総務省が認可したNHKの「常時同時配信」はフェアなのか

2020年1月14日に総務省がNHKに対してテレビ番組を放送と同時にインターネットに流す「常時同時配信」の計画を認可したという報道がありました。世間では、これでワンセグ機能のないスマホやインターネットにつながるパソコンを含む映象機器を持っているだけでも受信料を請求されるのではないかと疑心暗鬼になっているような感じですが、個人的にはそうした問題とともに、過去にも書いていますが、これで他の民放との公平公正な競争ができるのかというところについても考えてしまいます。

現在、インターネット配信による放送を行なっているのは地上波ではないものの、テレビ朝日のスタジオからニュースも報道している「AbemaTV」がありますが、この配信もネットが繋がれば全国で見ることができますし、画質を落とせば高速の使い慣ぎで低速になってしまっても何とか見られるクオリティを確保しています。

個人的に気になるのが、果たしてスマホの高速通信時でしかまともに見られないくらいのクオリティで配信されるのか、ユーチューブの最低画質くらいで低速でも何とか連続して見られるくらいのものになるかということです。少なくとも、高速通信が条件であるような配信だったら、それで受信料を取ろうとするのは問題が出てくるのではないでしょうか。例えば高速クーポンを切ったり使い切った状態でまともに同時配信の番組を見られないような現状であれば、あまり配信されてもメリットを感じない人もいるでしょう。

個人的な考えでは、当然大手3キャリアが通信制限を行なった後の最大128kbpsでも何とか止まらないで見られるクオリティを保てるようでないと(画質の面は別にして)、モバイル環境で普通に見ることすらできなくなるわけですから、あまり利用しなくなると思います。もし、こちらの希望通り低速でもそれなりに見られるインターネットでの同時配信が実現したら実現したで、問題は起こってくると思いますがNHKはどこまで想定しているのでしょうか。

どういうことかと言うと、車で車中泊の旅に出掛けて、ワンセグすら映らない場所であっても携帯電話の電波が届くところにいれば、NHK東京の番組がリアルタイムで受信できるということになったとしたら、他の民放や他の地域のNHKの番組制作者はどう思うのかという話です。NHKでも地方には地方のスタッフがいて、ローカルニュースおよびローカル番組を独自に放送しています。今回の同時放送がラジオの「radiko」のように、GPSなどで位置を把握してその土地のあるNHKの局が出している電波と同じものを配信で見るようになるのか、それとも全国どこにいてもNHKの東京局の内容を配信するのかということにもなるでしょう(配信は「総合」「Eテレ」の両方だそう)。整合性で言えばその場所で放送されている地方局の電波と同じものを配信すべきで、天気予報や大きな災害が起きた時など、避難や移動に必要な情報を出すためには九州にいて東京の天気予報のみしか見られないとしたら、見る側にとってはとても有益な情報だとは言えないでしょう。

もしそうした事ができないで、NHKの配信内容が東京局の電波を配信で流すということになると、今度はまた別の問題が出てきます。天気予報の場合は九州にいて東京の天気を見てもあまり意味がないと考える人は少なくないですが、NHKのローカル番組枠ではその地域独自の番組でなく「東京ローカル」の番組を見ることができます。これは、今までは東京近辺に住んでいなければ見ることができなかった関東の情報を日本全国どこにいても入手できるということになります。これによって、あえて「東京ローカル」の番組を見たいと思ってネット配信の方でNHKを見るということになると、地方局の立場はどうなるのかということになります。

地域に根ざしているNHKのローカル局や民放のローカル局は、今回の同時配信がきっかけとなって東京ローカルの民放も同時配信をされてしまったら、本格的な「自分の局の番組が見られなくなる」恐れが出てくるわけで、それが今までBSでの同時配信の流れを押さえつけてきたところもあります。過去のBSではだめでこれからのネットではなぜ良いのかということもわからない中、2020年春から同時配信放送を行なうというニュースだけが先行報道されているのは、あまりいい事ではないような気がします。民放は現在、一部の番組を見逃し配信していますが、個人的にはNHKは定時のニュースを同時配信し、全国で放送している番組の見逃し配信くらいから始めるのがフェアではないのかという気もするのですが。

(2020.1.16追記)

改めてNHKが発表した内容が明らかになりましたので、その点について記載しておきます。同時配信と見逃し配信を行なうサービスの名称は「NHKプラス」と言い、2020年4月1日からスタートするということです。

同時配信は午前6時から翌日午前0時までで、地上2波(総合・Eテレ)の番組を配信します。見逃し配信は放送日から7日で、配信ビットレートは最大1.5Mbpsになるそうです。視聴には受信料の支払いが必要で、確認コードを入力すると衛星放送のような案内文が表示されなくなるということで、受信料を払っていなくても利用不可能というものではないようです。また、番組の内容については東京をはじめとした関東ローカルの内容が当初は配信されるということです。


カテゴリー: 通信サービス全般ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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2 thoughts on “総務省が認可したNHKの「常時同時配信」はフェアなのか

  1. ケータイオタク

    ネットでの同時配信はNHKに組織改革を迫るものになる鴨しれません。そもそもデジタル化の際衛星放送だけに切り替えればコストは三分の一になったという話も聞きました。ただ民放の場合CMの関係と地方局は地元の有力者と結びついているので廃局が難しかったと聞きました。
    NHKは受信料を徴収しているのだからCMの問題はない。チャンネルを2チャンネルに削減すれば組織を大幅縮小することが可能なはず。そうなれば受信料も半分以下にできるのでは。天気予報やニュースのローカル版の問題は残りますが。
    それは選択できるように出来ないのでしょうか。現在でもネットラジオは海外では受信できません。確かTverも。
    GPS機能を利用すればその時間帯は地域を特定可能になると思うのでその地域のニュース、天気予報を流せば良いのでは。
    地域性を問題にするかもしれませんが、少子高齢化人口減少社会化が進む中規模の縮小は避けらません。なんせ出生率1.8を達成する為には出産可能な女性に4人以上出産してもらわないと達成できないのですから。
    民放の地方ローカル局自体今後も存続可能かと言えば不可能です。立場以前に存続が困難。ニュースと天気予報以外の人員は削減される可能性が高いですね。

  2. てら 投稿作成者

    ケータイオタクさん コメントありがとうございました。

    NHKの同時配信サービスの正式名称が「NHKプラス」ということで発表されましたので、改めて追記という形で本文に追加しました。普通のご家庭では受信料を拒否しているというような事がなければ、4月からはワンセグの電波が届かない山間部にいても、ほぼリアルタイムで大河ドラマの視聴が可能になるという具体的なメリットを感じる方もいるでしょうし、今後はスマホ自体の機能としてワンセグがなくても良くなる方向性も出てきた感じですね。

    最近の私自身のテレビの視聴におけるAbemaTVやTVerの割合というのはかなり多くなってきて、それは必ずしもスマホやパソコンでなく、スティック型のハードを付けた普通のテレビ画面で見ています。今後同時配信が普通に行なわれれば、それこそチューナーがないモニターにネットを繋ぐだけでアンテナを設置しないというスタイルも十分ありな感じになってくるかも知れません。その場合、現在もあるリモコンにNetflixボタンのあるような感じで、どの同時配信サービスが一般化するのかの競争になっていく可能性もあります。当然、そうなると地方のテレビ局だけでなく街の電気屋さんの仕事がその分少なくなってしまうわけなので、そういった影響も考えた上で今後の展開を考えていって欲しいですね。

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