ラジオの民放AM放送は完全になくなるのか?

日本民間放送連盟が総務省に要望していたAM放送をFM放送に転換することを可能にする制度改正について、総務省の有識者会議がそうした要望に沿う形で制度の見直しをすべきだとの意見を出すことがわかったと8月30日の朝日新聞の報道で明らかになりました。

これで多くの日本にある民放ラジオ局が、今までAM放送で流していたものを順次FM放送に転換していくことは間違いないと思われます。もちろん、今までのようにAM放送を続けたいと思っているところもあるでしょうが、送信設備のメンテナンスが大変とか、都市部ではビルの中でほとんど聞こえなかったりというAM電波の特性に関することでの不具合によって、ローカルAM局はそこまでAMに固執しないでFMに転換すればいいのではないかという話は出ていました。

利用者側からすると、AM放送はとにかくインターネットと相性が悪いので、なかなかAMラジオ付きスマホなんてものは登場しませんでした(NTTドコモがアナログ携帯にAMラジオを付けた「RADIDEN」なるガラケーを出したことはありましたが)。ただ、スマホとFMについては海外のものには普通に付いていて、私が最初に購入した日本通信が販売したSIMフリースマホの「ideos」という中国のファーウェイが作ったスマホにはFMラジオチューナーが付いていて、当時はほとんど利用しませんでしたが、手のひらにすっぽり収まるサイズのスマホでもFMラジオなら十分載せることはできるのだと思ったことを覚えています。

私達が日常的に生活をする中で、どうしてもAMでなければ難しいという状況というのはそこまで存在することはありません。今後、国内外のスマホに当り前のようにFMラジオ機能が実装されることになれば、もし携帯電波が止まったような場合でも小回りの効くコミュニティFM局を中心に、地域の情報をスマホだけでも入手することは可能になります。災害の時には、恐らく民放ラジオでAMからFMに転換しようとしているところは、中継車などを出して、避難所など多くの人が集まるところで自局の放送が聴けるような体制を今後は作っていくでしょう。さらに、隣国からの混信がひどい日本海側にある国内局については、どれだけAM局の送信設備を良くしても、それ以上の出力で日本に向けて混信目的で流してくる局も海外にはありますので、そうしたところと張り合っても意味がないと感じているのではないでしょうか。今回の決定について、個人的には当然のことだと思える点が多いと考えています。

今まで、長距離移動が多いドライバーがよく使った手として、遠方の高出力を出しているAM局を捉えて、その方向に目的地がある場合にはFM局のようにいちいちエリアを出た時に局合わせをしなくても良くなるという、高出力AM局の活用の仕方がありました。しかしこうしたことも、ラジオ局のもう一つの取り組みによって不具合が解消されつつあります。

スマホがあれば携帯電話の電波網を使って全国のラジオ局が同時放送しているインターネットラジオを聞くことができるので、今後長距離移動を車でする場合でも、カーラジオを使わないでスマホからインターネットラジオ聴取用の各アプリを起動してスマホから車のスピーカーに出力すれば、高速道路や主要国道など、携帯電波がつながっていさえすれば、同じ放送をずっと聞き続けられるということになります。最近は車からの電力供給で動くBluetoothスピーカーや、Bluetoothやケーブル接続でスマホとつながるカーオーディオシステムもあるので、ある時は音楽ストリーミングを楽しみ、またある時はラジオ放送をスマホ経由で楽しむことは、もはや当り前にて飛きるようになってきています。カーラジオ時代にはできなかった、地元のローカル局を全国を移動しながら聞き続けるということも「ラジコプレミアム」の加入で簡単にできるようになった今、普通の生活の中ではAMラジオの出番はほとんどなくなってしまうかも知れません。

ただ、一部のヨーロッパの国のようにAM局の放送自体を止めてしまってFM放送やネット放送に全て変えてしまっていいのか? というところには諸手を挙げて賛成という風に考えることはできません。例えば、携帯電話の電波も届かないような場所では、まずFM局の放送波を受信することは難しいように思えます。同様にテレビのワンセグ電波を受信するにも厳しいものがあると思うので、車中泊をせいせいできる場所を求めれば求めるほど、情報が取れなくなる場所はまだ日本にもあるのではないでしょうか。

そんな時に頼りになるのは、やはり混信があっても目的のAM放送局をクリアに聴くことができる、選択度の良いラジオです。日本全国をカバーするという意味では短波放送の方が昼も夜も安定して聴くことができるのですが、現在の日本では国内の短波放送というのはなかなか難しいようで、情報を入手するという点では今の「ラジオNIKKEI」では十分ではないでしょう。やはり、日本のAM放送をラジオで聴くことのメリットは常に日本全国を動いているような立場でないとなかなか理解されないということはあるようです。ただそうは言っても最初に紹介した民放連の訴えというのは相当に切実であるので、大手を含む民放が全てAM放送を止めてしまってもそこまで大声で非難することはできないだろうなあと思ってしまいます。せめてNHKには第一放送だけでもAM送信を続けて欲しいものですが。


カテゴリー: 通信サービス全般ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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2 thoughts on “ラジオの民放AM放送は完全になくなるのか?

  1. ケータイオタク

    AMからFMに移行となると普段ラジオを聞いているんですかと言う人まで騒ぎ出しますね。
    AM放送は雑音が多いのでほとんど聴くことはないですが、FM放送はテレビのアンテナコードに接続すればきれいに聞こえるのでFM放送は良く流しています。
    民放は今後FMに移行するか廃局しか道はないのでは。NHKだけは継続したところで将来的にAM放送を受信出来る機器が供給されるか。
    災害時の事を言われるが、公衆電話ではないが普段の維持費用はどうするのか。
    少子高齢化人口減少社会では社会インフラの維持にかかわる固定費は削減していかないといけないと言う事も考えないといけない。
    障害物の関係での難視聴地帯はあってもテレビ放送が見れない地域は無いのでは。音声だけならほとんどの地域でテレビ放送も聞こえると思います。
    地域によってはブースターが必要ですが、むしろ携帯電話より利用可能な地域は広いと思います。
    AM放送を維持する為に公金を支出するよりその分携帯電話の圏外を減らす為の費用を負担した方が効率的ではないでしょうか。
    日本人は従来のシステムの維持に固執し過ぎるのでは。地方では鉄道の維持より専用道を確保してバス路線化を進めるべきだし。固定電話線を維持するより携帯の基地局の強化を図るべきでは。
    電力会社は悪天候の後には電力線の状況を点検していますが、NTTは苦情が来ないと点検に行かないようです。緊急時に断線などで固定電話が使えないと言う事もあり得ますね。
    ペルーなどでは有線電話そのものが無く、携帯電話だけと言う地域もあるくらいです。

  2. てら 投稿作成者

    ケータイオタクさん コメントありがとうございます。

    個人的には車に乗っている時にはFMよりもAM局を聞くことが多いです。逆に自宅ではほとんどラジオを聞くことは最近はなくなってしまいましたが、今後の車に乗せるラジオはどんな感じになるのか、FMに完全移行するような場合にはどうなるのかということはちょっと気になります。

    テレビについては、本当にどこでも鮮明に見られるなら衛星放送を利用されるのがいいと思いますが、衛星放送は厚い雲があると放送が中断したりしますので完全ではありません。携帯電話の電波をどこでも使えるようにするにも、電波の特性から言って複数の基地局を相当きめ細やかに配置しなくては難しいこともあり、逆にテレビやラジオ、インターネットが使いたい場合は電波の拾えるところまで移動するしかないというところはあります。今後は、ここに来れば転換した地元FM局の基地局があってクリアに地元局が聞こえる場所を整備してくれるなら、外界と通信を全く遮断したい人はそこから離れるでしょうし、そうでない人にとっては有難い場所になっていくでしょう。

    AM局とラジオの今後としては、もし日本で完全に停波するということになっても高感度ラジオ自体が全く使えなくなるか? というとそんなことはなくて、隣国の国内・国外向けの放送は今と比べると相当聞こえやすくなると思うので、電波を受けやすい標高の高いところでたむろする人達が案外増えるかも知れません。私が民放AMローカル局の長距離受信をねらって悪戦苦闘していた時には、NHKは全局午前12時で放送を終了して、その後から主に遠方局を聞いていました。日本国内のAM局が全廃されたとしてもそれなりの楽しみはあるのですが、今あるカーラジオのAMが使えなくなるというのは個人的には残念ですね。

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