大手キャリア加入者は「格安SIM」を求めているのか?

auが7月10日に、新たなスマホ用料金プランを発表しました。データ通信をほとんど使わないユーザーにとって最低料金の低いプランがないという批判に答える形で、携末を分割購入することによる通信料の割引を行なわないことを条件に(iPhoneはプランの対象外)新たな料金プランを出してきました。今まで、ほとんどデータ通信を使わないユーザーに割高になっていたという批判に応えるため、月間のデータ容量を「1GBまで」「2GBまで」「3GBまで」「5GBまで」「20GBまで」という5段階の従量制料金プランです。

ニュースでは格安SIMに対抗する形での値下げというように報道してはいますが、ちょっと動画を見るような事が続けば、月間5GBという値は簡単に超えてしまうことが予想されますので、ユーザーは気を付けないと月額1,980円という魅力的な言葉とは裏腹に、思わぬ通信料を払う羽目になってしまうかも知れません。このプランは通話の内容によって料金が違うので、わかりやすいようにまとめてみます(以下の価格は全て税別)。

・スーパーカケホ(一回5分以内の通話が定額)

「1GBまで」月額2,980円(ただし加入翌月から1年間は1,980円 以下条件同じ)
「2GBまで」月額3,980円(同2,980円)
「3GBまで」月額4,480円(同3,480円
「5GBまで」月額5,480円(同4,480円)
「20GBまで」月額6,480円(同5,480円)

・カケホ(時間制限なし24時間通話が定額)

「1GBまで」月額3,980円(ただし加入翌月から1年間は2,980円 以下条件同じ)
「2GBまで」月額4,980円(同3,980円)
「3GBまで」月額5,480円(同4,480円
「5GBまで」月額6,480円(同5,480円)
「20GBまで」月額7,480円(同6,480円)

・シンプルプラン(通話料一律30秒20円 家族との通話は無料)

「1GBまで」月額2,980円(ただし加入翌月から1年間は1,980円 以下条件同じ)
「2GBまで」月額3,480円(同2,480円)
「3GBまで」月額3,980円(同2,980円
「5GBまで」月額4,980円(同3,980円)
「20GBまで」月額5,980円(同4,980円)

ちなみに、加入月はこの金額でない指定の料金になり、その後の1年間は月1,000円引きになるので、端末の購入に関する割引は廃止されたと言ってもその分を少しは充当していることになるのかも知れません。なおこのプランでは「通話プラン」「ネット接続料」「パケット通信料」をまとめた形での請求になるということでわかりやすい部分はありますが、MVNOのように1GBを超えたら後の期間は低速制限というようなルールでなく自動的に次の料金プランにアップしていくことになるので注意が必要になってきます。

こうした内容で確かに月間のスマホ利用料が2,980円で5分定額も使えるようになり、割引の恩恵を受けられる方もいるでしょうが、果たしてこの金額は安いのか高いのか、実際にMVNOの料金を見ないとわからない部分もあるでしょう。そこで、1GBまでの高速クーポンがユーザーの方で切り替え不可な通話プランのあるLINEモバイルの「LINEフリープラン」と比べてみることにしましょう。

LINEフリープランの基本料は高速クーポン1GB付きで月額500円です。さらに電話番号を使って通話できる通話用SIMにすると700円がかかります。さらに、LINEモバイルには通話のオプションとして専用アプリからの発信になりますが、一回の通話について10分まで定額というオプションがあり、その金額が880円になります。合計すると税抜価際で2,080円となります。auピタットプラン(スーパーカケホ)の加入時から1年間の料金1,980円より高いですが、高速クーポンの1GBを使い切った後に従量制で請求金額が上がっていくauと比べ、LINEを使った通話やビデオ通話は1GBを使い切っても別枠で高速通信として使え、低速に制限されることはあるにしても、請求額がこれ以上に上がることはありません(別途消費税とユニバーサル料金がかかります)。

ただ、LINEモバイルはドコモ回線を使っているので、純粋にau回線で比べたいという方もおられるでしょう。例えばmineoのaプランはau回線なので、そのプランでも比較してみます。auの最安値と同じの1GBまでのプランは音声通話付きが1,410円で、これに5分まで定額(専用アプリからの発信に限る)のオプションを付けると850円をプラスになり、2,260円(消費税・ユニバーサル料金別)となりますが、この1GBプランはスマホに入れたアプリによって高速クーポンを切って低速での運用も可能で、さらに余った高速クーポンは翌月まで繰越も可能になるところはauより便利です。

こうしてみると、いくら総務省が格安SIMに近いプランを大手キャリアに求めたとしても、その差を埋めるのはなかなか大変であると正直なところ思います。ここまで細かくauのプランについて説明させていただきましたが、私自身はユーザーがauを含む大手を選ぶのは単に安いからということではないと思っているので、MVNOは飛行機におけるLCCというような立ち位置として無理に競争することなくどちらも繁栄して欲しいと思っています。

ではユーザーは大手キャリアに何を求めているかというと、一つにはスマホの設定すら危ういと思っているユーザーや、とにかく安定して使える回線を求めているユーザーなど、MVNOがどう頑張っても対応することができない人たちではないかと思うのです。

そういった人たちはたとえ高額であっても安定した回線を提供したり、自分のスマホがうまく使えない時に直接出向いて疑問を解決してくれるというサービスの質を維持する限りは格安SIMの方には行かないでしょう。

ただ、今のようにやみくもに料金を下げる中でアフターサービスは全てのユーザーを同じようにするのであれば、運送業者のように現場の最前線で働いている人たちを苦しめるだけです。徹底的にスマホの使い方を含めてアフターサービスを望むユーザーに対して有料のサービスプランを作り、現場にはそのサービスを契約した人のために対応する専門のスタッフを置くようなことの方が、ユーザーの流出を止めるためには有効なのではないでしょうか。

そのように考えていくと、こうした料金プランがもてはやされるのは大手キャリアだけの問題ではなく、料金の値下げを勧告する政府があってのプラン改善であるという事実に突き当たります。総務省は料金の高さについて問題にすることが多いですが、それだけでなく携帯業界の店舗での現場職員の悲鳴を聞けているのかどうかも気にかかります。そもそもなぜガラケーをなくしスマホにしなければならなかったのか、むしろガラケーからガラホに移行させるような形でユーザーに直感的に通話だけでなくインターネットを使ってもらうような形での移行を目指した方が良かったのではないかとか、そんな事も考えてみたくなります。大手キャリアではガラホも売ってはいますが、安易にガラケーからスマホに多くのユーザーを移行させることで、いきなり端末の扱いが変わったユーザーもストレスが溜まって、自然とショップに何度も足を運ぶようになることで、現場での問題は今以上に殺伐としてくるのではないかと不安になります。

私のように自分で自分に合った格安SIMのプランを選び、ハードも性能と価格のバランスを考えながら家電製品と同じようにバーゲンを利用してできるだけ安く入手できる人にとっては関係ない話ではありますが、全く何もわからない人にとってはこれからは大変な時代になっていくことが予想されます。多くのユーザーはここで書いたことについてわからないままストレスのはけ口がショップに向くことになると思うので、今後は大手キャリアも単に価格の安さを求めるということでなく、ユーザーの満足度を上げるような方法を模索していただきたいと切に思います。

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