発展途上国に向けた製品開発がもたらすもの

 先日、地方発のテレビニュースを見ていたら、いわゆる発展途上国で生活している現在は購買力の低い人たちに向けた日本の会社の事業展開について報道されていました。日本国内でも貧富の格差が問題になっていますが、発展途上国ではさらにひどいことになっていて、富裕層・中間層以外の人がべらぼうに多いということで、その人たちに向けての事業展開を考えているということでした。

 こういったやり方は、各々の購買力は低いものの何しろ大勢なので、トータルで考えると大きな取引になる可能性があり、さらに便利な製品を使ってもらうことで、いわゆる低所得から脱却する人を増やす狙いもあるようです。中間層まではいかなくても、それなりに生活が豊かになれば日本企業だけでなくその国の人たちのためにもなるとのこと。

 このニュースを見ていて私が思ったのは、発展途上国向けに作られた製品であっても、日本国内で需要を喚起するものであれば、日本での業績アップにも貢献するのではないかということです。ニュースの事例の中で、主に灯油を使った暖房器具を出していて、私にとっては災害時の明かりとしても使えるので注目している「レインボーストーブ」を出しているTOYOTOMIという企業が出てきました。この会社は発展途上国向けに日本でも発売されている灯油を使ったコンロを販売しているそうですが、実際に現地で使われる実態を見るとその使いにくさが明らかになったそうです。

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 具体的に言うと写真のようなコンロなのですが、この製品は日本のお座敷文化に合わせて作られているもので、畳に直置きすることで操作することが前提になっています。しかし多くの国ではテーブルの上に載せて使うことが普通なので、日本の製品をそのまま使うと、バンザイをしながら調理することになってしまい、現地では大変使い勝手が悪いということです。

 こうした不具合を解消するため、メーカーではテーブルに置いたままでも使いやすいように、カセットコンロや小ぶりのキャンプバーナーのような形状の製品を試作しているそうです。もしそうした製品が出てきたら、ぜひとも発展途上国向けだけでなく、日本国内で売ってほしいですね。私が欲しいということもありますが、結構需要があるのではないかと思います。カセットコンロは確かに便利ですが、カセットガスの空き容器の始末や炎天下の車の中に放置しておくと爆発の危険があることを考えると、防災製品としては比較的安全な灯油を使え、冬に石油ストーブを使っている家庭ならとりたてて備蓄をしなくてもいいというメリットがあります。

 オートキャンプのようなレジャーに使う場合でも、安い値段でどこでも入手できる灯油を使ったコンロを簡単に持ち運びでき、キャンプ用のテーブルに収まりがいいということになれば、口コミだけでもかなりの数の引き合いがあるような気がします。

 以前から発展途上国向けの様々なプロジェクトは存在し、その中には今の私たちにとっても魅力的な製品は多くあります。手回し発電のラジオはもちろんですが、手回し方式で充電するノートパソコンももし日本で売られれば、そこそこの需要はあったでしょう。

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 また、水用のポリタンクでは長いバームクーヘン型のものがあり、写真のように穴のところに紐を通し、その紐を腰に巻いて引っぱることで、容器自体を少ない力で転がして運ぶことのできるというアイデア商品も発展途上国での水汲みの労力を減らすために考案されています。国内でも大型ポリタンクにホイールが付いたものもありますが、強い力がかかったら駆動部分が壊れてしまう恐れがありますので、個人的にはこういうものがあったら便利なのにと思います。残念ながらこの形の水用ポリタンクは国内では販売されていませんが、今後開発されるであろう石油コンロも含めて、発展途上国用の製品は他には売らないというようなことではなく、例えば現地援助のための寄付金分を上乗せして売るとかして、何とか日本国内で手に入るような配慮をいただきたいと思いますね。


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