大手キャリアとMVNOは本気で学生のサポート策を再考すべき

政府による行動制限の期日は一応2020年5月6日までとなっているものの、普通に考えて5月7日から全ての社会生活が元に戻るとはとうてい思えません。多くの人の仕事や生活はどうなってしまうのか考えるのと同じく、今後格差によってその内容に違いが出てくると思われるのが「教育」における「オンライン授業」の利用についてです。

現在、テレビではビデオ通話やビデオ会議の画面を映しながら番組を作っているケースもあります。最新の5Gでなくても十分動画を使った双方向のやり取りができる環境があれば、自宅にいながら授業が受けられるところまでは来ているのですが、小中高大とあらゆる学校で行なわれるオンライン授業は全ての学生・生徒に受けてもらえるのでしょうか。

まず、自宅にインターネットが引かれていてウェブカメラ付きのパソコンがある場合は操作を一通りすることができれば、利用は容易でしょう。ただ、経済的な理由や個人の主義主張とか、様々な理由でADSLや光インターネット、ケーブルテレビインターネットを契約していない家もあるでしょう。

今回、問題にしたいのはどうしてもハードがない家庭には通常の授業用に使っているパソコンやタブレットを貸与するにしても、回線の問題をどうするのかという点にあります。大手キャリアや一部のMVNOでは、オンライン授業の開始と歩調を合わせるように、現在学生が契約している回線の一部において追加の高速クーポンを与えたり、一部通信料を無料にするということが実施されているようですが、大手キャリアの場合、あくまで容量を使い切った後の追加分が無料になるとのことで、逆に毎月の支払いが増えてしまう可能性も指摘されています。そもそも経済的に子どもにスマホを持たせることができない家庭ではこうした恩恵を受けられず(親の契約の場合はデータ容量追加サービスは受けられない)、仕事でスマホを使っている人は子どものためにスマホを渡すこともできないわけで、インターネットを自宅で使えない場合に困ります。

そうなると、Wi-Fi接続のみ利用可のタブレットの貸与を受けた場合、自宅から離れてどこか外で公衆Wi-Fiの使える場所を探してさまようということになってしまうかも知れません。しかし、公衆Wi-Fiを利用する上で便利なコーヒーショップやファミリーレストランは軒並み営業をテイクアウトのみに変更しているので、このままだとコンビニの前に学生・生徒が集まって外で授業を受けるしかないという可能性も出てきてしまいます。

ほとんどの家庭では自宅での受講が可能といっても、そこからこぼれ落ちる子どもを救う手段を考えなければならないので、本当はもっと多くの人にこうした「回線格差」の問題を考えていただきたいと思うのですが、その対策として考えられるのは2つの方向からのアプローチになります。

まず一つは、自宅に全く通信環境がない家庭限定で、学校でも公民館でも図書館でも、その場所に出向くことでオンライン授業を受けられる環境を確保するということです。すでに公衆Wi-Fiのスポットとして機能している公共の場所なら、利用する人数を限定することで何とか勉強のために一時的に施設の利用ができるように場所とWi-Fiの提供を受けられるようにできれば、学校の方はハードを用意し、あとはそのままオンライン授業を行なえばいいわけです。もしどうしても回線もハードも用意できないという方は、早めに学校に相談してみることをおすすめします。

そして、もう一つは今の時期(新型コロナウィルスの影響でオンライン授業を行なっている間)限定で、通信会社の方に「オンライン授業特別プラン」を安価で提供してくれないかということです。ちなみに、オンライン授業に対応するネット速度はどのくらいなのか? ということが気になったので検索してみたところ、たまたまトップに出てきたのは安倍晋三首相の母校である成蹊大学のサイトでした。そのオンライン授業についての説明によると、だいたい1.2Mbpsくらいのスピードがあれば良いということだったので、現状では私が今使っている楽天モバイルのパートナーエリアでも最大1Mbpsが出るので、SIMだけ契約して何とか開通し、スマホをテザリングしてパソコンやタブレットと接続できるスキルのある人が周りにいればいいのですが。

もし、楽天モバイルが自宅回線がなくオンライン授業が受けられない証明を学校がすれば、学校を経由して楽天SIMの入ったモバイルルーターを安価でレンタルできるようなことをしてくれれば、恐らく全国のオンライン授業についての回線の問題は解消するだろうと思います。こうした「通信制限時の最大速度」での比較で言うと、楽天モバイル以外の大手キャリアは最大128kbpsという正にお話にならないほどの低速に制限されますし、MVNOでも最大200kbpsがいいところです。せめて学生限定に高速クーポンを臨時に出すのでなく、オンライン授業が続く状況では制限時の最大速度を1Mbpsにスピードアップするくらいの事を楽天以外の通信事業者はしてくれてもいいのではないかと思います。誤解のないようにもう一度書きますが、全ての学生・生徒の回線をどうにかしろというのではなく、自宅にインターネット環境がなく、スマホも安いプランしか使えないようなユーザーに限定して、その人たちにオンライン授業を自宅でも使わせるための限定的なサービスへの要望です。

このままでは家にネットを引けない家庭と引ける家庭との間に致命的になりかねない学力の差ができてしまいます。全ての国民は同じ教育を受ける権利を持っているわけですから、企業が動かなければ政府が音頭を取ってぜひ実現させていただきたいと切に思います。


カテゴリー: 通信サービス全般ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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