スポーツファンに対するDAZNの対応に見る今後への不安

サッカーJリーグに大金を投じ、リーグの活性化に貢献するとともに、過去のスカパーの料金と比べると比較的安価に多くのスポーツライブを楽しめる有料動画配信のDAZN(ダゾーン)ですが、最近になって提供している競技および大会の配信を予告なしに突然止めるということで困惑の声が挙がっているようです。

サッカーファンにとっては全試合見たいと思う人が多い、サッカー欧州チャンピオンズリーグが2020年10月20日から開幕したのですが、それまで日本での放映権を持っていたDAZNが唐突に日本での放映権を事前案内などない状況で返上し、現在日本ではチャンピオンズリーグを全試合見られない状態になっています(無料で配信されますが、主要試合のみで日本語対応のない欧州サッカー連盟(UEFA)の公式動画配信サービス「UEFA.tv」で視聴は可能)。

DAZNも動画配信によるスポーツ中継なので、テレビ放送で見られないというのは同じなのですが、チャンピオンズリーグを見るにはDAZNに入るしかないので入っていたサッカーファンにとっては、放映権を手離すのなら、事前に国内で見たい人が(有料での視聴を含めて)見られるようにきちんと段取りを付けるから手放すべきだったのではないか? と思う方も多いと思います。

今回のことで、企業としては収益を上げるためにあるのだから切り捨てる時には非情であっても企業存続のために大なたを振るうという事情がある事は理解できるものの、自社の行なっているサービスを楽しみに見ているスポーツファンの事を考えていないで、企業としての業務は行なえないのではないか? という疑念が湧いてきてしまうのですね。

極端な話、大金を投じて獲得した国内サッカーのプロリーグJリーグの全試合放映権についても、いつ撤退するかわからない不安要素があるなんてことになると、今回のチャンピオンズリーグと同じように急にそうしたことが行なわれ、実際の試合を見ることができなくなるようなことが起こった場合、これはもう、日本のサッカー自体の危機に繋がる可能性があります。現状ではDAZNに加入していれば、車中泊で出掛けてテレビ電波の届かない山の中であっても、携帯電話の電波が届いていさえすれば自分の好きなチームの試合を見ることができるというメリットがありましたが、今後の状況が不安になるのは私だけではないでしょう。

このように、大きな資本を持つ企業がごそっと利権を総取りしてしまうような事があると、その当初は料金が安かったりサービスも充実していたりと文句も出てこないと思うのですが、大手が競争相手を潰した後に何をするかはわかりません。個人的には、世界中が注目するような大きなスポーツイベントについては、できるだけ地上波のテレビや、ネット接続料以外に料金がかからないネット配信の形で出して欲しいものですが、この点ではまだインターネットもなかった頃に地上波で放送されていた時の方がましなようになってしまっています。

今回の事は、サッカーファン以外には関係のないと思う方もいるかも知れませんが、同じようなことが別のパターンで出てくる可能性もあります。例えば、今後携帯電話サービス自体も政府の値下げ圧力で、大手三社が現在のMVNO並みに料金を下げてしまったら、多くの個性的なMVNOは商売にならなくなり、大手の寡占が進むことになります。

当初は携帯料金が下がったと喜ぶ人々はいるでしょうが、現在の携帯電話事業は民間企業によって運営されていますので、経営状況の変化や社会状況の変化によってユーザー目線でないやり方で制度が改悪され、その不満のはけ口が無くなってしまうような未来も現実に起こってしまうかも知れません。とにかく、目先の事ばかりを追い掛けていると、こうしたワナにはまってしまう可能性が出てくるのではないかと思ってしまいますね。私自身もDAZNのサービス開始には喜んだ一人だったのですが(現在は解約しています)、今後は冷静に新しいサービスを判断して長く利用していくものは何であるべきかということも考えてみたいと思っています。


カテゴリー: 通信サービス全般ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

スポンサーリンク

コメントを残す