2024年3月末で終わるYahoo!BBの思い出と代替サービスについて考えてみる

時代の流れとともに、古い技術は廃れていき、新しいものに代わっていきます。今回紹介したいのは、かつての自宅内でのインターネット接続といえば、安くて早いADSLの仕組みを使った「Yahoo!BB」についてです。はっきり言って、ADSL導入以前とそれ以降では状況の違いようにも程がありました。

私自身はかなり古くからのネットユーザーなので、普通の固定電話にモデムをつなぎ、その線をパソコンに繋げることによって文字中心の「パソコン通信」の時代から毎月の通信費の負担に悩んできました。電話回線はネットをやる前から自分名義の回線を持っていたので、親が払う電話代がいきなり高額で家庭内トラブルになったという経験はありませんが、基本その時代はネットに繋げば繋ぐほどアクセスポイントまでの通話料金がかかり、それとは別にパソコン通信のプロバイダーに払う通信料も時間によって決まっていましたので、繋げば繋ぐほど料金が二重にかさみ、さらにはネットを行なっている時に電話回線が埋まってしまって、もし自分の番号に電話が掛かってきた場合「話し中」になってしまうという状況でした。

そこで、パソコン通信に必須だったのが、自分の見たい情報をあらかじめセットし、自動的にログインして自動で見たい場所の発言を回収し、全てのセットした行動が終われば自動的に電話を切ってくれる「オートログイン方式」の通信用ソフトだったのです。ですから、ネットにアクセスするのは夜が中心で、メールチェックも一日に一回かやっても数回が普通でした。お金のある人は、今のLINEとは少し違いますが、チャットでリアルタイムにお話しする人もいましたが、これだと数時間チャットをやったりすると、通信費がひどいことになります。その後、深夜の時間限定で特定の番号(多くはパソコン通信のアクセスポイントを指定した)への電話が定額になる「テレホーダイ」というサービスができて、それでも対象の時間には利用しやすくなりましたが、しばらくはネットは「情報を自動で取りにいき回線を切ってからゆっくり読む(書く)」のが常識の時代がありました。

その後、鳴り物入りで登場したISDN回線は、今のモバイル通信の低速制限時より遅い64kbpsでしか通信ができませんでした。確かその当時、NTTがISDN回線の専用線でネットのつなぎ放題を出していたのですが、当時の利用金額は月4万円弱くらいだったように記憶しています。ただ、常時接続なので、パソコンの画面を開いていると、メールが到着する都度更新されるのを見て(知り合いで加入している人がいたのです)、これは今までの常識とは違うと思っていました。

こうした時期に出てきたのがADSLという技術です。私はその時にはISDN回線を引いて使っていたのですが、この技術はISDN回線では使えず、従来のメタル回線に戻す必要がありました。画期的だったのは、通信中でも電話の送受信は問題なくできたということと、スピードが上り1Mbps、下り1~20Mbps(近くの電話局までの距離によってスピードが変わる)も出たことです。料金も、固定電話料金に加え二千円ちょっとで利用でき、合計すると大体4千円弱で常時接続だけでなく動画配信を普通に見られるようになりました。

私の契約していたYahoo!BBは一番安いものでしたが、スピードは大体6Mbpsくらい安定して出ていまして、それでも大画面テレビに動画配信を映すには問題はなく、私自身はかなり長い間お世話になりました。ただ、もはやメタル回線自体が終了になり、IP化されるということで、メタル回線のメリットだった電源不用で通話可能というメリットがなくなるということと、とにかく自宅電話には迷惑電話が多かったので、そうした事がなければ、ぎりぎりまでADSLで粘っていたかも知れません。
私自身はその後、楽天モバイルをホームルーターに入れて固定回線としてしばらく使いながら、現在は月4千円弱で利用でき、スピードも100Mbs弱くらいで安定している光回線(電話なし)を利用しています。

今はもう、普通に自宅でインターネットを楽しむ場合は光回線の導入が普通になりつつありますが、ただStarLinkのように直接衛星からデータ送受信を行なってもそこまで費用がかからないプランもあるので、ADSLが無くなっても困る人はいないと思います。

もし費用の面で光回線にしたくない方は、通常の楽天モバイルの通話できる回線を契約し、別に楽天モバイルのSIMを入れれば使えるホームルーターを購入して使う(楽天モバイルが用意する専用ホームルーターと合わせてのセット契約ではないことに注意)パターンが費用負担を抑えられるのではないかと思います。

また、ADSLは電話局からの距離が長いと速度が低下するので、都市部では使いやすいですが山間部など電話局から遠い場所にお住まいの方は、ADSLはもちろんですが、光回線も来ていない場所ということになると楽天モバイルがつながる場所かというのがポイントになってきます。今はコストコにも売っているStarlinkのアンテナを設置して衛星インターネットもできるので、場所を問わずインターネットが使える状況になっている現状はそう悪くないのではないかと思います。

ともあれ、ADSLがなければ今もそれなりに安く常時接続で十分動画視聴などマルチメディアでの利用も可能なネット環境は整っていかなかったのではないかと思います。当初はモデムをタダで配ったことにも色々な意見がありましたが、そうしたことで多くの過程にインターネットが普及した功績の方が、今となっては大きな事ではないかと思えます。

これはまさに前日に書かせていただいた内容にも関わることですが、それほど多くない負担で、自宅でインターネットを使える環境を整備するということは、これからも大切になります。自宅でネット会議やネット授業ができるくらいの高速で安定したネット環境を多くの人が利用できるように、関係各所は考えた上で今後の展開をお願いしたいところです。


カテゴリー: モバイル関連コラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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2024年3月末で終わるYahoo!BBの思い出と代替サービスについて考えてみる」への4件のフィードバック

  1. 匿名

    てらさん
    おはようございます。

    3月末でYahoo!BB ADSL終了と言う事で1つの時代が終わる感じですね。Yahoo!ADSLは駅前でモデムを配っていたのが印象的です。

    自分も1990年頃からモデム+パソ通で通信を開始、当初は通信ソフト+オートパイロットで巡回して、後から読むスタイルでしたね。

    その後ISDNで常時接続、その後ADSLへ。当初契約はT-COMで、その後格安(年2万円)の平成電電と契約するも、2005年に事業精算、その後事業を受け継いだYahoo!BB ADSLへ移行しました。それから2022年末迄使ったので、ADSL自体は20年位使いました。この技術進歩の早い時代に、20年使えたと言う意味では、画期的な技術だったのでは無いか、と思います。

    では~        ahiru

  2. てら 投稿作成者

    ahiruさん コメントありがとうございました。

    私もかなり最近までYahoo!BBは使っていて、今でも何とか使えるレベルのものを20年前に提供してくれていたことで、携帯電話の高額な通信費がバカバカしくなって、色々と安いものを探してきました。ADSLといえば、かつてのイーモバイルが、回線契約者が契約を続けているうちにADSLを0円でサービスしていたこともありました。もはやイーモバイルという会社もなくなってしまいましたが、かつての様々な通信会社の試みがあってこその今ということで、こうした内容を語り継いでいくことも大切かなと思っています。

    そもそも、今の通話定額の仕組みも、今はなきPHSのウィルコムが行なった、サービス最始当初はちょっと無謀ではないかと思われたプランに携帯会社が追随した結果ということもあります。今後もそうした挑発的なプランを出してくれる会社にスポットを当てながら応援することができれば良いかなと思っています。

  3. ケータイオタク

    YahooBBは色々ありました。当初NTTはISDNから一挙に光への展開を想定してYahooBBの展開にも協力的ではなかった。YahooBBも街角で無知な人にもルータを配り、局内工事でベースを手当たり次第に確保した為にほかのADSL提供業者の工事に支障を与える事もありました。方式もアメリカで採用されているAnexA方式でISDNの干渉を受けやすい。そんな事もあってISDNユーザーが邪魔者扱いされた記憶があります。
    自分自身はADSL自体には関心があったのですが、YahooBBは信頼できないと感じていたのでODNのADSLを利用していました。その後YahooBB利用しましたが、マンションに光が導入された機会に光を利用していました。
    短命視されていたADSLですが、一戸建ての光が高止まりだった事もあり、意外に長命でした。
    YahooBBに飛びついた知人が散々工事遅れに悩まされ、安い言って平成電線に飛びつき事業停止と言う羽目に出くわし、安いからと言って飛びつくからだと冷笑した事を思い出します。
    ADSLは過渡的な技術だから手を出すべきじゃないと言われてその後当人はADSLを利用していたのに言われた本人は上司の言う事だと薦めて頑なに拒んでていてバカを見たと後で馬鹿を見たと嘆いていたのを思い出します。
    色々な事があったのでサービス停止となると感慨深いです。
    常時接続と言う状況を一般化したと言う点では画期的でしたね。
    ただそのソフトバンクもすっかり革新性が失われてきたのは残念です。

  4. てら 投稿作成者

    ケータイオタクさん コメントありがとうございました。

    今は通信事業者として知名度の高いソフトバンクですが、現在の楽天モバイルと同じように、大手にいかにして戦いを挑んでいくのかという気概が感じられました。Yahoo!BBもそうですし、携帯電話のホワイトプランはかなり画期的でした。さらに新規契約者には数万円相当のギフト券などを配っていたので、家族親戚のあいだでホワイトプランを契約して連絡用の電話として使っていましたが、今はLINEがあるので大丈夫ですが、毎月の通信費が安いというメリットは、今のソフトバンクからは失なわれてしまったようでそれは残念です。

    ここまでのネットがらみの推移を見ていると、ADSLは見事に次世代へのネット接続への橋渡しをしたということで、うまく時代にマッチした技術だったと思えます。もはやアナログ回線自体がIP化している時代にあっては、バトンを他の技術に渡さざるを得ません。光回線の価格は高止まりしている中で、無線インターネットの楽天モバイルが代替になるというのも面白いものです。これからは衛星インターネットという選択肢も出てくるかも知れませんが、もはや投げ売りされるようなものではないでしょうが、多くの人が普通に使えるような形で今後のインターネットも進んでいって欲しいと思います。

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