今後「キャンピングカー」を買うリスクとその対策

一時期の車中泊ブームは年代別で言うと会社を定年退職した60代の方が持つ潤沢な資金によって支えられていたところがあったのではないかと思います。退職金が入ったらまず「何に使おうか」と思いつつ高額なキャンピングカーを購入したり、ハイエースのようなベース車をカスタマイズして自分なりの車中泊車として仕上げるというところで、多くの人がそのブームに乗り、盛り上がりました。

しかし、2018年から2019年に掛けて、そうした60代から70代を超える人達の中では新たな問題が発生しています。その一つが、高齢運転者の事故報道の増加であり、そうした報道に乗って先日紹介したように高齢者の免許には一定の基準を設け、例えば自動ブレーキ装備車でないと更新できない免許にするという方向が打ち出されています(現状では従来の免許との選択制になるような話もあります)。

これでは、それこそ車中泊ブームの時に購入したキャンピングカーや、改装費を含めるとキャンピングカー以上お金がかかったかも知れない改造車中泊車について、近い将来には自分で運転して出掛けることができなくなるということも考えられます。車に乗って出掛けなくても、災害用のシェルターや男性の書斎として活用することはできるかも知れませんが、そうしたものならそこまでお金を掛けなくてもできたはずで、今となっては車中泊のために使ったお金が勿体なかったと考えておられる方も少なからずいるかも知れません。

そうした事がふき出すきっかけになったのが、昨今のニュースで出ているような、金融庁発表の厚生年金のみで65才のご夫婦お二人がそれまでの生活レベルを落とさずに生活を続けた場合の試算に現われています。資産では毎月5万円くらいの赤字が予想されるので、長生きをすればするほど老後の資金が足りなくなり、2000万円くらいは年金とは別に投資などで用意すべきであるというある意味まっとうな報告書です。

個人的には毎月20万円以上の年金収入があれば、もし健康なお体でしたら多少はアルバイトをしてその分をレジャーなどに当てるようにすればそこまで毎月の赤字は出ないような気もするのですが、果たして老後の生活にとって「キャンピングカー」というのは収支的にどうなのか? という事を考えてみたくなります。

個人的には、ものすごいお金を持っていてあの世まで持って行けないほど持っているなら数百万から数千万のキャンピングカーと、ついでに運転手も雇ってお好きな所に行けばいいと思っているのですが、ほとんどの方はそんなわけにはいかないでしょう。さらに、キャンピングカーを普段使いして毎日のお買い物に使うというのもなかなか無理なところがあり、今キャンピングカーを持っているご家庭では日常用の車と2台以上の所有をされていると思います。ただ、そうして車を持つと毎月の経費とともに自動車にかかる税金やメンテナンス費用、さらに保険料までかかりますので、一気に老後の生活に影響が出るものではないかと思います。

キャンピングカーは欲しいけど毎日の生活にも車を使うという方は、普段使いの車を出掛ける時だけ車中泊もできる車として使うことを考えた方がいいような気がします。ご夫婦2人だけの旅なら軽のワンボックスカーをフラットにしてそこに寝床を作るだけでも十分で、過去にも提案したことがありましたが、車中泊の旅に出掛ける時だけレンタカーとして軽のワンボックスカーを借りるという手もあります。

どうしても自宅が災害に見舞われた際の避難場所として使えるキャンピングカーが欲しいと思う方には、軽トラの荷台に住居部分を載せる方式のキャンピングカーをおすすめします。最近の軽トラには自動ブレーキ搭載車も出てきていますし、車検の時には荷台から住居部分を外して車検に持って行けたり、車の調子が悪くなったら車の部分だけを替えて載せ替えるということもできます。初期費用だけは車代と合わせると200万円前後かかってしまうことはあるものの、いざという時にはそのまま売れれば言うことありませんが、あえて軽トラ部分と住居部分を分けて売ることもできます。土地があれば住居部分だけを離れのようにして使うことも可能でしょう。今後のライフスタイルの変化にも対応しやすいキャンピングカーだとも言えます。

私の車中泊のスタンスは専用のキャンピングカーにしなくても、何とか車内で寝られるように工夫をし、もし車内で過ごすのがつらかったらキャンプ場に行ってテント泊をしたり、様々な宿泊施設を使って泊まる快適さの方を優先したいと思っています。年間どのくらい旅に出るかにもよりますが、それほど出掛けない方なら、泊まるのはあえて車の中にしなくても良く、ただ仮眠する場合に「エコノミークラス症候群」になりにくい仮眠体制の取れる車であればいいのではないかとも思っています。

仕事をリタイヤし、時間が有り余る中では強行軍ではなくのんびりと移動し、ゆったりと自分の時間を作ることのできる車中泊というのはいい人生の楽しみ方になると十分思いますので、まずは今後の政府の動向を見ながら、高齢になっても乗り続けられそうな車中泊のためのベース車を探すところから始めてみてもいいでしょうし、車を完全に放棄して別の交通手段での旅を模索するというのも間違いではないと思います。ただ、これから車の性能が上がってしまう分、メンテナンスにかかる費用は増大する恐れがありますので、残念だと思いつつも車を手放さざるを得ない世帯も増えていく可能性はあると思うのですが、そうなると本当に困るのは毎月のノルマを達成できない日本のカーディーラーでしょう。この影響で国内消費が更に減ることになれば景気もどうなるかわからなくなるかも知れませんが、その点は個人で対策を考えることはできようもないので、今後のニュースを注視しながら政府の政策に期待するしかなさそうです。


カテゴリー: 車中泊に適した車種 | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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