「デジタル円」の検討を開始したとのニュースに感じる徹底的な通貨管理の方向性

現在、民間企業出資により数々の電子マネーがその覇権を競ってつばぜり合いを繰り広げています。私も交通系のものから通信会社が主導するものなど、色々な電子マネーを利用しているのですが、今度は政府主導の「デジタル円」が? という事になっているのですが、今すぐどうのこうのということはないとは思いますが、電子マネーと「デジタル円」はその使い方は同じでも、デジタル円の方は政府が保証する電子マネーなので、現在の電子マネーのように事業主体の経営状態が立ちいかなくなった場合に持っている電子マネーのデータが使えなくなる恐れはないと言って良いでしょう。

同じく現金と同じなので、現在の電子マネーのように決済をすること自体でお店が払う手数料がなくなる可能性もあります。全てを「デジタル円」として紙幣の印刷や硬貨の鋳造をしなくなるということはないでしょうが、果たして今の電子マネーは「デジタル円」に置き換わっていくのでしょうか。

そのヒントと言えるかどうかはわかりませんが、現在国が必死になって普及を始めているマイナンバーカードを健康保険証として使えるような政策を取っています。今後は運転免許証の機能も入るということになると、近い将来はこれ一枚で免許証も保険証も、証明書類もこれ一枚に集約することを目指しているようなので、今後は免許証の代わりに常時携帯する前提で持たなければならない感じになっていくのかも知れません。マイナンバーを作った時には他人に知らせないようにという話だったのが、将来的には落としたら個人情報の流出も考えなければなってきます。

デジタル円の情報をスマホで管理する場合も、あくまでお財布代わりの小口現金使用という感じで使うか、使用する直前にチャージしてスマホのアプリにお金を残しておかないような配慮も必要になるかも知れません。そして、デジタル通貨として使うということになると、国内の全てのお店で現金と同じように使えることが必要になってくるのではないでしょうか。そうなると決済用の機械導入についてはどうなるのか。マイナンバーカードを保険証として使えるようにするための機械は医療機関の側が負担して揃えるような話を聞いているのですが、もし「デジタル円」が流通するようになったら、国内のお店および個人事業主はそうした決済用の端末を用意することになるのではないでしょうか。

恐らくスマホやタブレットとネット環境があれば決済は利用できるので、影響は少ないと思いますが、「デジタル円」が流通することになったら旧態依然とした現金決済だけのお店は色々と不自由を被ることになっていくでしょう。それが淘汰というものだということなのでしょうが、全国一律にデジタル円を普及させることで、今ある電子マネーの利用者が減り、公正な競争が行なわれないまま一部の電子マネーが淘汰されてしまう危険も出てきます。

もちろん、そうした問題や、停電・ネット不通時にどうなるのかという、負の影響についても今後十分に検討されるだろうと思いますが、せめて今まで導入した電子マネー決済用の機材が流用できるようにするとか、どうしても自力で決済装置を置けないお店には補助を出すとか、みんなが便利に使えるような話し合いをして欲しいと心より思います。


カテゴリー: 通信サービス全般ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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「デジタル円」の検討を開始したとのニュースに感じる徹底的な通貨管理の方向性」への2件のフィードバック

  1. ケータイオタク

    デジタル通貨が電子マネーに置き換わる事は無いと考えています。通貨のすべての動きを管理する事はプライバシーの観点からだけでなく経済性の問題からもコスト的に負担できないものになると思います。
    民間レベルの場合は管理コストとバランスで管理程度が異なってくる。ただ電子マネーとの互換性はスムーズになるのでは。
    国家による管理統制を危惧する向きも多いけどその観点で欠けているのがコスト概念。デジタル人民元も管理コストの問題で停滞していると思います。
    日本人はとにかく見えないコストに対する意識が低いです。
    ただデジタル通貨自体は導入はされると思います。デジタル人民元が実用化されるとドルの基軸通貨としての地位が低下します。デジタル通貨であれば国際的な移動においても両替などが容易にもなります。
    複数の決済手段がある事はプライバシー保護観点からも望ましい。ただ問題は複数の手段を選択可能とすると自分で考える習慣の無い人々はわからんと言って怒り出す事です。
    災害時には現金でないと使えないと言う現金主義者は多いですが、キャッシュレス派と言っても複数の手段を使いわけるものだが、現金主義者は現金と言う唯一選択を考える習慣が無いからかキャッシュレスと言えば現金を使わないと思い込んでピンボケの主張の繰り返し。
    ただ言える事はデジタル通貨にしても電子マネーにしても流通における重要性が高まるとスマホ無しでは生活しずらい、出来ない時代になりますね。
    今までの日本社会は付いていけない人はどうすると変化を妨げてきましたが、現代社会は付いていけない人を救う余裕がなくなりつつあると言う事ですね。

  2. てら 投稿作成者

    ケータイオタクさん コメントありがとうございます。中国のデジタル人民元については日本の円と記号の表記が同じため(¥)、通販で中国の物を購入する際に気を付けないとレートの違いで大損するというような話が挙がってきています。今後はそんな事も考えながら電子決済を行なっていかないとまずいですね。

    デジタル円が実現されれば、例えば年金の支払いなどは銀行の口座に役所が振込しなしても個人のデジタル円口座に入ったものを動かせば良くなるとしたら、今後ますまず銀行は厳しい時代になりますね。海外からはアップル銀行の進出が日本にもあるのかわかりませんが、今後はデジタル決済で簡単に通過を両替し、その運用で稼ぐような事もやりやすくなってくるかも知れません。もちろん日本円から海外通貨にする場合のリスクは出てくるでしょうが、日本経済が今のままなら、必要最低限のお金は円で使うものの、それ以外の資産をどんどん円から他の通貨に変えるような人も出てくるのでは。とにかく、極端な事にならないように、政府には頑張って欲しいものではありますが。

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