タクシーの運転手の数が少ない事が問題になっている中、昨日朝のテレビニュースを見ていたら20代の運転手の人が運転するタクシーが東京都港区で自転車に乗った高校生と人身事故を起こし、被害者は報道時には意識不明の重体というニュースを見ました。被害を受けた方の意識が戻ることをお祈りしながら、一つの疑問が浮かんできましたのでここに書かせていただきたいと思います。
現在のタクシーは昔のそれと違って、東京の複雑な道であってもその道を全て覚えることなく、カーナビに目的地を入力すれば運転をアシストできる点から、そこまでタクシー運転手の負担は少なくなっています。恐らく今回事故を起こされた運転手の方も、そうした状況があるからこそ、運転手として働いていたのではないかと思います。
さらに、昔と違う点というのは、カーナビだけでなく様々な安性に関わるアシスト機能が車に付いたことです。レーンからのはみ出しを検知したり、衝突するかも知れない状況では自動ブレーキが起動して事故を回避したり、私たちはテレビコマーシャルなどでもそうした素晴らしい機能の付いた新車の性能を見ています。
今回、テレビでは事故を起こした車両が出ていましたが、車名はすぐにはわかりませんでしたが、車に付いていた会社名のロゴから、その会社が採用しているタクシー用車両がニュースで出ていたものと同じだと思い、その車種が個人的にではありますが特定できました。その車種とは、トヨタがタクシー用として作っていると思われるその名も「JPN TAXI」という車ではないかと思われます。
車名がわかれば、その車の安全性能についてもネット上で追っていくことができます。トヨタのホームページで調べると、この車には当然ながら、数々の安全装置が付いています。今回の事故との関連で言うと、衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者)やペダル踏み間違い時加速抑制装置など安全運転を支援する装置を搭載しているということです。
運転手は現場で逮捕されたとニュースでは報じられていましたが、ここで一つの疑問が生じます。ニュースでは、高校生が横断歩道を渡っていてタクシーにはねられたという事なのですが、その際に衝突被害軽減ブレーキは効かなかったのか、効いていても相手が意識不明になるほどの衝撃だったのか、その辺が良くわかりません。
タクシー運転手が信号無視をしてかなりのスピードで交差点に侵入するような状況であれば、急ブレーキがかかってもなかなか車を安全に停止させることは難しいので、当然過失運転の責任が問われるわけですが、タクシー運転手は十分に休養をしてハンドルを握っていると思うので、「なぜ安全装置付きの車で重大な人身事故が起こったのか」という点について、しっかり解明をお願いしたいと個人的には思います。
これから、有人から無人へと車の運転はシフトされていくと思いますが、もし安全装置が働かなかったということになると、現在自動運転車を開発されている方々にとっても大きな問題であるとも言えます。と同時に、今後もしタクシーが自動運転になったとして、今回のような歩行者・自転車との重大な人身事故を未然に防ぐためにはどうすれば良いのか、それをきちんとクリアしてもらわないと大変ですし、その前段階の課題もあります。
以前から報道されているように、タクシー運転手の労働力不足を補うものとして、2024年4月から「ライドシェア」のシステムが一部地域で解禁されます。「ライドシェア」とは、一般のドライバーが自家用車を使って有償で旅客を運ぶ仕組みですが、ドライバーの所有する車の安全性能というのはまちまちで、常に正確に動作するのかの点検を定期的に行なえても今回のような事故が起こる場合には、本職のタクシードライバーと同じように、たとえ別に仕事を持っているような方でも、きちんと乗車前には一定時間の休息が必要になってくると思います。そうした勤務管理はどうするのかとか、大きな事故が起こってから検討されるのでは遅すぎます。