デジタルカメラの存在感はもはや遠くに

日本の企業というのは、資源はないが智恵を出して工業製品を作るメーカーが世界を席巻したわけですが自動車はともかく、その他の日本が得意と言われた製品をとりまく環境は相当変わってきてしまっています。

輸出品として大いに売れたトランジスタラジオはもはや日本製品がベストではなく、中国メーカーの方が面白い製品を出すような状況になってしまっていますし、そもそもラジオがなくてもスマホにラジオ機能が付いていたり(FM電波を捉えることができる)、インターネットラジオとの同時配信が当り前になってしまった今、ラジオからではなく、パソコンやスマホからラジオを聴き、さらにはradikoのエリアフリーやタイムフリーを活用し、全国どこにいてもローカル局を聞くとか、仕事で聴けない時間に放送している番組を通勤時間にまとめて聴くという、昔なら相当機材を揃えて録音しないとできなかったことがスマホ上の操作だけでできてしまうことで、日本の企業はかなり大変なことになっているという気がします。

そんな関連で、何と日本を代表するカメラメーカーとして認知されている「オリンパス」がデジカメなどの映像事業を新会社として分社化し、オリンパスからJIPが管理・運営その他関与するファンドに対して譲渡することを発表しました。今さらですが、デジカメという商品自体が、一般向けの商売にならないような状況になっており、赤字が連続することで会社としてはもはやいつ売るかという風に考えていたのでしょう。

現在でもカメラメーカーというのはニコンとキヤノンがあり、プロ用の機材を提供していて、映画も一眼レフで撮れてしまうくらいのクオリティに進化していますが、一般ユーザーはそこまでの機能を求めず、日常や旅行の際のスナップ写真を撮るなら、スマホのカメラで十分で、最近のスマホはAIを内蔵していて、細かな設定をしなくてもそこそこの写真が誰でも撮れるようになってきているところから、プロ用でないデジカメを出しているメーカーは、売れても少ないデジカメファンからの購入を期待するようになるので、なかなか商売として収益を上げるのが難しくなってきているところは私にもわかります。

ただ、身売りした後にオリンパスのシステムがどうなってしまうのか、防水用のハウジングは販売が続くのか、修理対応はどうなるのかとか色々あります。ただ、修理については私自身にも経験がありますが、修理不能で別カメラと交換なんてことも体験しましたので、特にレンズ交換式カメラ以外のコンパクトカメラ系を使い続けている人については、もし今使っているカメラがだめになったらスマホカメラで我慢するのか、別メーカーのカメラを物色するのかということになってくるのだろうと思いますが、昔のように色々なカメラを選ぶことはできそうにありませんので、今後の新生オリンパスカメラが、OMシリーズやPENの他にどういったラインナップに舵を切るのか、注目ではあるのですが、画期的な事は起こらないという風にある程度覚悟を決めてウォッチするしかないでしょう。

個人的に今メインで使っているOPPO Reno Aはレンズは2つあるものの、一つはポートレイト撮影で背景をぼかすための合成用なので、それ自体で画角を変えたり望遠になったりするものではなく、そこまで良いわけではありません。将来は、現在高級スマホに付いている画角の違う複数のレンズがエントリーモデルにも付くようになれば、あえてデジカメを旅行に持って行かなくても何とかなるような次の時代になるでしょうが、今のスマホのエントリーモデルの性能は中国メーカー>日本メーカーという傾向があるので、ファーウェイがライカと提携したように、オリンパスはそのレンズや技術をスマホメーカーに供給したら面白いスマホをどこかが作るんじゃないかという気もします。ただそれが日本のメーカーである保証は全くありませんが、ともあれ今後の新生オリンパスの動向には注目してみたいと思います。


カテゴリー: 通信サービス全般ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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デジタルカメラの存在感はもはや遠くに」への2件のフィードバック

  1. ケータイオタク

    カメラメーカーの衰退はレンズ付きフィルム(いわゆる使い捨てカメラ)の出現からですね。一般のユーザーのレベルはレンズ付フィルムの機能並みしかついていない馬鹿チョンの方が列車かあ夜景を撮影すると高機能カメラよりきれいに写真が撮れると言うレベルですから彼らにはデジタルカメラなど豚に真珠と言うものですね。
    スマホで十分と言う人たちにシャッターチャンスと言ってもぽかんとするでしょう。となると市場は限られたものになる。ニコンすらもカメラ部門は厳しいようですね。
    キャノンの強みはカメラにとどまらず関連分野を広めている事ですね。その点はソニー、パナソニックも同様。ソニーは早期から吸収したミノルタカメラの技術を生かしてフルサイズへの先行者利益もありますね。
    オリンパスの場合数年前の不祥事の影響が大きいと思います。赤字と言うだけでなく資金需要もあり、売却したのでしょう。ただ一方主力事業である医療機器の分野でカメラ技術も要求されるので今後も何らかの関係は維持されるとは思います。そうなるとファンドと言うクッションを置いて元々開発など協力関係にあるパナソニックに売却でしょうか。
    オリンパスとパナソニックの関係が強化されれば補修関係は維持されるとは思いますが。
    今でも馬鹿チョンレベルのユーザーは旅行にカメラの代わりにスマホと言うのはありますね。でもそのレベルのユーザーは高機能化したカメラの為に高いスマホを買うかと言えば疑問です。

  2. てら 投稿作成者

    ケータイオタクさん コメントありがとうございました。

    スマホが物心付いた時から存在しているような世代では、ダイヤル式電話機などどうやって使うかわからない人もいますので、今後コンパクトデジカメもそれと同じような感じて少数の限られたマニアしか使わないようになっていくのかなという感じもします。それでも、プロ用機材および、防水・防塵機能が付いたアクション系のカメラについてはそれなりのニーズはあると思いますが、価格自体は高額なものになっていって、手軽に撮るならスマホのカメラという感じの住み分けが進むということも考えられます。

    写真の基本は小さなものを大きく写すには前に出て撮れ! ということですが、大概の被写体は自分から対象に近付くことで撮れてしまいますが、どうしても近付けない遠くから対象を捉えるためにはカメラ側の望遠レンズが必要になりますし、広大な風景写真を撮るためには普段の画角よりも広い範囲の撮れる広角レンズが必要になってくる場合もあるでしょう。今、これらの要求を満たすスマホはどれも高額のため、とても2~3年だけ使うために買おうとは思いませんが、スマホ自体に望遠・広角レンズを付けて使うような製品もありますし、今回のオリンパスの身売りがきっかけで一気にデジカメ市場も縮小してしまうかも知れません。気になったデジカメが型落ちなどで安くなっていたら、どのくらい使うかどうかはともかく、旅行用に確保しておいた方がいいかも知れませんね。

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