家庭でのリモート学習にはiPadを利用するのがベストだが 他の選択肢も用意すべき

京都の公立高校で、リモート学習に必要として生徒全員にiPadを自費購入させるところがあるという事がニュースになっています。その内容はどんなものかということで、京都新聞の記事で紹介されている、今回の学校とは違うものの先行実施された案内では以下のような費用負担になると説明されているようです。恐らく今回報道された高校でも以下の構成に準じた額を自己負担にするのではないかと思われます。

(1)基本セットiPad 第8世代 Wi-Fi32GB 10・2インチ 34,760円
(2)キーボード付きケース9,790円
(3)アプリなどの設定費用8,470円
(4)故障補償(年額)4,400円
(5)端末管理(年額)1,980円
(6)タッチペン8,690円

合計68,090円と、学費は無償化されているとは言え、なかなか親の負担が大変なところもあるでしょう。ただ、入学して3年間常にリモート学習用に使うと考える場合、同じ端末を長く使い続けるためにはiOS利用のiPadしかないのではとも思えます。タブレットという選択で考えるとAndroidタブレットを3年使い続けられるか? という疑問が正直なところあります。OSが混在しないことで、アプリを使った授業のための教師の資料作りも楽になりますし、34,760円という価格も3年使い続けることを考えると決して高くはない(市場的にも)という気もします。

ただこれは、タブレットに限った話であることも確かです。7万円弱というお金を半ば強制的に徴収するのは、家計が大変なご家庭にとっては、今後新型コロナが収まって使わなくなるかも知れないものに、なぜそれだけのお金を出さなくてはならないのか? と思うと同時に、今家庭にある端末で代替はできないのか? という風にも思うでしょう。

これが管理する側とそうでない側の考え方の違いだと思います。昔、仕事で業務の電子化をするために、システムだけでなくパソコン・プリンターなどハードもすべて一括購入しないと電子化自体ができないと言われ、さらにハード一式で当時数百万、さらに毎月の独自ネットの接続料も結構な費用がかかり(この他に自前でネット回線を引かないといけませんでした)、安いパソコンとプリンターはこちらで用意するから専用ネット回線料だけの負担ではいけないのか聞いたら、そういう事は考えていないとの返事に呆れた記憶があります。

その後かなりの時間が経って、世の中でインターネットという言葉が認知されてきた頃になって同じようなサービスを手持ちのスマホやパソコンを使ってできるようになった時には、当時電子化の話に言いなりになって、ハードと通信料と総額で高級乗用車が買えるくらいのお金を払っていた人はどう思うのか? と正直なところ思ってしまいました。

個人的な考えで言うと、最初からキーボードが付いた、企業のリース期間が終わったWindows10搭載のノートパソコンか、新品の場合本体価格が安く教育用としても専用モデルのあるChromebookの購入を斡旋し、先生の負担はあるでしょうがiPadとWindows10(Chromebook)との二種類のハードが利用できる体制にすれば、上記の金額の半額以下で同じことがやれるのではないかと思うのですが。

タッチペンを使って具体的なカリキュラムを作る場合にはマウスの操作では限界が出てくる可能性もありますが、逆にタブレットをBluetoothで接続するタブレットの場合、いったん接続が解除されるとうまく繋がらなかったり暴走する可能性もあります。キーボードを付けてタッチタイピングを教えることができるというのは良い事だと思うのですが、だったらパソコンにシフトしてもいいのでは。

そして、リモート授業を家庭で受ける場合には、光回線を家庭に引いてあることが条件になると思うのですが、その費用負担問題はどうなっているのかとも思います。私は現在楽天モバイルの回線を自宅用として使っているものの、ケーブルインターネットと比べるとやはりうまく繋がらずにルーターを再起動させて復旧させるようなこともあるので、もし家庭で授業を受けていて回線が切れてしまった場合にどう学校の方で対応するのかという問題も出てきます。新しいモバイルインターネットのahamoやpovo、LINEMOの場合や、楽天回線が使えない場合の楽天モバイルの高速クーポンを使い切った後のスピードは最大1Mbpsになるので、最低1Mbps出ていればリモート授業を受けられるようなシステムが望まれますが、これはもう、高校自体でやれと言っても難しいので、高校の問題ではなく行政の問題ではないかと思います。

高校は基本的に義務教育ではないので、こうした費用が払えない場合の抜け道(端末やルーターの貸与など)は用意すべきなのかも議論があるところでしょうし、さらに希望者が多く出た場合に、ハードは十分に確保できるのか? という事も出てくるでしょう。どちらにしてもなし崩し的にやって良いものではないと思いますし、国は20年度補正予算で、高校で低所得世帯に貸し出す端末の調達費を計上し、1台当たり4万5千円を上限としたということですが(義務教育では全員ですが高校では全員ではなくどうしても端末代が出せない生徒への対応)、それならなおさら中古のWindows10搭載したノートパソコンやChromebook、タブレット端末にするにしても、例えば来月末に出るAmazonのFire HD 10 キーボードケース付セットなら、モバイルルーターの貸与代を含めても予算の範囲内で収まるのではないかと思います。

私自身はiPadのメリットを十分承知していますし、予算が許すならiPadを全員で使うのがベストであるとわかった上で、提案させていただいています。今後に向けての解決すべき問題は山積しているように思いますが、こうした事で学校に通う生徒の中で学習の面においての格差が起きて欲しくないですし、リモート学習のためにお金を用意できない家庭があることを考えて他の自治体では提案して欲しいと思っています。


カテゴリー: 通信サービス全般ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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