NHKが受信料を下げないのは「ネット配信のため」もあるのか

このブログでは、実際に自宅を離れてモバイルのネットが頼りになるようなケースを考えつつ、従来のワンセグが使えないような場所でもテレビが見られる可能性のある、テレビ放送の常時同時ネット配信についての流れについて、何か新しい情報があれば書くようにしています。

先日、NHKが具体的な年度まで目標にして地上波と同じ放送をネットでも流すという方針に対し、民放のトップが反対を打ち出したところまで紹介したと思います。今回は、そうした流れでいくとネット配信の実現は遠のいたのかと思ったところ、思わぬところからネット配信についての話がニュースになっていました。

NHKの受信料を下げるという話が最近あり、今後のなり行きを期待していた方も少なくないと思いますが、昨日のニュースによると2018~20年度の次期経営計画案とともに受信料の値下げについて議論している中で、受信料は値下げしない方向で調整に入ったということが毎日新聞の取材でニュースになっていました。

民放からの意見はあるものの、NHKは将来的にはあくまでネット同時配信は行なう予定のようで、ネット配信のための初期投資(常時で同時配信するためには回線のバックボーンなどがしっかりしていないと集中するアクセスに対応できないためと思われます)に約50億円、運用に年約50億円などを見込み、さらに18年末に実用放送を開始する超高精細映像4K・8Kなどに多額の経費がかかるということで、受信料はそのままでという方向らしいです。

個人的にはネット常時同時配信というのはあれば有難いという立場ですが、もし上記のような投資をネット配信を開始することになると民放もそれぞれしなければならないなら、さすがに民放各社の中には離脱するところも出てくるかも知れませんし、もしかしたらNHKしか同時配信をしないようになってしまうかも知れません。さらに、NHKが常時同時配信を実際に開始すると、現在日本で一番普及しているiPhoneを使っているだけで(iPhoneにはワンセグチューナーは入っていません)テレビは持っていない人からも受信料を取る根拠になるわけで、NHKがどうしてもネット常時同時配信をやりたいと意気込む理由もわかります。

元来、公共放送の使命とは何かということを考えると、常時同時ネット配信というインフラの整備は当然必要だと考える方もいるかも知れませんが、ネット接続であるからこその不確定要素というものもあります。それが長期にわたる電力供給ができない場合などの災害時に使えないという問題です。

そう言った意味では、前回紹介した新ラジオシステムの「i-dio」は地域ごとにそれぞれ違う細かな情報を配信することも可能で、送信設備さえ無事で専用端末が電池でも動けば停電とは関係なく情報の入手が可能です。そう考えると「i-dio」が生き残る道の一つには、そうした非常時の利用を前提としたところもあると思いますが、災害時の地上波テレビのネット配信については、送信設備だけでなく、ネットを使いたい場所の近くにある中継局も止まることなく動いてなければならず、その点は電波による直接受信と比べると劣り、災害用としては使えない場合の方が多くなるのではないかとも思えます。

そう考えると、普段の生活の中で地上波テレビの常時同時ネット配信を使うというケースは、iPhoneのような元々チューナーが付いていないスマホを除けば、ワンセグがどうしても映らない野外でテレビを見たい場合でもないと使わない人も多いのではないでしょうか。そこまでしてテレビは見なくてもいいと思う人もいるでしょうし、低速通信ではスムーズに見えなければ、あえて高速クーポンを使ってまで見る人というのはよほど特殊な場合であると言わなけれはなりません。

現状でも車に設置するアンテナを付けるなどしてワンセグをそのまま使うか、さらにBSを直接受信する設備を付けることで、どうしても車の中でテレビを見たいというニーズには対応できます。さらに、自宅の上り回線が高速の光回線を使っていれば、自宅のテレビをネット経由で外でも見られる方法についても確立されているので、自宅にそうした機材を用意してモバイルでも高速回線が使えれば(私の使っているセットでは低速ではさすがに快適にはテレビ視聴は無理でした)、ネット経由でBSCSを含めたテレビ放送をネット同時配信の仕組みを自前の装置のみで利用することも可能です。

まあ、NHKは初期投資に50億円も掛けるのですから低速の128kbps(大手キャリアの低速に制限された場合の速度)でも十分に鮮明な画像でネット経由のテレビを楽しめるように準備するのでしょうが、まずはコアな旅行者以外にどのくらいのスマホユーザーが地上波常時同時ネット中継を望んでいるのかをまずは調査した方がいいような気もするのです。私自身は衛星放送を含め受信料はきちんと収めていますので、できればBSまでネットでの常時同時配信をやってほしいと思いますが、個人の希望と契約者全体の意向とは違なることもあるわけですから、NHKには実勢を的確に判断して、多くの契約者のためになるような方向へ進んで行って欲しいと思います。


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