入浴施設内の監視カメラの功罪

テレビのワイドショーでかなりショッキングな(といってもグロテスクなものではありません)画像を見る機会がありました。和歌山県新宮市運営の温泉施設において、備え付けのシャンプーやボディーソープの容器8本をジェットバスの中に「投入」し、浴槽全体を泡まみれにさせた迷惑行為で19才の少年2人が和歌山県警に逮捕されたというニュースなのですが、これももしSNSにアップして「いいね」を取るためか、動画配信をしてお金を得ようとして起こしたなんてことなのかと思うと、暗い気持ちになってしまうのですが、この事件にはニュースでは報道されないもう一つの問題点が隠れています。

というのも、今回の犯人が逮捕に至ったのは、新聞報道によると「現場から立ち去った車のナンバーや防犯カメラの映像などから少年らが浮上」とあります。駐車場の様子を防犯カメラで撮影していたのはまあいいとしても、確実に少年らの犯行を決定付けるには防犯カメラは駐車場やロビーだけでなく脱衣場や浴場にもあったのではないかと思わせるような報道になっているのです。

もちろん今回のような防犯的な面から監視カメラの設置は必要なところもありますが、過去にあったかどうか、ソースの確認ができないので具体的な事件が起こったかどうかはわからない事を前提であえて言えば、全国各地にある温泉施設や温泉宿のスタッフが脱衣場や浴場に設置した防犯カメラの内容を個人的な趣味で見ている可能性というのも0とは言い切れないわけで、特に公共浴場をよく利用されている方は注意が必要だと思います。

そこまで細かく考えては露天風呂など利用できなくなるではないかという方もいるかも知れませんが、今の世の中は世知辛いというかあえて人間が近づかなくても撮影用ドローンを飛ばせば簡単に露天風呂の様子を覗き見られてしまうわけで、そうした旅のリスクというのも考えなければならないような時代になってきたということです。

残念な事ですが、公衆浴場では様々な盗難事件が頻発していて、施設ではその対応に困っているという側面もあります。車で来ている人なら貴重品は車の中に入れておくという方法もありますが、その車自体を狙う人もいるわけなので、貴重品用のロッカーに入れるなどの施設利用者の自衛も大事なことです。ただ、別のリスクとして常に無防備な姿を撮影されるという点についても、このニュースでは問題な点として捉えなければならないということは多くの方に考えて欲しいところであります。

現代はあらゆる場所に防犯の目的で監視カメラが設置されていますが、個人的にはその取り扱いについても合わせてしっかりと規制なり運用を徹底してもらいたいと思います。どういう事かというと、録画した映像は上書き消去されるのか保管されるのか、見る場合には後で誰が見たかわかるような形で記録がされるのか、録画をしている場所以外のところに持ち出される場合があるのか、要求があればコピーを提出することがあるのかなど、個人のプライベートを覗き見られる事について、あまりに不確実な要素が多いように感じるのです。

こんな風に突き詰めていくと、自分の知らない闇で温泉施設の監視カメラの映像が出回るような事が起きたらどうするのかとか思う方もいるかも知れません。それが原因で現地でいざこざになるのもいい事ではないので、できれば施設の入り口にわかるように「防犯上の理由で監視カメラ云々」という注意書きを出しておいてくれればいいと思う方もいるでしょう。そうした表示のない中で不安になった場合は、あえてフロントの係の人に聞いてみるのも一つの方法です。

世知辛い世の中になったと嘆く方の気持ちは十分わかりますが、今後起こるかも知れない旅先でのトラブルやリスクの一つとしてこの問題を考えるべきだと思います。


カテゴリー: 旅行・交通関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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