地震への意識の差が被害を生むこともある

大阪府高槻市が小学校のプールを周辺の大人の目から隠すため、高いブロック塀を設置したことで大きな地震によってその壁が倒れ、不幸なことに犠牲者が出てしまいました。テレビのワイドショーではなぜ建築基準法を守らないような形で高槻市が危険なブロック塀を設置してしまったのかということを指摘していましたが、そこにはやはり「地域差」というものが存在するのではないかと思います。

私が住んでいるのはかなり前から東海地震が起こると言われ、それこそ過敏に地震に対する備えを行なってきたと思われる静岡県静岡市です。今回の報道でも出てくるのが1978年の宮城県沖地震でのブロック塀の倒壊事故でした。
当時の報道によると地震に関連する犠牲者28人のうち、18人が塀の下敷きとなって死亡したということがかなりインパクトが有ったことを覚えています。この事により法律の改正が行なわれ、新たにブロック塀を作る場合の規制が厳格化されました。ただ、今回の被害を生んだようなブロック塀があるということは、今から40年以上前に施工されたブロック塀については全国的にはほとんど対策はされていないということもあるかと思います。

実は静岡周辺では宮城県沖地震の被害をいつ自分達の回りで起こってもおかしくない事と捉え、ブロックを補強することで対策をしたケースが多々あります。今回はいい機会かと思いますので、恐らく40年前の地震報道を受けて補強されたケースを写真で紹介します。

まず代表的な補強は、裏についたてのように縦にブロックを組み、高槻市の例のように全ての塀が倒れないように補強されたケースです。ただ、この補強の場合は裏から見るとわかりますが、塀の正面から見るとわかりにくいこともあります。

さらにこれは、一枚目の敷地入口に施された施工例ですが、金属で支えるようにして塀が崩れることを防いでいます。ちなみに静岡市全域でも2009年の「駿河湾地震」で震度5強の揺れを記録したりなど多くの地震に晒されてきたものの、今回これから紹介するブロック塀についてはひび割れることもなく倒れることもなく恐く40年以上経過しても安定してブロック塀はそこに存在しています。

次に、これは逆に裏を見ることはできないのですが、しっかり裏からブロック塀全体を支えていますよという事を示すような形で鉄の柱をボルトで止めています。この塀についても近寄って観察したところ、ヒビが入っているところは確認できませんでした。

最後にさらに自己主張の強い鉄で補強されたブロック塀です。この道は街道としてかなりの車が走っているので、地震の時に塀が倒れてしまうと幹線が閉鎖されてしまうことを考えて、当時の家主さんが工事されたものだと思われますが、これもいつ巨大地震が起こっても不思議ではないと40年以上言われてきた地域ですので、宮城県沖地震が起こってすぐにこのようなブロックの補強を行なったお宅も少なくなかったと聞きます。

それに反して、今回大きな被害が出た大阪周辺というのは、正直ここまで大きな地震が起こるというような感覚はあの阪神淡路大震災を経験したからこそ生まれてしまったのかとも思えます。というのも、もし過去に東海地震が静岡県に大きな被害をもたらしたとしても、地域で大きなエネルギーの放出があったからしばらくは大きな地震は来ないだろうと、科学的には全く根拠のない思い込みで安心しきってしまうような事が起こらないとも限らないからです。

さらに、その前に観測を始めてから最大という震度5という揺れの大きさを記録した群馬県(渋川市)周辺についても、同じような「根拠のない感情」がはびこっていることが予想されます。というのも、以前群馬県出身の人と話をしていて、私のいる静岡市では学校の椅子には必ずいざという時には頭にかぶり上から落ちてくる物に対して頭を守る「防災ずきん」を用意し、学校では何回も避難訓練をして学校内での避難経路を確認するという話をしたら、そんな事は全くしたことがないと言われました。

私自身、群馬県内でブロック塀がどのようになっているか(特に40年以上前から建っているもの)はわかりませんが、さすがに今回紹介したようなブロック塀に対する補強工事をそこまで行なってはいないだろうと思います。ただ、昨今の地震が起こっている場所の分布を見ると、この日本列島に住んでいればいつどこで大きな地震が起こっても不思議ではないという事も十分言えると思います。特に通勤・通学する経路に高めのブロックがあり、さらに今回紹介したような補強が全くされていないような古いブロック塀を見付けた方については、日々通う経路を変えてみるということも考えてみてください。


カテゴリー: 防災コラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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