オリンピックが自国開催になって改めてわかる世界情勢

今回の東京オリンピックは開催をすること自体に賛否両論あったものの、自国のメダルラッシュにテレビや新聞では連日多くの報道が流れ、すっかりテレビ観戦にはまっている方も少なくないでしょう。私自身もそうした人の中にいるわけですが、単純に日本選手がメダルを取ったという事だけではなく、世界の注目が良くも悪くも集まる場の中で起こることには、今まで詳しく知らなかった世界に目を向けるチャンスでもあることを感じるここ数日となっています。

日本にいると国内の事およびアジア諸国の情勢は報道されるものの、日本から遠く離れた海外の国の事というのはなかなか実感がわかないというのが正直なところだろうと思います。ただ今回、陸上の短距離の女子選手が母国に強制送還されそうになり、IOCに他国への亡命を求めたというニュースは、ヨーロッパで一番独裁的な指導者がいるというベラルーシという国を改めて詳しく知ることになりました。

個人的に驚いたのは、大統領のルカシェンコ氏が、自国の選手が一つもメダルを取っていない事に不満を示し(これを書いている段階では、その発言があった後にトランポリン男子で金メダルを獲得しています)、現場にまで介入してきたということです。今回、最終的には隣国のポーランドに亡命することになったクリスツィナ・ツィマノウスカヤ選手は、選手に相談なく今まで自分が試合で走った距離でないリレーへの参加を強制され、それに対してコーチ陣に異議を唱えたら強制帰国させられそうになったということで、亡命を希望してIOCに訴え、今回の騒動が私たちの目に触れるきっかけとなりました。

強制帰国させられると、簡単に自分の意志により自国のスポーツ界を支配しているような大統領ですので、そのまま帰国させられたら人権を抑圧されるような仕打ちを自国で受ける可能性がかなり大きかったということになります。ここまであからさまな話というのは、試合に負けたら「鞭打ちの刑」を受けるという話があった中東の国や、強制収容所に入れられる可能性のある他の独裁国家の事を連想します。

私自身、そこまでして自国の人民を支配しているという事がオリンピックで起こった事件によって世界中に広まってしまったことで、結局損をしたのは当のベラルーシの大統領だったのではないかと思えてしまいます。独裁者の一存で色々なことが決まってしまう社会というのは、こんなに不自由で理不尽であるのかということを知り、決してわずかな人たちの考えだけで様々な物事が決まってしまうような社会に変わっていって欲しいと願わずにはいられません。

そして、これは政治的な話ではありませんが、オリンピック開幕前に母国に強制送還されてしまったアフリカのウガンダ共和国の候補選手が逃げ出した問題についても、ウガンダに限らず世界では多くの人たちが貧困にあえいでいてオリンピックというイベントを利用してでも何とか現状を何とかしようとしている厳しい状況があることを改めて知ることになりました。せっかく、東京でオリンピックが行なわれているのですから、競技の結果だけでなくそうした数々の競技外の話というものも、マスコミにはしっかり伝えて欲しいと思います。


カテゴリー: ノンジャンルコラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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