アマゾンプライム会員の新特典「Prime Reading」

今回の内容については単に喜んでいていいのかという話も出てくるような、日本の出版業界に対する影響が直接出てくるような状況をはらんでいるような気もします。今回アマゾンが年会費を支払っているプライム会員向けの新特典として出してきた「Prime Reading」サービスがそれですが、規模こそ大きくはないですがそれほど注目が集まるサービスだと思うので、ここでその概要と今後への影響について考えてみたいと思っています。

まず、「Prime Reading」サービスとはどういうものかというと、アマゾンで販売される電子書籍を読むことのできるKindleアプリおよび専用端末を使い、アマゾンのプライム会員なら誰でも「Prime Reading」対象の書籍や雑誌を一定の期間無料(実際には会費の出費があるので追加課金なしという意味合い)で制限なく読めるというサービスです。プライム会員の会費は年間3,900円、月間400円(2017年10月現在)で、今まではビデオや音楽についてプライムサービスに加入している人向けに無料で楽しむことのできる作品が多数存在していて、中にはこの特典を目当てにプライム会員に加入している方も少なくないと思われます。

今回、膨大な数の電子書籍の全てではないものの、無料で読める本が一定の数出てきたことで、今まであまり電子書籍に興味がなかったプライム会員ユーザーがごっそりこのサービスを利用すると思うので、アマゾンが電子書籍販売の面でも一人勝ちをするのではないかという見方もあります。他の電子書籍陣営にとってはただただこうしたシステムが脅威なわけで、他の電子書籍サービスが先細りになってしまう可能性も出てきたと言わざるを得ません。

アマゾンの発表では、「Prime Reading」対象の書籍は数百冊と紹介されているので決して多くはありませんが、期間によって内容が変わり、本や漫画以外にも雑誌も複数の種類があるということを考えるとかなり実用的なメニューになっている可能性もあります。ちなみに、無料のサービスということもあり同時にダウンロードできる本の数は10冊までとなっており、読み終えたものについては返却処理が必要になります。返却することでまた改めて利用が可能になるという方式で、規模の小さい地方の図書館のようなものという風にも考えることができます。また、利用には専用端末でなくてもiPad、AndroidタブレットにKindleアプリを入れれば利用可能です。

私自身はすでにアマゾンのプライム会員になっているので利用が可能なのですが、ニュースが出た当初は本の内容をダウンロードしようと思ったらエラーが出て先に進めなくなるような事もあって、かなり多くの同じ事を考えているユーザーが押し寄せたことが想像できました。そんな騒動も落ち着いたようで、現在はしっかり対象の本をダウンロードすることができ、音声やビデオとは違って周辺に迷惑を掛けることなくタブレットを文庫本のように使って読む本の幅が広がったというのは有難いことです。

恐らくアマゾンとしては有料でKindleストアから購入してもらえる本を増やしたいということなのかも知れませんが、時間つぶしに読みたいくらいなら無料の本や雑誌だけでも十分に使えるようになると思います。

そういった感じでアマゾンプライム会員が楽しめるエンタメ系のサービスはビデオ・オン・デマンド、音楽、本の全てを網羅するようになったわけですが、深く全てを網羅するには当然足りず、必要に応じて電子書籍を有料で購入する必要があり、無料サービスはその呼び水となるものにしたいとアマゾンは狙っているでしょう。となると、無料とされたものとそうでないものと分けられた基準は何なのかということが気にかかります。ただ、今後もプライム会員を増やす手段として使うなら目玉商品が必要になるわけで、アマゾンが今後どれだけ魅力的な本や雑誌を無料で提供し続けられるかが、アマゾンが電子書籍市場で勝ち抜くためには必要になってくるのではないかと思います。

しかし、過去にアマゾンが定額料金による読み放題サービス「Kindle Unlimited」を実施した時にも、当初はかなり日本の出版業界から反発が出たことも確かで、このサービスでもアマゾンの思い通りの無料本を提供し続けられるかどうかは現時点ではわかりません。

ビデオ・音楽に加えて本も読めるからラッキーという感じでとにかくアマゾンが提供する無料本だけ読むという方なら今のサービス内容でも問題ないでしょうが、何が無料本になるのかならないのかという事が気になるような方は、しばらくはこのサービスが行き着く先を確認し、出版業界の対応が落ち着いてからプライム会員になるかならないかを決める方が後悔することは少なくなると思われます。もちろん、送料無料・お急ぎ便の利用が可能な他の特典もありますので、総合的に判断することが求められるでしょう。

ともあれ、始まったばかりのサービスですから、個人的には普段購入することのないジャンルの読書にチャレンジしてみようかと思います。なかなか読書習慣がない方や、地理的に本屋になかなか行けない方が本を読む習慣を付けるために利用する場合は便利な気もしますが、よく電子書籍を読まれている方が使えるかというのは良くも悪くも無料書籍の品揃えによるところが大だと言えるでしょう。

アマゾンには他にも30日間和書12万冊,洋書120万冊が読み放題での「Kindle Unlimited」が月額980円(税込)の有料サービスとして行なわれていますので、無料サービスだけでは足りないと思わせて、こちらのサービスへの移行を促す目的もあるのかも知れません。そうは言っても料金の部分でいったんプライム会員になってしまえば一定の数の本を読むためのコストは掛けずにそれなりに本が読めるサービスの開始というのは、正直言って有難いと思う人が多いでしょう。そうなると前述の通りかなり国内の電子書籍サービスにとっては脅威となることだけは間違いないので、専用端末ある他社の電子書籍サービスの動向も見ながら、利用できるものは有難く利用させていただくくらいに考えておいた方がいいのかなとも思います。

車や電車で旅行に行かれる際は、出掛ける前に「Prime Reading」の内容を確認してみて、面白そうな本があったら旅に持っていくタブレットなどにあらかじめダウンロードした上で持って行くのもいいかも知れません。LTEで一気に本の内容をダウンロードするのはきつい場面もあるかと思いますので、常に気にかかっている本を端末に入れておくことでオフラインでも読めるようになるので便利です。このようにいつでも読めるように用意しておくと、旅の途中で天候などの影響で交通機関や道路が利用できなくなり、急に足止めをくったような場合の時間つぶしとしても便利です。折角の特典なので、あくまで個人的には今後は十分に活用させていただきたいと思っています。


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