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ドコモのガラホ 富士通F-05G その2 MVNOのSIMを入れる意味

前回のエントリーでドコモのガラホF-05Gについて一通りの事を説明させていただきましたが、あまりピンとこない方も当然いらっしゃることと思います。なぜなら、紹介したドコモのガラホでできることはほとんど全てスマートフォンでできてしまうからです。それなのになぜあえてガラホを使うのか、具体的なパターンをふまえて紹介したいと思います。

その1 LINE専用電話機として使う

MVNOのデータ専用プランのSIMをガラホの中に入れると電話番号を使っての通話はできませんが、ウェブブラウザからインターネットが使え、さらにLINEがスマホと同じように使えるようになります。

家族と友人だけと連絡を取るだけならLINEによるメッセージのやり取りに加え、音声による電話でもMVNOの低速無制限のSIMで十分間に合います(freetelで低速固定をしたりロケットモバイルの神プランを使うならSMSオプションを付けても月500円以内で利用可能です)。スマホとガラホの2台持ちにしてLINEはガラホに集約させることによってスマホの方の電池持ちを気にすることなくLINEを利用することができます。

また、お子さん用の子供用ケータイの発展形として、メールや電話による連絡でなく全てLINEで行なうことに決めてしまえば、そもそも勝手に子供がアプリをダウンロードすることもできず、電話の発信もできないので勝手に変なところへ電話を掛けてしまう恐れもなく(110番や119番にいたずらや誤りで掛けてしまうケースも想定しないていいわけです)、割と安全にケータイを使わせることができるのではないでしょうか。もし本当に緊急の通報をしなくてはいけないような場合については、子供さんの通学路の中に公衆電話のある場所を教えておき、赤いボタンを押して通報するやり方を教えておいたり、誰かに頼んで通報してもらうように教えておけば今の時代ではそれほど問題にならないように思います。

ただ、F-05GでLINE電話を受ける場合に、画面の矢印表示をカーソルキーを使って動かしてクリックするようにしないと電話を受けられないのは残念です。もし通話ボタンを押すだけでLINE電話が受けられる仕様だったら、もう少し使える年齢の幅が広がったのではないかと思います。

ちなみに、上記で挙げさせていただいた低速無制限というアプローチとは違い、LINE利用時には高速クーポンが減らないメリットや、MVNOで唯一年連認証が可能で、ID検索が使える「LINE MOBILE」のSIMは残念ながらLTE専用のためF-05GやSH-06Gでは利用できませんが同じガラホでも4G(LTE)が使えるSH-01Jでは利用が可能になりますので、手に入れたガラホが4G対応のものだった場合は検討するのもいいでしょう。

LINEモバイル

その2 5分定額プラン+データ通信でガラケーを使いたい場合

この文章を書いている時点でドコモのプランを見ていると時間制限のないかけ放題のプランをガラケーで契約できるものの、5分のみ定額の「カケホーダイライト」プランはケータイでは契約できないようになっています。そんなに通話しないものの5分定額なら付けたいと思っても無理で、料金的には無料通話の付いた「タイプSバリュー」あたりがドコモと契約して使う際の代替のプランになりそうですが、何とか通話5分定額プランにパケット通信も加えたプランが使えないかと思っている人には、MVNOの5分定額プランにデータ通信の高速クーポンが1~3GBくらい付いても月額2千円前後で提供されているのは有難いことです。

ただ、MVNOに移ることでキャリアメールが全く使えなくなってしまいますので、メールはガラケーの時のアドレスを使い続けたいと思われる場合はこの手段は使えませんのでご注意下さい。もしキャリアメールの代わりに相手の電話番号にSMSを送ることで何とかなりそうなら、数あるMVNOの中でもOCNモバイルONEなら月5回まではSMSの送信料が無料になりますので、うまくこの仕組みを使えばスムーズに乗り替えられるかも知れません。もちろん相手がLINEを使っているなら、早くLINEを使ったメッセージのやり取りに慣れてもらうようにするというのも有りかも知れません。

また、DTI SIMを除く5分定額を扱っているMVNOではドコモ回線でなく独自の通信網を使っているので、プレフィックス番号を電話機に登録し、電話を掛ける前に番号の前にプレフィックス番号を付けるかどうかいちいち確認した上での発信になりますのでその点を十分了解の上利用するようにしましょう。

(追記)
その後の情報で、FOMAではダメですが、2016年の冬モデルとしてドコモが投入するLTE対応でVoLTEが使えるフィーチャーフォン(ガラホタイプ)で、新たな料金プランとして五分以内の通話を定額にする月額1,500円のプランを出すそうです。しかし、これにSPモードの300円とパケットプランをつけると最低でも2千円くらいかかって、データ通信はほとんどメール中心というようなものになりそうです。これを書いている段階ではLTE対応ガラホのSIMカードをFOMA端末に入れ替えて使おうとするとどうなるかもわかりませんし、改めて新機種のスペックと新機種のための料金プランを見て、3GのFOMAのままがいいのか、早めにVoLTEが使えるガラホにした方がいいのかということについては考えてみたいと思っています。

その3 テレビだけでなくラジオも聞けるケータイとして使う

今回利用しているF-05GではGPSが搭載されていないため、位置情報を使ってエリア判別をする民放ラジオが聞けるアプリradikoが使えませんが、それでもアプリの「らじる★らじる」をインストールすればNHKのラジオは聞くことができます。ただ、一人で楽しむためにはBluetoothイヤホンが必要になりますので、その点はご注意下さい。

今まで多くのガラケーが出ましたがAMラジオが聞けるモデルはドコモのまだ2Gのmova時に出した「RADIDEN」があっただけでした(3G対応のラジオ付き携帯は技術的に出せなかったのでmovaで出したという話もあります)。今ではハードが完全にスマートフォンに移行したことと、インターネットラジオの普及があるのでラジオチューナーをガラケーに載せるという事自体が時代に合わなくなっています。

そんな中で、ネットラジオではあると言ってもガラケー単体でラジオが聞けるというのはやはり便利です。普段は使っていなくても常にラジオを持ち歩いている人ばかりでもありませんし、災害時に長時間情報を収集するためにはワンセグを流しっ放しにするよりも画面を閉じても聞くことができるラジオの方が安心して流し続けられます。

ラジオを長時間聞く場合には低速無制限のプランがあるMVNOとのセットで利用するのがおすすめです。月々のコスト的には月額500円以内でも低速のみで無制限のプランは出ていますので、ネットもLINEもできてラジオも聞ける端末を持ち歩くのも悪くない気がするのですが。

このように、ガラケーの大きさで色々できる端末というのは個人的に考えてもウィルコムが出していた「京ぽん」以来という感じもしますし、安いMVNOのSIMを入れて、画面やメモリに制限がある中、これだけで何ができるかということを考える事も楽しい端末ではないかと私は思います。今回挙げさせていただいた3つのコンセプト以外にも、新たな使い方についてここをお読みの皆さんも考えてみていただけると面白いのではないでしょうか。


ドコモのガラホ 富士通F-05G その1 その概要

F-05G

写真のものが今回紹介するドコモが出したガラホのうちの一台である富士通のF-05Gですが見てくれは普通のFOMA契約(3G通信専用)のガラケーに見えるだけで、とりたてて語ることのある端末には見えないというのが正直なところです。

実際、多くの人はガラケーの中の一つとしてしか認識していないでしょうし、FOMAカードを入れた通話やメールに使うのが主になると思われます。しかし、この「ガラホ」というジャンルの端末には多少の可能性が隠れています。それは、OSにAndroid4.4.4が使われていることから、Android搭載のスマホで使えるアプリの中の一部のものを強引にインストールして利用できるようになっています。

さらに、従来のガラケーのようにドコモ契約でしかまともに使えないということもなく、Androidスマホで使える、ドコモから回線を借りたMVNO業者のSIMカードも利用できるようになっています。F-05Gでは「メニュー」「設定」「通信・機内モード」「モバイルネットワーク」「アクセスポイント名」という順序で画面を開いていくとAPNの設定項目があり、そこから利用できる業者を増やせます。

ここではSo-netへのアクセスポイントを増やしてみましたが、ガラケーの場合はデータ通信はiモード専用なのに対し、このガラホはiモードが使えないため標準のネット接続タイプがSPモードになっています。ドコモと直接契約した場合にはSPモードのアクセスポイントを使わざるを得ませんが、基本的に3Gでの通信をサポートしているMVNOのSIMカードなら、全てこのF-05Gで使えます。なお、SIMカードのサイズはnanoSIMなので、それまでiPhoneで使っていたようなSIMカードをそのまま流用することも可能です。

また、音声プランのないデータ専用のSIMを入れて使うこともできます。ただ、設定のバッテリーの状況を見ると、「セルスタンバイ」の占める割合がかなりのものになっているのでいわゆるセルスタンバイ問題が発生している可能性があります。気になる方は同じデータ通信のSIMでもSMSオプションの付いたものを使った方がいいかも知れません。ただ、SMSオプションが付いていないSIMであっても、ものすごい勢いで電池が減るような事はなく、ある程度データ通信を使っていても一日は十分に持つくらいは使えますので、すでにあるSIMを使う場合はそこまでSMSオプションにこだわらなくてもいいのではないかとは思いますが。

MVNOの音声プランをこのガラホに入れて使う場合に気になるのが、最近のMVNOの音声通話付きの「5分間定額」のサービスが使えるのかということもあると思います。一部のMVNOではドコモ契約と同じように何もしなくてもガラホで5分定額が使えるDTI SIMのようなところもありますが、その他の5分定額では共通のある仕組みがあります。多くのMVNOが5分以内定額を実現するために利用しているのが、電話番号の前に特定の番号を付けた上でダイヤルするプレフィックスサービスの利用です。スマホでこのサービスを使う場合は各々の電話サービスに合った専用アプリを電話用に使うことであまり電話を掛ける時に意識しなくても自動でアプリの方が特定番号を電話番号の前に付けた上で発信するようになっているので、5分定額の仕組みを全く意識しなくても使うことができるようになっています。

ただ、このサービスを普通のガラケーで利用しようとすると、相手の電話番号を押す前に利用する業者によって違う特定のナンバーを押してから電話しなければならず、掛ける度にいちいち同じように番号の入力をしなければ5分定額になりません。もし全てを手動で入力することになればかなりのストレスがたまるでしょう。

ただし、既存のガラケーの中でも一部の作業を自動化する設定が付いているものがあります。特定の番号をあらかじめ電話機に登録しておくことにより、電話帳から呼び出す際に相手の電話番号の前に特定の番号を付けるか、緊急通報の番号などであえて特定の番号を付けないで掛けるかを選べるようにできるのが「プレフィックス設定」の機能で、特定の番号を事前に登録しておけば発信前に電話番号の前に特定番号を付けるかどうかを選ぶことができます。

F-05Gでは「メニュー」「電話機能」「発着信・通話設定」「発信設定」「プレフィックス設定」を選び、番号を追加すればスマホで専用アプリを使う場合より少し手間はかかりますが、確実に電話番号の前にプレフィックス番号が付いているかを確認してから発信できるので、ある意味安心できるという側面もあるでしょう。電話帳から呼び出して発信ボタンを押す前にプレフィックス通話を選べばその電話については5分定額の対象になります(当然、5分定額を使うためのオプションへの加入が必要になります)。

MVNOをこのガラケーで使う場合、APNの設定をちゃんとやれば、後は普通にネットが使えるようになります。ただ、本体にあるメールアプリはドコモのキャリアメール用なので、素のまま使う場合はメールはショートメールのSMSしか使えません。しかし、後述するAndroid用アプリでメーラーを入れればパソコンメールやGmailを扱うことはできます。ただ唯一プリインストールされているAndroid用のアプリとしてLINEが入っているので、ログインすれば友人とのメッセージならこれで普通に使えるようになります。ブラウザもフルブラウザがMVNOで使えますので、ウェブメール的にメールを見るならそれでも十分かも知れません。あえてメーラーは入れなくても、デフォルト状態でもネットを利用した情報を入手したり、友人とのコミュニケーション用としては使い物になるでしょう。

とは言っても、さらにF-05Gのネット機能を活用したい方は、数多くあるAndroid用アプリの導入をしたいところです。しかし内部のストレージは1.75GBしかありませんので、当然好きなアプリを次々に入れるわけにもいかず、本体で使えないアプリもあるなど制限はあります。加えて、アプリとしてはGoogle Playを使ったアプリのインストールを行なうことはできません。それでも、パソコンやスマートフォンを使って一部のアプリを強引にインストールして便利に使うことはできます。

その方法については同じガラホであるauのSHF31・SHF32について紹介されているページで詳しく解説されていますので、ここでは詳しくは触れません。さらに、このF-05GにはGPSが付いていないのでそのために動かないアプリもあります。最後に、私が導入して便利に使っているアプリを紹介させていただきます。目一杯ガラホとして使うならシャープのSH-06Gの方がおすすめかと思いますが(^^;)、間違えてF-05Gを買ってしまって何とか活用したいと思っている方は参考にしてみて下さい。

・ESファイルエクスプローラ(ファイラーの定番)
・CallLauncherFree(ランチャーアプリ)
・QuickPic(画像閲覧用)
・SobaCha(twitter用アプリ)
・Y!スマホ最適化ツール(節電設定やメモリの活性化が簡単にできる)
・En2ch(2chビューワー)
・青空読手(青空文庫のビューワー)
・らじる★らじる(Radikoは地域判定できず。NHK用のこちらは動きました)

(追記)
あえてF-05Gを選ぶ場合のメリットとして、特に以前富士通のガラケーを使っている人にメリットが出る可能性があります。というのもF-05Gに付いている卓上ホルダは多くの富士通のガラケーで使われていたF30と互換性があります。違いはアダプタの形状がmicroUSBになっているだけなので、古いものをそのまま使ってもいいですし逆に昔のガラケーをmicroUSBで充電するために使ってもいいでしょう。


ダイハツ ムーヴキャンバス カタログから見た車中泊のしやすさは

軽自動車は主にスズキを乗り継いで来た私ですが、以前はダイハツの軽自動車にも乗っていました。昔のミラで四国八十八箇所巡りをする中で、狭いミラの車内でシートを倒しただけで車中泊をしていたのはかなり昔の話です。その当時は快適に車中泊する方法などについての知識が全くないまま、気ままに車での旅をしていました(^^;)。

その後、ダイハツからスズキに乗り替えたのは、当時のワゴンRでは助手席の前倒しをしてそこから後部座席まで長いスペースを取れるようになってからです。このシートアレンジは今のワゴンRやハスラーにも受け継がれていますが、ダイハツの新しい車はどうなっているでしょうか。

キャンバス表紙

先日たまたまダイハツのムーヴキャンバスという車のカタログを手に取る機会がありました。NHKの朝ドラ女優が出演しているコマーシャルが最近目に付きますが、様々な運転する人に優しい機能が売りの車のようです。この車での車中泊のしやすさについてはどうだろうという事で、カタログのシートアレンジのところを見てみました。

フルフラット

すると、残念ではありますが、メーカーの紹介するシートアレンジでは前と後ろの座席をつなげてフルフラットにはできるものの、完全にフラットになるわけではないようです。高速道路を走行中に疲れて仮眠を取るならこのシートアレンジの上にそのまま横になってもいいかも知れませんが、ゆっくり手足を伸ばして休みたい場合や、災害時の避難所代わりに使う場合には、生活が長期化すればするほど体への負担は出てくるかも知れません。

ラゲッジモード

ただ気になるのが、上のシートアレンジでそのままだった後部座席を前に倒すとどうなるかということです。カタログには後部座席を倒すシートアレンジについても紹介されているのですが、写真のようにフラットと言うよりはちょっと斜め上に傾斜が入ってしまいます。ただ、この状態で助手席を後ろに倒してシートの前後を繋げることができた場合、コットなら多少の傾斜は付くものの何とか置くことができそうではあるのですが。この点については実際にシートを動かして確かめるしかありませんが、前後の座席をつなげた状態で後部座席を前に畳むことができれば、コットを乗せたまま走り、寝たい時に寝るような事もできるかも知れないので、それなら車中泊の旅にも使えるのではないかとも思えました。

ただ、完全なフラットスペースはできないということはこのカタログを見ただけでもわかりました。ダイハツのムーヴやタントという車は大変いい車だと個人的には思うのですが、もう少しシートアレンジを何とかして、車中泊を快適にできるような工夫をしてくれればいいのにと思います。もっとも、そうしたユーザーの声を汲み上げる形でダイハツにはレジャーに使う層をターゲットにしたウェイクという車もあり、車中泊をしたい人はそちらにしろという事なのかも知れませんが、このムーヴ キャンバスは個人で使うというよりも家族で日々の足としてだけでなくレジャーにも楽しく利用するような車に仕上がっているだけに、いざという時には特別な装備を使わなくても父母と小さなお子さんが足を伸ばして寝られるようなシートアレンジができるなら、遊びに行った先で立ち往生してしまったり、災害に巻き込まれてしまった場合に役に立つことにもなります。そうした機能を欲して自分でそんな空間を作ることができるだけのスキルがある方なら問題はないでしょうが、室内が広胃スペースを持つだけにノーマルのままでシートアレンジの妙で大人でも寝られるスペースを作ってくれると本当に有難いです。

そうした事を総合的に考えた結果、私自身が買うかどうかと言われれば、そもそも車の中で寝ることを第一の目標にする毛色の違ったニーズを前面に押し出した車でないと魅力を感じないので、現状ではこの車よりも座席がフラットにしやすいものを選ぶでしょう。

しかし、普段乗りに使いつつ、長距離の走行でま車内で仮眠を取るだけなら全く問題がないように思います。レジャーでの移動が主で車中泊はいざという時にはと考える方なら、十分に検討する余地があるでしょう。