災害時に普通の車で車中泊する人のために

車中泊が一面に

昨日の某新聞の第一面に、「車中泊」という文字が踊っているのを見て驚きました。記事の内容は、災害時において車中泊による避難生活を送る人に対して、自治体が対策に動いている傾向があるというものでした。

避難所に入らずに自家用車の中で長期の避難生活を続けると、車によっては満足に手足を伸ばしてリラックスできないので、知らないうちに血栓がたまり、最悪の場合には生命の危険もある「エコノミークラス症候群」にかかる可能性があることは、東日本大震災の前の2004年11月に起きた新潟県中越地震において、専門家からすでに指摘されていました。

それから10年以上の間に、大きな地震が起きるたびに車の中で車中泊をしながら避難生活を送り、お亡くなりになる方が出ています。このような事がニュースになるというのは、すでにわかっている事なので遅すぎるきらいはあるものの、個人的に考えるに、自治体が対策を練ったからと言って、すぐに何とかなるものなのだろうかと本気で思います。

ただ以前のブログからお読みいただいている方にとっては既知の事かも知れませんが、今から4年前に、新潟県中越地震でエコノミークラス症候群と車中泊についての関連と危険性を指摘されたご本人である新潟大学の榛沢和彦氏からご案内をいただき、氏の推進する「脱・車中泊」についての取り組みについて見に行かせていただいたことがあります。興味のある方は以下のリンクをクリックしてご覧下さい。

http://syachu.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-c21d.html

当時から、このように災害が起きたらすぐに仕切りのある段ボールベッドのキットを被災地の避難所に供給し、早い段階から手足をゆっくり伸ばしてプライバシーもある程度は保たれる環境が生まれてきたらいいのにと思っていたのですが、その後数多く災害が起こりましたが、直後の避難所から発信される映像で、私はこのような段ボールベッドが並んでいる様子を見たことがありません。それはまだまだ自治体の対応が後手後手に回るような状況があり、すぐに多くの人が満足するような避難所の環境作りがされていないということの裏返しなのだろうと思います。避難所で十分過ごせるのに車中泊を選んでしまう人が少しでも減るように、既にこういう事を考えてやっている人がいるという事をもっと多くの人が知れば、さらに全国の自治体の「脱・車中泊」についての対策が進むのではないでしょうか。

ただし、こうした環境が整っていても、なおかつ車中泊を選択する人たちもいます。それは、小さい子供やペットが泣き叫んだり吠えたりし、周辺の人たちが迷惑するだろうと思って人の多く集まる避難所からさらに逃げてくる人たちです。こういう人たちは、いかに自治体の方々が避難所の環境を整えても、なかなか避難所には行かないと思います。

となれば、テントの貸し出しとか自治体の準備できる対策は限られますが、ここで個人的にはもう一つの提案をさせていただきたいと思います。

というのも、大きな地震が起こって車中泊をする人が増えれば増えるほど、「車中泊」をする行為自体が悪い事のように報道されることもあるなど、車中泊に関する評判自体が良くなくなってしまいます。このブログを見ていただければおわかりとは思いますが、キャンピングカーでない普通の車であっても様々な工夫によって車の中であっても手足を伸ばしてリラックスし、エコノミークラス症候群の恐れなく生活することも可能です。ただ車を車中泊仕様にするために専門の業者に頼むとお金がかかったり、DIYをするにも手間がかかります。

それならいっそ、普通の車であってもシートアレンジの中の一つに「完全フルフラットモード」を実現できるような設計の車をメーカーに作ってもらえば、その上に家で使っているマットレスを敷くだけで親子3人が川の字になって寝られるようになってくれればいいのです。現在は多少、車中泊に使える車というのはレジャーに重きを置いた車の中でも存在するようにはなっていますが、その存在はさほど多くありません。

いつでも完全フルフラットモードにすることに問題があるのであれば(特に運転席回りをフラットにするとすぐに運転できなくなるので)、例えば車載工具を使って作業しないとフルフラットモードにならないというような機能的な制限を加えていただいてもいいので、いわゆるファミリーユーズの大衆車においてはいざという時には体を伸ばして寝られるようなシートアレンジに変形可能な車を標準にして欲しいと思うのですが。

というか、同じクラスのファミリーカーで一社のみこうした仕様が全グレードで実現されたら、確実に売りやすくなりますし、実際そうしたニーズ(災害時に子供やペットがいるので車の中に避難したい)を持っている人には強い購入の動機付けにはなるのではないでしょうか。もし、こうした声に対応するような普通車が出てきたら、別の意味で車中泊が続いてもエコノミークラス症候群による体調不良を防ぐことができると思いますので、メーカーの方に考えていただければ幸いです。


カテゴリー: 防災関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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