昨日新聞のテレビ欄を見ていたら、私の住む静岡地区のみの番組として、スズキ自動車の宣伝番組とでも言うべき、「新型ソリオ開発物語」というのが放送されました。全国向けにはBS朝日にて同日放送があったので、ご覧になった方もおられるかも知れませんが、本当に企業宣伝そのものの作りでした(^^;)。ただ、この番組を視聴したおかげで、どのようにしてこの車ができたのかだいたいのことがわかりました。
元々新型ソリオの企画を出したのは営業畑出身の役員の方だったそうで、軽自動車からステップアップしたいと考えられている人を取り込むための新しい小型車の開発が必要だと考えられていたそうです。もっと具体的に言うと、今私が乗っているワゴンRからステップアップする車というのがスズキになかったというのが一番の問題だったとか。ワゴンRは今日本で一二を争う売れ筋の車ですが、家族の人数が増えたりして手狭になってしまった場合、セールスが従来の顧客に営業をかけても、スズキにはそうした方のニーズを満たす車がないため、競合他社のミニバンの方に流れてしまうことに危機感を持って、ワゴンRを少し大きくした車の開発を他社に先駆けて行なう必要があるということで、かなり開発の途中を省略して製品化したとのこと。
番組内でも紹介されていましたが、新型ソリオは軽自動車よりサイズに余裕があるため、リモコンを使ってスライドドアを開けて後部座席から乗り込み、そのまま運転席や助手席に乗り移ることが可能です。これは、混みいった駐車場で隣の車にぶつける恐れがないだけでなく、悪天候の際にもできるだけ車の中を濡らさずに出入りできるというメリットがあります。当然室内は広く、車高も余裕を持って取ってあるので、室内空間の広さは軽自動車とは別格であると言えるでしょう。番組の最後に、スズキの社長兼会長の鈴木修氏のインタビューがあり、現在本社から浜松駅までの間、利用している車がまさに新型ソリオなのだそうで、車内で着替えができるほど室内に余裕があると売り込んでいました。ただ、開発の話があった時にはこうした小型車の開発には疑問があったそうで、はっきり言うと売れるとは思っていなかったとのことだったというのにはびっくりしました。
新型ソリオのその他の特徴として、部品の軽量化による燃費の向上と静粛性がありますが、こうしたものも現場のセールスが吸い上げたニーズであったでしょう。それまではワゴンRで用が足りていた家庭で、子どもの数が増えたり大きくなったりした場合、どうしても軽自動車では物足りなくなるような感じの方には確かに魅力的な車に映ります。しかしここは車中泊をテーマにしたブログなので、この車を車中泊のための車として評価してみたいと思います。
この車の開発のコンセプトが軽自動車の売れすじの改良版を作ることであることはおわかりと思いますが、そうなると私が今使っているワゴンRとどう違うかというと、エンジンの大きさによる走行性能は除くとして、やはり居住空間の良さとスライドドアにあります。深夜でも音を抑えて出入りができ、隣の車を傷つける心配も少ないスライドドアは車中泊でも便利な装備であると言えるでしょう。
ただ、シートアレンジを見てみると、この点はワゴンRとほとんど変わりません。2人以上で車中泊をする場合は、軽のワンボックスタイプの車やミニバンタイプのものと比べると前の席もベッドメイキングに使わなければならないという事で、荷物を多めに積んでいる場合は、寝るまでの作業に多少手間取ることも予想されます。一人で旅に出るのなら荷物は空いているスペースに移動させるだけですむため、最低限の快適さで十分ならワゴンR、さらなる快適さを求めるなら新型ソリオという感じで考えればいいような気がしますが、家族でしょっちゅう車中泊に使いたいという事なら、もう少しベッドメイキングしやすい車の方も検討した方が無難だと思います。
そうは言っても、助手席を前に倒して手足を伸ばして寝られるスペースが作れるだけでも他社の車と比べてのメリットでしょう。ノーマル仕様のまま2名で快適に車中泊をしたいような場合、私ならコット(キャンプ用の組み立て式ベッド)を助手席側に設営し、コットの下のスペースに荷物を押し込むことで何とか運転席側の方も寝られるように作れるのではないかと思っています。主に一人で出掛けるものの、たまには2人でという場合におすすめです。参考までに、私がワゴンRで試したボイジャーコットの設営の様子を以下に紹介しておきます。
新型ソリオは当然ワゴンRより横幅が広くゆったりしているので、これでも何とかなるでしょう。コットの方は在庫さえあれば円高の影響もありそれほど費用はかかりませんので、高いお金を出して専用のフラットマットを誂える前に試すのもいいかと思います。ただ本音を言えば、標準のシートアレンジで家族が川の字で寝られるような設計で小型車を作ってくれないかなと思うのですが。