかり切っているのですが、ある意味それだけの制約がある中できちんと炊けることがわかれば、他の場面でも応用が効いてきます。もし支援物資としてミネラルウォーターと米があれば、しばらくはこの組み合わせで温かいご飯をいただけるので、そんな場合に備えてとある日の夕食を作ってみました。

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 まずは、メスティンの中に1合の米を入れ、水をだいたい写真のところあたりまで入れます。今回は無洗米を使いましたのでそのまま水を30分くらい吸わせました。この工程が大変重要で、十分水を吸わせておけば、ある程度炊き方を失敗しても芯が残るようにはなりにくくなります。

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 今回はご飯のおかずとして、2種類の缶詰を用意しました。地元企業が出した製品としてなかなか食べる機会がなかったいなば食品のタイカレーと、ほてい食品のやきとり缶です。まさに外で食べるキャンプ食という感じですね(^^)。

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 メスティンはそれなりの重さがありますが、単に巻いて止めただけのT’s STOVEの風防、V-456の上に載せても何とか安定しているので、このまま火を付けて調理を開始することにしました。この日はかなり風が強かったので、チムニー効果でかなり火柱が上がるほどアルコール燃料は燃えましたが、そのまま待って鍋のフタがぐつぐつしてくるのを待ちます。

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 中が沸騰して鍋のフタが動いたら、一般的なご飯の炊き方とは違いますが、いったんメスティンを火から下ろし、フタを開けて焦げ付かないようにかき混ぜます。改めてフタをし、重しとしておかずの缶詰2つをフタの上に載せました。さらに火にかけていると勢いよく湯気が上がってきますがここは我慢して湯気が出なくなるまで待ちます。そのうち、ちょっと焦げくさい匂いがしたら火から下ろします。今回は風が強くあまりに勢いよく燃えすぎたためか、まだ湯気が出切っていない時点で燃料切れを起こしてしまいました(^^;)。しかたがないので取っ手を持ってガステーブルにかざすという自宅でしかできない技を使ってしまいましたが、アルコールの継ぎ足しをするともっと大変なことになってしまうので、仕方がないですね。次回行なう場合には風をまともに受けるようなセッティングをせず、燃料切れを起こさないように工夫できればと思います。

 火から下ろした後、10分ぐらい蒸らすのですが、その際に鍋の底に米がこびりつかないようにひっくり返します。さらに、中がアルミになっている弁当用の保温容器を使い、ご飯だけでなくせっかく温まった缶詰が冷えないようにしばらく放置しました。保温容器を守るため、タオルで巻くなどしてから入れた方がいいでしょう。

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 こうして炊けたごはんにカレーを流し込み、いただきましたが、思いの外うまく炊けていました(^^)。多少うまくいかなくても、十分に米を水に浸けてから炊き始め、蒸らしの時間をかけることでそこそこ食べられるようになるということですね(^^;)。さらに、スープ状のタイカレーと合わせれば何とかなります。とりあえずこれで、今の持ち物だけでも何とかなることがわかっただけでも収穫はありました。ちなみに車での旅行中、キャンプ場など炊事ができる場所に泊まった場合には車の中にこのセットより使いやすいキャンプ用のクッカーが常備してあるので、あえてこのセットを優先的には使わないと思います。それでも、このようにメスティンでの調理を経験しておけば、いざという時に役立つこともあるでしょう。単なる小物入れとしては大げさかも知れませんが、導入した甲斐はあったようです。それと同時に、もう少し一合くらいの炊飯のしやすい鍋を導入してみようかという気になってきました。カップラーメンは一人前の価格が安くても100円前後で持って行くのにかさばりますが、お米だったら安く用意できてしかもかさばらないということで、古来から携帯食としても使われていることはあるとしみじみ思います。というわけで、先日一通りまとめたはずのバックパックに収めた常時携行用のセットの中をもう少し考えて、どこでも米を炊いて食べられるようなセットを考えてみたいと思いました(^^)。


簡易湯沸しセットでの湯沸しレポート

 先日紹介したソロ用の湯沸しセットを使った実践のレポートです。湯沸しセットの構成としては以下の通りです。

・ストーブ トランギア アルコールストープ
・風防 T’s STOVE 風防V-456
・ゴトク 風防に付属したTiペグ
・クッカー スノーピーク チタンシングルマグ450とカップ用ふた

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 全てをセッティングするとこんな感じです。水はカップヌードルを作ることを前提にして350ccを入れましたが、うっかりしていると沸騰した際に吹き出てくるので、もう少し減らしてカップヌードルのためのお湯の量ぎりぎりである300ccとちょっとぐらいにしておいた方が無難です。自宅のベランダで風の影響はそれほどなく気温は16℃、水温は18℃でだいたい10分くらい沸騰までかかりました。アルコールの量はだいたい30グラムくらいでしたが、多少余っていたものの風防に刺さっているペグを抜いてフタをし、冷ましている間にかなり蒸発したみたいで、スポイトでアルコールを回収できたのはわずかでした。トランギアのアルコールストーブは芯がないので使い残したアルコール燃料の回収がやりやすいというのがあるのですが、そこまでやらなくてもいいかなとは思います。

 また、当然ですが沸騰直後のカップは相当熱くなっています。念のため軍手をした上でシリコンのコースターで挟むようにハンドルを握ってもけっこうな熱さが手に伝わってきましたので、いざという時のことを考えて、軍手よりも皮手袋を用意しておいた方がいいでしょう。ただそうすると、さらに荷物が増えてしまいますね。

 今回試した際には外でもそれほど風がなかったので、今回のデータが当てはまらない部分もあるかも知れませんが、いざという時には十分使いものになるものであることが実感できました。災害用ということだけでなく、気軽な日帰り原付ツーリングのお供にも使えそうです。湯沸しという意味ではこのセットが最小ですが、なにせ今持っているものを中心にそろえたので、もう少し工夫すればさらに便利になりそうな気もします。そうしたものについてもおいおい追求していきたいと思っています。


折りたたみシリコンカップ 再度持ち出したわけ

 シリコン製の家庭用品というのは今ではかなり広く認知されていますが、私自身前からシリコン製品が好きで、100円ショップでさまざまなシリコン製品が出てくるに従っていろいろ試してみることとなりました。そんな中、シリコン製のおりたたみカップとして携帯に便利だと思って購入したのが下のリンクにある「たためる携帯コップ」でした。

http://syachu.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-f2cd.html

 当初は旅先での歯みがき用として購入したものの、その後100円ショップにこれより容量が大きなカップが入ってきたりして、このカップの存在を忘れていました(^^;)。しかし、今さらではありますが、このカップの95mlという中途半端な容量が役に立つあることを先日発見しました。

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 というのも、外で米を炊くために折りたたみできる計量カップがないかなと思っていたところ、一合の半分、0.5合の90mlをこのカップで計ることができることに今さらながら気付いたのです。写真のように一杯より若干少なめに盛れば、お茶碗一杯分の0.5合ずつ取ることができます。シリコンカップの場合は事前に計っておいたラインにマジックなどで線を引いておいてもいいのですが、これなら何の印も付けなくても使えるので便利です。

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 あと、これも今さらながら思ったことは、このような少ない容量の折りたたみカップは、災害時に限られた水を分け合っていただくには最適だということです。カップを半分だけ開くことでお猪口のように、さらに少ない容量を入れることのできるカップにもなりますので災害時だけでなく日本酒の熱燗をいただくにもいいですね(^^)。

 こうしたグッズの多くはすぐに販売が終了しがちですが、自宅の近所にあるショッピングセンターの家庭用品売り場には今でも普通に売れているので、立派なロングセラーと言えるでしょう。購入している人はそこまで深く考えないかも知れませんが、写真の私が持っているものより色の薄いものを購入すれば、LEDライトにかぶせるようにして周辺を照らすランタンシェードのようにも使えるマルチカップであるとも言えます。もしそういうことまで考えて作られていたとしたらすごい製品ですね(^^;)。


パイオニア ベーシックテレホン TF-12-W

 もしご自宅の電話がひかり回線のIP電話に切り替えてしまっていたら意味がないかも知れませんが、停電になっても使えるメタル回線を持っていても、電源がないと使えない電話を使っている場合、電話機が対応していないため停電時に使えなくなるということが起こります。その場合、今ある電話機を買い替えるよりも、停電用に専用の電話機を用意しておいた方がいいように思います。停電時に使えるのは昔の黒電話だと思っている方もいるかも知れませんが、ACアダプターを繋げて使う電話機の中にも、ACによる給電がなくても使える電話機はあります。今回紹介するのは、見てくれは普通の電話でありながらACアダプターを最初から使わない、電源不要で使うことを前提に作られた数少ない電話機になります。

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 メタル回線の電話線に流れている電流を利用してこの電話機でできることは結構有り、停電時用に黒電話を使うことを考えればはるかにできることは多いです。よく使う電話番号を最大3つまでメモリーすることができ(電話線を抜いたら記憶は消去されますのでご注意を)、相手が電話に出たのを確認してから受話器を取って話せるオンフックダイヤルや保留メロディー、リダイヤルやキャッチ機能(キャッチホンの契約が必要)、パルス回線での契約でも*マークを押せばトーン信号を送出できる機能もあるので、災害時にも各種テレホンサービスが利用可能になります。停電時に災害用伝言ダイヤルを使う場合にもこの電話機なら大丈夫です。

 ベルの音量も2段階で調整でき、切ることもできます。かなりの幅でベル音量や受話音量を調整できる電話機を当り前に使っている方には電話線からの電気だけで動くこの電話のベル音と受話音量は心もとなく感じるかも知れませんが、電話線だけでここまでできるという事実があるのも確かです。大きさも小さすぎず本当によくある家の電話という感じなので、設置して使ってもそれほど違和感を感じることはないでしょう。

 ちなみに、IP電話を使っている場合でも、モジュラージャックにこの電話をつなげば使うことは可能です。普段の受け応えには携帯電話を使っているものの、部屋にいる時に固定電話を設置したいという場合、家のコンセントを必要としない電話機というのはメリットがあるように思います。同じIP電話のサービスを使っている先に電話する場合は、こちらの電話から掛けることで時間も料金も気にしないで通話を楽しめますし、不在時には携帯電話に掛けてもらえばいいと割り切るなら、価格的にも安いこの機種で十分ではないでしょうか。

 先日のエントリーで紹介したように、メタル回線自体のサービスはいつまで続くかわからないため、電源の必要ない電話機というのはいつまで売られるかというのもはっきりとはわかりません。電話機がそれ自体でネットにアクセスできるような機能を盛り込んで進化していくのもありとは思いますが、その正反対のようなローテクを満載した今回紹介した電話機もあれば持っておいた方が何かで使うことがあるかも知れません。災害までは行かなくても大雨や落雷、大雪などで長時間の停電の可能性というのはやはりありますので、まだご自宅がメタル回線の方は、これだけで色々できてしまう電話機の購入を考えて見るのもいいのではないでしょうか。


災害時の通信手段について改めて考える

 先日の大雪によって徳島県の被害がすさまじく、山間部における多くの集落が孤立し、安否確認がしばらくできないという状況に陥っていたようです。

 道が寸断され集落の安否確認ができないため、歩いて現場に向かった自衛隊員に付き添ったテレビのレポートを見ましたが、携帯電話での安否確認くらいはできるのではないかと思っていたら、取材を行なった場所では携帯の電波は届いていたものの、肝心の携帯電話の充電をする前に停電になってしまったのかわかりませんが電池切れを起こしたそうで、そこから発信も着信も全くできない状態だったそうです。さらに、つるぎ町と東みよし町は町を挙げて固定電話をインターネット回線のIP電話化していたことで、電力が復旧するまでは固定電話による安否確認ができないという状況になっていたようです。

 今回の場合は携帯電話は何とか使えたということで、長時間の停電が続いても携帯電話やスマートフォンの充電ができる環境を用意してあれば良かったですが、もし携帯電話の基地局も止まってしまったらと考えると、やはり考えなければならないのは全てをIP電話化してそのバックアップ対策を講じなかった行政の問題に行きつきます。住民レベルの対策として考えると、携帯電話を一時的にでも使うためには、手回し式の発電機能のあるラジオを一つ用意しておけば状況は変わったのではないかと思います。その際、携帯電話・スマートフォン充電用のケーブルと一緒に保管しておかないとラジオは聞けても携帯の充電はできなくなってしまうのでご注意を。

 話を公的な災害対策の話に戻しますと、小規模な集落の場合、普段の通信が遮断された時のことを考え、直接外部と連絡が取れる無線設備と発電機を用意しておき、集落内での安否情報をとりまとめて連絡するような用意はできなかったのかなと思います。無線だと免許なしでは使えないという問題もありますが、その場合には衛星通信を利用する携帯電話を1台用意しておくのもありでしょう。そうした対応策とは別に、集落の全てをIP電話に変更するのではなく、1回線でも従来のメタル回線および、停電でも使える電話機を用意しておけば、全く連絡ができないことは回避できると思います。まさかIP電話化についてのディメリットについて全く知らせないまま、住民の固定電話を強制的にIP電話化したこともないとは思いますが、もし今回のことで、IP電話からメタル回線に戻したいという住民がいたら、きちんと戻してあげるようなことも必要になってくるでしょう。電気とともに電話線も一緒に切れてしまえばどうしようもありませんが、要は複数の手段を持つことがいざという時に備えるためには大切だということです。もし電気と電話の両方とも切れてしまったとしても線をつなげばすぐに使えるようになるメタル回線と違い、今回のような災害とは全く関係ないネット上のトラブルが起こった場合に長い時間使えなくなる可能性のある別の危うさも持っているのがIP電話であるということも認識していただきたいものです。今回の雪に限らず、あらゆる災害・通信障害に対応するためにはできるだけシンプルな仕組みをどこかに用意しておくことの大切さというのが明らかになったような気がしています。

 このように書いていく中で、固定電話をやめて携帯電話に一本化した方が簡単でいいのではないかと思う方も多いと思います。実際、現代の生活においては携帯電話のみで固定電話を引かなくても一切支障は出ないわけですし。ただ、今回のような小規模な集落での安否確認という面で考えると、契約する電話会社を変更しても特別な事情がなければ電話番号が変わらない固定電話に対し、携帯電話の場合は契約者の側の思惑でMNPしないで電話会社を変えてしまうと番号が変わってしまうというのが問題です。もし役所に携帯電話の番号を届けてある場合、いざという時に安否確認のため役所が電話を掛けても、電話会社を変更した際に通知でもしていない限り、通じない場合も出てくるでしょう。そうなると災害時に携帯電話が使えていたとしても、役所が安否確認するためには役に立たないことになるわけですね。ですから、このような小さな集落で安否確認に携帯電話を使うということなら、回りの住民の方との連絡用としても使われることが想定されるので、できるだけ今使っている番号を変えないようにするか、変更時にはすぐに知らせるよう申し合わせをしておくことが大切になるでしょう。集落の中での連絡網を作る場合、個人情報保護法との兼ね合いもあるので、どのあたりまで情報を地域や役所を含めて共有すべきなのかという別の問題も出てきてしまいますが、これらの問題も含めて対策を考えておかないと、また同じようにライフラインが遮断された孤立集落との連絡が付かなくなることも起こりかねませんので、早く全国の行政には対応を願いたいものです。


災害時の備えとしての無水鍋

 世の中、お金を出せばどんなものでもすぐに買えるかというと、なかなかそうもいかない事もあります。ある品物が人気になって購入希望が集中するようなことになると、製造が注文に追い付かず、納期が相当長くなる場合も出てきます。以前なら話題になったとしてもそこまで待たされることもなかったように思いますが、テレビやネットでは納品までの待ち時間が長いほど素晴らしいもののように宣伝する傾向もあり、ある意味、本当に欲しくない人までこぞって買い求めに行った結果更に納期が遅れるなんて悪循環も起きかねません。

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 以前は一年以上待たされることで有名だった鋳物ホーローの無水鍋「バーミキュラ」が自宅に届きました。以前は納品まで相当待たされることでも知られていましたが、今年の9月半ばに注目した時には年末くらいまでかかると言われていたものの、一ヶ月早まって約2ヶ月で届いたわけです。昨日のブログで、新しいデジカメを買ったとたんに車検費用の他に新品のタイヤ代がかかってという話をさせていただきましたが、この鍋も安くはないのでさらに予定外の出費に見舞われたわけですが(^^;)、こちらはきちんと手入れをしつつリペアすれば一生物として使えるので、がんばって使いこなしたいと思います。

 この鍋についての評価は改めて「バーミキュラ」でネット検索していただければいいと思いますが、今回私がこの鍋を購入したのは、日々の食事をおいしくというだけでなく、災害時にも使えるアイテムであると考えてのことです。ちなみに、自宅の調理器具はプロパンガスなので、電気が止まっても配管が無事ならばガスだけは使える可能性があります。もしダメでもカセットコンロが使えれば何とかなりそうですし、ダッチオーブンが乗るスタンドも持っているので、キャンプ用の小型バーナーでも何とかこの鍋を使えると思います。

 この鍋に限らないのですが、無水鍋の特徴として、水を入れなくても野菜から出る水を使った調理ができるというものがあります。災害で家屋に直接被害がなくても電気ガス水道といったライフラインが止まってしまった場合、困ってしまうことになります。特に電気が止まることにより冷蔵庫はその機能を停止するので、中味をできるだけ早く使わないとせっかくの食料も台無しになってしまいます。冷蔵庫の中の野菜を使い、備蓄している水をできるだけ使わないためにも、水なしの調理ができるキッチングッズとして、無水鍋は用意しておいて無駄にはならないでしょう。むしろ災害用品としてはとても片手では持てない鋳物の無水鍋は使いづらいと思うので、アルミ製のものを用意しておくという手もあります。こちらの製品の方は注文すればすぐに届くと思いますし(^^;)。

 今回紹介したバーミキュラに限らず、こういった調理するだけでわくわくするものを買うと、例えば日常の中でなかなか行なうことがない鍋による炊飯なども行なうようになるかも知れません。そうして一回でも経験をしておけば、災害時に鍋で炊飯なんていうことも、いざという時にはスムーズにできてしまうのではないかと思います。このような高価な鍋を災害用に使う際には、できればライフラインが回復するまでの間に使えるカセットガスおよびカセットコンロとともに用意しておくと、普段と変わらない調理ができるようになるでしょう。


Jetboil MiniMo ストープへの期待

 車中泊で勝手気ままに旅をしたいと思っておられる方にとって、就寝スペースを確保した後に何とかしたいと思うことのトップに来るであろうと思われるのが旅行中にお湯を確保したり調理するためにどうするかということでしょう。車中泊にはオートキャンプ的なものから道の駅や高速道路のサービスエリアで仮眠を取りながら移動するようなものまでさまざまですが、単に車中泊のためというよりも、災害時に簡単に使え役に立つようなキャンプ用の調理用具をそろえておけば便利です。私自身もここで紹介しているものだけでもかなり多くの散財をしたのですが(^^;)、とりあえずこれ一つあればいいと断言できるようなものというのはなかなか見付かりませんでした。しかし、まだ日本では発売されてはいませんが、新しいジェットボイルがすごいらしいという話を聞き、確かにこれは車中泊用兼防災用品として秀逸なものではないかと思いました。

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 ジェットボイルというと、お湯を沸かすことを主目的に作られたようなバーナーとクッカーのセットで、カップラーメンやコーヒーを飲む程度の湯沸しならあっという間にできてしまうポテンシャルを持っているものとして認知されていますが、極端な話、単なる湯沸しに1万円以上かけるのかと思うと、どうしても早く湯を沸かしたいという人でないとなかなか購入に思い切れないような気がしていて、私もまだ購入にはいたっていません。しかし、上の写真にある「ジェットボイル MINIMO」は、広口のアルミハンドルが付いたクッカーに、とろ火調理も可能な火力調節機能が付いているとのこと。つまり、これを使うと単なる湯沸しだけでなくご飯を炊いたり煮込み料理もできるようになるわけです。ガスカートリッジを含めた装備一式もコンパクトにまとまりますので、とりあえずこれ一台を車の中に入れておけば現地調達した具材を使って簡単な調理にも使えるようになりそうです。

 現在、この製品はアメリカでは130ドルくらいで売られていますが、日本ではまだ発売されていません。日本の販売代理店であるモンベルがどうするかというのが今の関心事なのですが、先日モンベルショップで店員の方に聞いてみたところ、現在は日本で販売できるかどうか調査中といったところなのだそうです。ただ、モンベルのホームページにはすでに発売間近であるような記載もあるので、興味のある方は以下のリンクにある一番下の紹介文をご覧下さい。

http://about.montbell.jp/release/disp.php?infomation_id=266

 日本での販売価格は税抜き17,000円を予定しているようです。キャンプ用具を使ったことがない方からすると、カセットコンロと比べると相当高いという印象はぬぐえないかも知れません。しかし製品の内容を見ていくと、かなり多くの方が注目する製品ではないかと思います。この冬に間に合うかはちょっとわかりませんが、限られたスペースの中に入れて持ち運ぶものとして、新しいジェットボイルの販売が本当に楽しみです。


丸富製紙 ペンギン ワンタッチコアレス 6R(シングル)

 今まで自宅でのトイレットペーパーは、ずっと二枚重ねのダブルタイプを使ってきたのですが、今回は災害の時に使えるのではないかと思い、シングルタイプで長尺のロールを試してみたいと思い、近所のドラッグストアを物色してきました。

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 本当はシングルで180メートルというものがあれば良かったのですが、時代はシングルタイプよりもダブルやトリプルという柔らかく使い心地の良いものが売れ筋になっているようで、今回探した中で一番条件に合ったシングルタイプが、今回紹介するペンギン ワンタッチコアレスという芯のない再生パルプで作られた130メートルのものでした。

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 こちらの勝手な思い込みとして、芯なしのトイレットペーパーは普通のトイレットペーパーホルダーには付けられないものとの認識がありましたが、今の芯なしというのはちゃんとホルダーにセットできるようになっているのが、今さらながらびっくりしました。この稿での目的は、車内に持ち込んで使うためトイレットペーパーの芯を取り出して中から紙を出して使うタイプのトイレットペーパーケースで使うということだったのですが、これなら何とかなりそうです。隣に置いてあるのは今までケースの中に入れていたダブルのトイレットペーパーですが、かなりサイズが大きいことがわかります。

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 何とか力技でケースの中に押し込んでジッパーまで閉める事ができました。芯の代わりになる部分のみこのタイプの芯なしペーパーでは硬くなっているので、中を引っ張って出すことも簡単です。硬くなっているのでトイレットペーパーとしての使い方こそできませんが、水には同じように溶けるので、ゴミを残さないという点ではエコな製品だと言えるでしょう。

 実際の使い心地についてですが、シャワートイレとセットで使う分にはそれほどストレスは溜まりません。ただ、そうでないと何回も重ねて使わないと気持ちが悪いと感じる方もいるかも知れません(^^;)。ポータブルトイレを持っている方は、できれば携帯用のおしりシャワーとセットで使われる方がいいと思います。

 ただ、車内で使う場合はトイレ用としてだけではなく、キッチンペーパーや汚れ拭きなどの用途で使う場面も出てくるかと思います。そんな時にはこの長尺で長持ちするロールを使っているメリットが出てくるというものです。自宅でのこのペーパーの評判はダブルに慣れすぎているせいか芳しくないのですが(^^;)、それなら災害時の備蓄として残りを置いておくのも無駄ではないように思います。今後はさらに長尺のものも物色してみたいとは思いますが、この製品の114mm×130Mというサイズ以上になるとケースに入らなくなってしまうので、私と同じようなケースを使われている方はまずサイズの確認からされるのがいいだろうと思います。


災害時 マルチに使えるトイレットペーパーを選ぶ

 旅先に持っていくため、車内にキープしているトイレットペーパーは、最初に芯を取り出して中から引き出すタイプのトイレットペーパーホルダーに入れて用意しています。ティッシュの方が柔らかくていいだろうという方も多いと思いますが、まずトイレットペーパーの方が値段的に安いですし、さまざまな用途に使えるので、私の場合はティッシュはポケットティッシュでまかなうようにしています。

 今回、たまたまテレビを見ていて、「丸富製紙 アミティソフト180」という製品があり、6ロールでシングルタイプなのになぜか他の製品より単価が高い(700円前後)のが気になりました。

 この商品名に付いている180というのは1ロールあたりの長さで、この製品は180メートルと一般的なトイレットペーパーと比べるとかなりの長さです。それでいてサイズがそう変わらないというのはシングルタイプであることと、かなり薄いものであることがうかがえます。さらに多くのトイレットペーパーに付いているミシン目も付いていないのだそうで、この種のものは旅行用および災害用のトイレットペーパーとしていいのでははないかと思いました。

 災害時やキャンプで水が使えないと、汚れたものを何かで拭く必要が出てきます。食器を拭くのには使った後で燃やして処理できるトイレットペーパーはかなり使い勝手がいいと思います。1ロールで使える量が多いので備蓄するにもかさばらなくて済み、使い出してもしばらくは使っていられる安心感も出てきます。

 ただ、規格内の大きさでより長いということは、従来のものと比べて薄くもなるということで、シングルで薄いというのは、よく公衆トイレで見掛ける業務用のものに近い使い勝手に近づいていくことにも繋がるでしょう。いざという時のものであっても、どのくらいの長さとクオリティーで妥協するのかというのも選ぶ際のポイントになるだろうと思います。

 ちなみに、私の回りではシングル180メートルのものは見付けることはできず、同じ会社で出しているものでは、シングルの芯なしタイプで130メートルのものは6ロールで500円以下という価格で見付けることができました。もしかしたら使用感とのバランスを考えると、このくらいが日常使いにはいいのかも知れませんね。この件については、それほど高いものではないので、厚さごとの製品の使い勝手などを調べた上で常備すべき製品というものを選んでみたいと思っています。


スマホのカメラでは代用にならない拡大鏡の用途

 スマートフォンのアプリの中にはちょっとしたニーズに応えてくれるものがあり、私が時々使っているのは細かすぎる雑誌の数字を確認するために使う「拡大鏡」アプリです。単にスマートフォンのカメラを使って画面を通して文字を拡大するだけなのですが、いざという時には役に立つものです。

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 ただ、従来の写真のような拡大鏡も、持てばだれでもすぐに使えるというデジタル物にはない使い勝手の良さがあります。もし家族の中に新聞くらいの文字でも小さくて見えないという人がいる場合、非常用持ち出し袋の中に入れておけば、老眼鏡を持ち出せなかった場合も使えて便利です。この種のものは、避難所の中で使いたいというニーズも少なからずあると思います。暗い室内で案内された印刷物の中を確認するだけでも、大変な思いをする方は出てくると思うからです。老眼鏡と違い、誰でも簡単に使えますし、災害用ということではもう一つの使用法があるのがポイントです。

 学校の授業で行なったことがあるかも知れませんが、日の光がある場所であれば、光を集めて火を起こす手段として拡大鏡は十分実用にあると思います。無造作に拡大鏡を日の当たる窓の側に置き、たまたま置いてあった紙くずに引火して火事になる原因になるくらいですから、コツさえつかめばいわゆる火打ち石タイプのライターよりは簡単に火を起こすことはできると思います。

 実際に使うことはなくても、用意しておいたライターが水に濡れて使いものにならなくなったとしても、拡大鏡なら破損しなければ水に濡れても全く性能に影響はないでしょう。ただ破損した場合は破片を触るだけで怪我の元になるかも知れませんので注意は必要ですが、ガラスでないプラスチック製のものもありますし、携帯性に優れたものも出ています。薄くてかさばらないものが手に入ったら、持ち出し袋の中に入れておきたいものの一つです。