日本メーカースマホのメリットがなくなる日も近いか

半ば予想はしていたところがあるのですが、先日の裁判のニュースでワンセグ付きの携帯電話を持っていたことでNHKの職員から受信契約を不当に結ばされたと契約の無効を訴えた東京地裁の判決があり、訴えた男性が敗訴になりました。過去にはワンセグの携帯電話では受信料の契約はできないとする判断もあったのですが、受信料の徴収は合憲という判断が出た中ではやはりNHK有利の判断がされる事は仕方ないと思われます。

そうなると、少なくとも勝手にNHKとの契約を結ばれないためには、たとえ家にテレビがないとしても、ワンセグ携帯電話やスマホ・タブレットを所持しないことが必要になってきます。そこで思い当たるのが、日本産のスマホの海外製との違いを表わす際に言われることの多い3つの違いというものです。

それが、「防水・おサイフケータイ・ワンセグ」というものなのですが、こういうニュースによって改めてスマホにワンセグが必要なのかというところになると、多くの人が使っていたり今後使いたいと思っている「iPhone」については「防水・Apple Pay」のみが搭載されていてワンセグは搭載されていません。
さらに、安さから人気の台湾や中国メーカーの格安スマホは、国産メーカーの搭載する3つの機能が全て付いていないので安いということはあるのかも知れませんが、今後の状況によって、かえって何も付いていない方が好まれるような状況に変わってくる可能性も出てきます。

まず、防水機能については海外メーカーでも対応するような話も出てきていますし、防水パックに入れて水辺では使うようにすれば十分と考える人もいます。そしておサイフケータイについても、海外で利用できるわけでもないので、今後大挙して押し寄せる外国人観光客に向けての電子決済の手段が整備される中、電子決済も本体のカメラによるQRコード読み込みだけで済んでしまうものが日本でも多くの店舗で使えるようになることも考えられます。カメラで撮影したQRコードだけで決済ができるなら、おサイフケータイ機能そのものが本体の価格を押し上げる余分な機能だというように感じられてしまう可能性もあります(もちろん、悪意のあるフィッシングサイトに飛ばす怪しいQRコードについての対策が必要であることは言うまでもありません)。ワンセグについてはすでに説明した通り、ワンセグが付いていることで受信料を払わなければならないケースもあるので、過去には日本メーカーの出すスマホの有利な点として紹介してきた3点がまるまる海外製スマホとの間で競争する中での足かせとなる可能性さえ出てきたわけです。

残念な話ですが、日本メーカーが作った機能的には海外に対して優位に立てるようなスマホであっても、利用する場所の社会や制度によって、本来はスマホを便利に使うための機能が付いていること自体が不利になったり、そもそも本体の価格が高くなるばかりでそこまでのメリットがなかったりするなら、どうせ2年から3年で内蔵バッテリーや古いOSの問題で買い替えを余儀なくされると割り切って、機能がシンプルで小売価格が安いスマホがもてはやされるようになる事も考えられます。

ただ、シンプルスマホではいやな人達は国産のごてごてしたスマホに行くわけではなく、スマホを持っている事自体を誇ることができるiPhoneを購入するようになるでしょう。つまり将来はiPhoneを買い続けるグループと、基本性能だけがしっかりしていて個性のない海外製のスマホを頻繁に買い替えて使うグルーブに分かれた消費活動が繰り広げられていくのではないかと想像してみるのです。日本で生活して多くのメーカーに親しんでいる身としては極めて寂しい展望にはなるのですが、すでにある「らくらくホン」のような切り口のように、iPhoneでもシンプルスマホでもない新たなニーズを引き出すような選択肢を持ったスマホを今後提供して欲しいものですが。その中の一つがガラケーから派生したガラホだというのなら、それはそれで面白いのですけど。


カテゴリー: モバイル関連コラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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