世の中が騒いだらブームは終わっている?

過去には知る人ぞ知る存在だったものが世間の人に広く知られていくことはよくあることですが、こうしたブームには一体の法則があります。何でも最初にやったものがある場合、まずはそれを他の人に知らせる必要があります。本当にそれが周辺の人に評価を得るようになった場合、最初は口コミだったりしましたが今ではSNSなどで盛り上がることもあるでしょう。

その次にあるのは、仲間うちでなくインターネットメディアが出てくることです。様々なネットニュースメディアに取り上げられる中でも、一つのポイントとなるのがYahoo! Japanのトップニュースで取り上げられることだと言えるでしょう。

個人的にはこのYahoo! Japanがどういう意図でニュースをコントロールしているのかがわからないのが不安ではあるのですが、特にテレビでネットニュースを取り上げる頃になると、SNSで盛り上がっていた人については少なくとも以前までの熱狂が冷めるくらいの時間が経っていることがあります。

そこから改めて、そこまでインターネットからの情報収集をしていない人やインターネットをしない人へ情報が発信されるわけです。私自身の経験としては、もはや覚えている人もいないかも知れませんがかつてUSRobotics社が出した電子手帳からPDAのはしりのハードと言えた「Palm Pilot」の日本語化の中で、日本で唯一アメリカから本体を輸入していた秋葉原のショップまで出向き本体と当時、あくまで個人でシステムの日本語化をしたパッケージを入手して利用を始めました。

当時の情報は全てネットからのもので、開発者本人が細かいバグ取りをしながら日本語で使えるようになっていったのですがその熱狂が国内外の企業を動かし、きちんとした日本語化したIBMの「Work Pad」や、「Palm Pilot」となり、さらに米のHandspring社が出した「Visor」、Sonyも参入して「CLIE」を世に出しました。もし当時にスマホがあったとしたら、必ずこのハードに電話が載っていたはずだと思いますが、残念ながら当時の携帯電話会社はiモードに代表されるガラパゴスケータイの開発にしのぎを削っていまして、もしどこかのキャリアがPalm OSの入ったスマートフォンを世に出してくれていたらと今でも思っています。

どちらにしてもPalm OSがスマホにならず、iPhoneやAndroidがスマホの主流となったことで、かつてあれだけモバイル機器の中では主流を占めていた一大勢力が没落していく様は寂しくもありましたがそれだけ「長いものに巻かれる」大人の事情というものを感じた事例となりました。それとともに、きちんとした後ろだてのない物というのは、一時はブームで上がっても、後から振り返ってみればその痕跡まで残さないくらい世間から抹消されてしまうということも理解するようになりました。

さて、最近になってテレビメディアで騒がれて、今後一般ユーザーを巻き込んでブームになっていこうとしているものに「ビットコイン」があります。テレビでは相場の上層だけで2億円儲けたというような会社員らしき男性に取材したりして、投機への興味を煽っているようにも見えます。そのニュースでは広大な倉庫に高性能のパソコンを数多く運び込み、ビットコインに必要な演算をすることでビットコインをもらうことができるという「発掘」をしている現場にも取材していましたが、もはや金の力によって大規模な設備投資を展開しないと、何もないところからビットコインを得て利益を挙げることは難しいという事実の裏返しだとも言えます。

日本円をビットコインに替えてさらなる価値の上昇を待つというのがこれから多くのテレビを見て感化された人が行なう行為になるでしょう。その辺はさすがに取組を行なうところはタレントを使ったテレビコマーシャルを打っているようで、一般人からするとテレビで出ているから安心だと思ってしまいがちです。

しかし、今私がこんなことを書いている中でもビットコインのような仮想通貨の価値の下落がニュースになるほどで、高値で買わされて一気に下落して売るに売れない人が少なからず出る可能性があります。ビットコインはそのままで決済できる店舗もあるので、あえて日本円にしなくてもビットコインのまま決済できるのですが、もし10万円で買ったビットコインが50%下落したら、お店へ行ってもその量のビットコインでは5万円分の買い物しかできないということになるわけです。

もしこんなことが日本円で起こったとしたら、社会は大混乱に陥るでしょう。そうなっていないのは日本円は日本という国が為替市場に介入したりしてある程度安定させるような施策を取っているからです。それに反してビットコインはあくまで市場の流れのままで価値が決まるということになりますから、今のままでは電子マネーの代わりとして使うことに躊躇せざるを得ませんし、個人的には取引価格が安定しなければとても買う気になれません。

こうした投機に手を出すのは個人の自由ですし、まだまだビットコインは上がるかも知れないという見方もあるものの、言い方は悪いですが先行者が遅れてきた素人に高値で売リ抜けて、その後下落したら自分も儲けようと下心を出した人が軒並み損をするというバブル崩壊やNTT株、ライブドア株に群がった時のような未来が見えて仕方ないのです。

元々、投機性の高い金融商品については、ある程度生活資金を確保した上で、全てなくなっても諦められる金額を投資するような方法を取るのが賢明だと思うのですが、なけなしのお金を増やそうとビットコインにこれから投資しようとしている方がいたら、まずは止めておいて、本当に大丈夫なのか冷静に考えてからの方がいいと言いたいです。もはやブームは終わっていたとしたら、日本以外の国では取引きをしない方針のところも出てきている中、何の実体もない、言うならば新聞紙を切ってその切れ端を売り買いしているような取り引きは、最初から盛大なババ抜きゲームのようなものになってしまうかも知れません。もっと言うと、最初からのゲーム参加なら損失なくゲームから抜けることも可能でしょうが、今はもう多くのカードが場に出されて残りの枚数が少なくなった中で参加するようなものだと思います。プロのギャンブラーならババを持つことなく上がれるかも知れませんが、何の対策もしないでゲームに参加した人がどうなるか、今から心配になります。


カテゴリー: モバイル関連コラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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