移動スーパーの一過性でない進化を望む

先日、私の住む地方のニュースで、静岡県牧之原市のスーパーが一台で1000品目の品物を積み込むことができる軽トラの「移動スーパー」を一台増やしたということがニュースになっていました。

今回ニュースになった移動販売車というのは、徳島発の全国で移動スーパー事業を展開する「株式会社とくし丸」の車両を使っています。たまたま5月19日のCBCで放送された「BACKSTAGE」でその仕事の内容が紹介されましたのでご覧になった方もいるかも知れません。まだTVerでは視聴可能なので、興味のある方は会社のホームページにリンクを張っておきますので詳しい内容はそちらからご覧下さい。

https://www.tokushimaru.jp/

過疎化する地域で日常的に使う品や食料品を購入するのには、自分で車を運転できない場合(昨今の社会問題化している高齢者の免許返納の動きの影響も十分にあります)、普通は親族を頼りにするわけですが、すでに一緒に住んでいなければ頃合いを見て車などで迎えに行く必要があり、お年寄りが行きたい時に常に行けるわけではありません。また、大きなスーパーではお店への送迎サービスがあったり、地域の人々の中で一台の車に乗り合わせて買い物に行くようなこともあるかも知れませんが、どちらも自分の都合に合わなかったりすることもあるでしょう。

お弁当の宅配も有料サービス及び、地域のボランティア活動の中で行なわれてはいますが、いつもお弁当だと私だって長く続くうちにはいわゆる「食べる楽しみ」というものが失なわれてくるかも知れませんし、自分で好きなものを好きなだけ買うということをしたいというニーズに合い、さらにネットスーパーやネットショッピングのようなインターネットを使ってのサービスを使えなかったり、そもそも高い通信費と端末代を出してまでしたくないという人たちは過疎地域だからこそたくさんいるので、「とくし丸」のような移動スーパーの事業が成り立っていくわけです。

こうした「移動スーパー」の事業は一過性のものなのか? という議論もありますが(とくし丸のホームページでも先細りの業界であるという風に紹介されていました)、考え方を変えるといわゆる「買い物難民」のためだけに存在するのはもったいないという気もするのです。というのも、この「とくし丸」は毎日ではないものの毎週2回決まったコース内を巡回して買い物を希望する人の自宅前まで行くという触れ込みなのですが、例えば村の集会場に立ち寄ることがネット上の運行情報などで確認できるなら、レジャーで巡回ルートの近くを訪れて買い物のために遠回りする手間を省いたり、キャンプや車中泊をする場所を「とくし丸」が巡回するコースの近くで車中泊をすることにし、その夜の食事や翌日の朝食の具材を移動スーパーで手に入れることができれば、すでにそれなりの用意がしてあっても、買い忘れや土地の名物なども現地で入手することもできるかも知れません。

当然、まだそんな「買い物難民」を差しおいて先に買ってしまうような事は私自身はとてもできませんので、できれば地域の集落を回った後に残ったものの中から何か購入できるものがあればルート販売先でない部外者でも購入ができるような立ち寄り場所を増やす仕組みや、ネットで事前に注文したものを現地で受け取れるようにできるサービスがあれば、過疎地域の住民だけでないニーズが生じ、その分の利益で巡回の範囲を広げることもできるようになってくれればさらなる展開も期待できるのではないでしょうか。

ただ、このサービスをもっと円滑に進めるための問題があります。テレビ番組で紹介された内容を見ていると、その全てが現金決済のようでした。地域のお年寄りは何よりネットの利用ができないのでこうした移動スーパーを使っているのですが、スーパーに行けないということは、農協や郵便局についても歩いて行けるならいいのですが、そうでなければ改めて買い物のためのお金をどのように用意すべきかということになります。こればっかりは「とくし丸」のドライバーの方でも人のキャッシュカードで現金を出す代行というのはやれないでしょう。さらに多くのお宅を訪れて現金決済をする場合は、銀行に手数料を払って十分な金額の両替をしてから配送ルートを出発しなければならないということにもなります。

買い物のために年金が出たら全て出して家に置いておくというのも一つの方法でしょうが、それだと盗難や詐欺に引っかかったりして年金を根こそぎ盗られてしまう可能性もありますので、できればお金を使わない決済に移行することができればいいのにと思うことはあります。移動販売の方が払う決済手数料の安いデビットカードを使ってもらったりすることができれば、いちいちお金を下ろしに行かなくても済むのですが、問題は移動スーパーの方にそうした決済手段を用意するというコストが掛けられるかという事もあるでしょう。現在は一応ソフトバンク3G回線を使ってデビットカード決済のできる端末はあるようですが、そもそもとくし丸の業務で現金以外の決済が認められていないかも知れませんし、決済のほとんどが現金ならそうした用意も無駄ということになるので、兼ね合いが難しいところはあるでしょう。

今後は現金がなくても買い物をしたいという人が増えれば、電子マネーで決済を行ないたいという人も出てくるかも知れませんが、そうした事を普通に行なうにはまだモバイルインターネットの普及が山間部まで展開しなければなりませんし(電子マネー決済にはネット環境が必要)、何より電子マネーを使いたい人が安い金額でスマホを維持できるようにならないと、毎月のスマホ料金が高すぎて買い物を控えなければならないような事になるのもナンセンスです。

現在はこれでもかというくらい電子マネーを一般ユーザーに使わせようと様々なキャンペーンやマスコミによる宣伝もどきのようなニュースまで多く流されていますが、本当に現金に代わるものとして普及させたいなら、大手キャリアは「通話+電子マネー利用プラン」というような格安プランでも作らないと、過疎地域のお年寄り達や電子マネーを使うことを考えて主にスマホを使いたいという人にはとても電子マネーは普及しないでしょうし、加盟店が電子マネーを使うための手数料を取り過ぎればそもそも電子マネー決済サービスを提供するお店も少なくなってしまいます。中国でQRコード方式の電子マネーが日本と比べて普及しているのは、決済の手数料が日本よりはるかに安いからということもあるそうなので、電子マネーを本気で普及させたいなら、日本全国どこでも安く使えるようなインフラの整備についても、こんな所から考えていく必要があるのではないかと思います。


カテゴリー: 車関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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