昨日紹介した台風15号による被害を受けた地域において、台風直撃から2日が経過した後もまだライフラインが復活していないところがあるようです。停電が解消されないと、携帯電話の基地局についても、そろそろ非常用電源が空になるくらいの時期だということで、スマホの電源は入っていても電波は飛ばないという状態で多くの「ネット難民」を生み出してしまっています。
昨日のブログでは、スマホの充電よりも水の確保を優先した方がいいと書きましたが、それでも遠く離れた家族や友人・知人に自分の安否すら連絡できないというのは不安に思われる方もいるでしょう。テレビニュースに出ていたインタビューで、停電・断水が続く状態を「まるで江戸時代のようだ」と表現した方がいましたが、確かにそういう部分はあるかも知れませんが、一部地域以外には交通も物流もつながっていますので、インターネットが当たり前になる前には主流だった「非インターネット」による通信の可能性についても考えておくべきではないかと思います。
過去、私自身は大きな震災を経験はしていないのですが、2011年の東日本大震災による大規模なインフラの破壊が起こってしまった時でも、現地への通信を維持していたのが手紙やハガキ、専用の紙袋に入るだけ物を入れて送ることのできる速達扱いのレターパックを早いうちから取りあつかって配達していた郵便のサービスでした。
当時は東北にいた友人が被災したものの直後の安否確認および自宅の全壊までには至っていなかったことをSNSで発信してくれていたので、ニュースで「レターパック」が発送可能という情報を入手してすぐに災害対策になる物資やお湯で戻して食べるフリーズドライの食品などをパックに入れて送ることができました。
現在、台風15号で被害を受けた地域はどの程度物流が送れるようになっているのかということは郵便事業に限らず、各運送業者のホームページを見ると掲載されています。停電・断水がある地域については基本的に冷凍・冷蔵の荷物は引受できないようですが、通常便なら遅延の可能性はあるものの引受は可能になっている場合が多いです。外から被災地に送る場合についてはそうした情報を仕入れた上での業者選択が必要になりますが、問題となるのは現地の人とリアルタイムに連絡が取れない場合、果たして何も連絡が取れない中で支援物資を送っていいのか? その判断になるということになるかと思います。
今後ももう少し携帯電話やスマホによるリアルタイムの通信ができないということになると、これは実際に被災された方からの発信というものが必要になってくるのではないかと思います。現地のマスコミ取材の中で、とにかく携帯電話の「圏外表示」が無くなる場所を探してウロウロという人もいたようですが、こうした情報はラジオやテレビによる情報を活用するとか、実際に市役所や通信会社に出向き、通常の基地局でなく移動できる通信設備を搭載した車があればどこにいて、何とか通信ができるという場所の情報を仕入れてから動くことが大切になるでしょう。そうは言っても車のガソリンがなくなってきたり、そこまで自分の力で動けないという方であれば、「リアルタイム通信」にそこまでこだわらなければ多少タイムラグがあっても確実に連絡の付く通信手段を早めに利用することが思い付きます。
それは、一番頼りになる人に(状況に応じて自分の安否情報を拡散してくれそうな方)往復はがき(往復はがきの場合、返信をすぐに行なうことができます)によって発信するという方法です。もし相手に着く前に携帯電話が使えるようになればそれはそれでいいわけですし、ハガキを書く時に、ネットに自分の安否情報を書く予定の場所について書いておき、その拡散をお願いすれば携帯電話が断片的にしか通じなくても、ハガキを送った人の手助けによって情報は拡散されます。
このような被災地以外では通じているネットワークを活用することで、一部地域の状況は「まるで江戸時代」であっても、ただライフラインの回復を待つだけというよりも早く自分の安否を外に向かって発信したり、支援物資を直接受け取ることもできるようになります。改めて、スマホ依存によってスマホが使えなくなったら何もできないのでは? というような思考にならないように、昔からあるインフラの活用も考えつつ、最良の連絡方法を考えてみていただきたいと思います。