OCNモバイルONEの新料金プラン発表 「OCNでんわ」を使っても専用アプリが必要ない理由とは?

個人的にはMVNOとしてのほぼ最後の料金プラン改定ということで注目していたNTT系列のMVNOであるOCNモバイルONEが2021年4月1日から適用する新しいプランの内容がようやく出てきました。正直その内容にはそこまでびっくりするような点はなかったのですが、主に通話定額オプションを付けた場合に少し感じが違ってきています。

今までは大手キャリア以外のMVNOでの通話定額オプションというのはほとんど24時間無料の設定がなく、さらに5分とか10分の定額でも相手の電話番号の前に4ケタのプレフィックス番号を付けることでデータ通信のいわゆるIP電話よりは通話品質が良く安く使えるようになっていました。このプレフィックス電話による通話は専用線ではなくあくまで中継電話サービスなので、音声専用のVoLTEを使えるわけではありませんが、この種のサービスを使っている人が音声通話品質について不満を感じているような事はあまり聞かないので、このパターンでも十分だと言えたのかも知れませんが、一つ問題がありました。

というのも、MVNOのかけ放題を使うには電話番号の前に4ケタのプレフィックス番号を付ける必要があります。これは手動でいちいち付けてもいいのですが、スマホの場合は業者が提供するダイヤル用アプリを使うことで、アプリが自動的にプレフィックス番号を付けてくれます。利用者側も専用のダイヤルアプリ(OCNモバイルONEの場合は「OCNでんわ」アプリ)を使っている通話については、無制限を含む定額が実現していました。

今回、OCNモバイルONEは、恐らくOCNのSIMカードを使う通話についてはプレフィックス番号「自動付与」の仕組みを使っていると思うのですが、専用アプリを使わなくても「OCNでんわ」からの発信ができるようになったようです。今後はガラホでの利用や、専用アプリを使わずともスマホに最初から入っているダイヤルアプリを使ってもOCNモバイルONEのかけ放題を利用できることになったわけです(当然オプションプランの契約が必要)。今までは専用アプリからだと110番・119番などへの電話ができませんでしたが(その場合にはダイヤルアプリから電話することになるため混乱してしまう原因になっていました)、そんなトラブルとも無縁になり、自動的に電話番号でシステム側が判断してくれると言うなら、他の専用アプリを利用するMVNOとの差別化になり得ます。

またオプションプランに入っていない人でも、音声通話付SIMカードからの発信については今までの半額である30秒10円(税込では11円)で利用できるようになるそうです。音声通話付SIMの最安値はデータ通信容量1GBで月額税込770円(税抜700円)で保持できますので、ほとんど通話しないもののたまに通話するくらいなら、月額千円以内でスマホを使うことができるようになりそうです。

通話オプションについては、完全かけ放題が月額1,300円(税込1,430円)・10分以内定額なら月額850円(税込935円)で実現できます。最安の1GB770円と組み合わせる場合には完全かけ放題で税込2,200円、10分以内定額利用で1,705円となります。

個人的にはこのプランは、専用アプリはいらなくなるとは言え、そこまでそそられるプランとは言い難いのではと正直思います。というのも、新プランになりそれまでの売りだった低速200kbps固定での利用ができなくなり、音楽系アプリでの制限なし利用のオプションはあるものの、「低速(節約モード)での通信量が基本通信容量の半分を超えると、さらに通信速度を200kbps以下に制限する場合があります。」という内容で新プランは回っているので、1GBを使い切ってしまったら低速で運用するのもなかなか大変だろうと思います。

また、通話定額についても60才以上のシニア利用ならUQモバイルの場合は月3GBのデータ量が使え、専用アプリは当然使用せず、さらにVoLTEで使えるかけ放題でも月額2,180円(税込2,398円)で利用できます。UQの3GBプランなら、データ通信については低速利用でもOCNモバイルONEより早い300kbpsで、しかも低速利用時の制限なしで使えるので、auのエリアで不自由がない人でしたらシニアの方々はまずUQで検討した方が良いと思われます。

UQの場合は60才未満の利用では割引が適用されないので、その場合は上記金額の1,000円アップになりますが、主に通話にスマホを使い、そこまでデータ通信を使わない場合には、同じドコモ回線を使う日本通信のプランの方が最低でも月3GBから使えて月間70分まで定額(それ以降はOCNモバイルONEと同じ30秒10円)で使える「Wスマートプラン」なら月額1,580円(税込1,738円)と、OCNモバイルONEの10分以内かけ放題と比べるとプランのスペック上は日本通信に軍配が上がるのではと思います。かけ放題を希望する場合も、同じ日本通信の「合理的かけほプラン」ならデータ通信月3GBの場合2,480円(税込2,728円)となり、こちらは若干価格の差は出てしまうものの、日本通信のプランの場合はVoLTEが使えてデータ通信量が多いことを考えると、あえてOCNモバイルONEを選ばなくてもいいのではないか? という風に思えます。

今回のOCNモバイルONEの発表は、NTTと総務省の談合疑惑が公になった状況での動きとなり、なかなか思い切ったプランを出すことは難しかったと思います。そもそも、NTTドコモをNTTが完全子会社化した段階では、auに対するUQ、Softbankに対するYmobileのように、ドコモがOCNモバイルONEをドコモのサブブランド化して、戦略的なプランを出してくるのではと思っていたのですが、唐突なahamoの登場でOCNモバイルONEの方向性が揺らいできたような気がしてなりません。

せめて今回の新プラン発表では、最低速度でも1Mbpsで使えるようなプランが出てくるのではないかと期待していたのですが、ドコモ本体がahamoを出してしまったことが逆にOCNモバイルONEとしては、ahamoのようなプランを出しにくくなったという点では実に皮肉です。IIJmioのようなeSIMの格安プランのようなインパクトも無いですし、唯一のメリットは契約とスマホ同時購入でスマホが安く買えるという点しかないといったら言い過ぎでしょうか。賢く利用する方は、まずはOCNモバイルONEでSIMフリースマホを安く購入し、一定期間利用した後で本命のブランドにそのスマホとともに乗り換えるというのが一番いいのかなと思います。ただこんな状況が続けばOCNモバイルONEの業績にも影響してきてしまうでしょう。新プランが出たばかりですが、もう少し戦略的で乗り換えようと思うようなプランを改めて開発して欲しいというのが正直なところですね。


カテゴリー: 通信サービス全般ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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OCNモバイルONEの新料金プラン発表 「OCNでんわ」を使っても専用アプリが必要ない理由とは?」への2件のフィードバック

  1. ケータイオタク

    UQモバイル60歳以上の方には良いですね。UQモバイルなら200円でキャリアメールも使えるようになる。
    店頭でも契約できるし、音質も通常の回線を利用しているので安定している。
    それを考えるとOCNは中途半端ですね。ただドコモ系は白ロムなどでも対応しやすいと言う面はあります。
    ただSIMフリースマホが一般的になると厳しいですね。

  2. てら 投稿作成者

    ケータイオタクさん コメントありがとうございました。

    もしOCNモバイルONEがドコモのサブブランドに変わり、店舗での一部販売もしてくれたら、それこそスマホに関するスキルがないながらも毎月の利用料金を安くしたい人の受け皿として機能したと思いますが、ahamoはある程度のスキルがなければ契約すらできません。現状ではUQモバイルで端末込みの契約をするのがシニアの方々が安くそれなりにやりたいことを実現するには良いのではと思います。

    ただ、UQの場合はシムフリーといってもau系のVoLTEが使えないケースがあるかも知れませんので、契約前には事前確認が(特にiPhoneの場合)は必要になるでしょう。先日のモバイルSuicaの問題などもありますし、政府が通信会社乗り換えをすすめるなら端末についてもきちんと販売時にどのサービスや、通信事業者では一部使えないなどの説明をすることを義務付けて欲しいものです。

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