単にレジャー用として使うのも良いと思う、アイリスオーヤマの6面真空のクーラーボックスですが、ここでは自宅に置き続けることで小型冷蔵庫の代わりに使うため、保冷時間がどのくらい継続するのか、自分なりに調べてみることにしました。
まずは、アイリスオーヤマのホームページに保冷力の実験の様子があるので、まずはそこから紹介していきましょう。実験には2つあるので、箇条書きにして紹介します。
・実験1
外気温20~30℃で容量比40%(約16kg)の氷が完全に溶けるまで約13.3日
・実験2
外気温40℃で容量比20%(約8kg)の氷が完全に溶けるまで約55時間
クーラーボックス本体にも「55時間」の文字が貼ってあり、このクーラーボックスの性能を説明するためのてっとり早いデータが、実験2の方のデータになるわけです。ただ、このクーラーボックスを冷蔵庫の冷蔵室代わりに使おうと思った場合、大量の氷を使うのは、水抜き穴が無いこのクーラーボックスは実用的ではありません。私の場合は、10Lと容量は小さい、ポータブル電源で動く冷蔵冷凍庫で凍らせられる分の保冷剤しか用意できないので、それでも実用的に長く保冷できるような保冷剤の質と量について色々と試行錯誤をしてみました。
ちなみに、このクーラーボックスを購入する前に使っていた底面のみ真空パネルを使った容量半分の20Lのクーラーボックスには、6℃で凍るためクーラーボックス内の温度を6℃以下にキープすれば交換する必要のない「冷気まもるくん」という特殊な保冷剤(1個550g)を3個、約5時間で0℃で固まるレギュラータイプの保冷剤500gを4個に350gを1個の合計8個の保冷剤(容量の合計は4kg)と容量比20%の保冷剤を入れたところ、15~20時間は6℃以下をキープすることができました。ただ、それだけの保冷剤を入れると、肝心の食材が入らないだけでなく、連続して使って丸一日は持たないので、保冷剤の交換時期に悩んでいました。
今回、倍の40Lの容量がありますが、小型冷蔵冷凍庫で凍らせることのできる保冷剤の数には限りがあるので、今回新たに「冷気まもるくん」を3個増やし合計6個にし、0℃の保冷剤500gのもの(ダイソーで一個110円で購入)を6個にして、保冷剤の容量は6.3kg容量比を約15.8%にして、0℃の保冷剤6個のみを交換することで、クーラーボックス内が5℃に到達するまでの時間を計ってみました。実験は1月に行なったので、室温は約20℃と低いので、夏には改めて時間を計り直す必要はあるかと思います。クーラーボックス内は事前に保冷剤で冷やしておき、「冷気まもるくん」が固まる6℃弱の状態で固まった500gの保冷剤6個を入れ替えて実験をスタートさせました。
入替直後には庫内は1℃台に下がり、そこから一定の温度をキープしながらゆるやかに室温は上がっていきます。ちなみに、庫内温度はBluethoothでスマホと連動した温度計を使っているので、クーラーボックスの開閉は中のものを取り出す時だけで最少限に抑えています(全く開閉しないのではありません)。
当初は、24時間は5℃以下をキープして欲しいと、少々このクーラーボックスの性能を考えていたのですが、24時間を悠々と超え、最終的には45時間を経快したところで5.1℃になり、そこで保冷剤の交換をしました。その時にはすでに保冷剤は溶けてしまっていましたが、十分に冷たさは保っていました。実験開始時の6℃くらいになるまで庫内を冷やせば、恐らく丸二日間は保冷剤の交換をしないで済むとは思います。
ただ、この話には続きがあって、実験終了後に入れ換えた保冷剤で再度計ってみたところ(庫内温度約5℃からスタート)、スタート時の室温の違いによってさらに保冷力が伸び、保冷剤入れ替え当初の室温は氷点下に到達しそこからゆるやかに温度が上がっていき、前回交換時の庫内温度5℃に達するのにかかった時間は、前回の実験以上である約49時間に到達しました(その後すぐに5℃に到達しました)。条件が少し変わっただけで丸二日以上5℃以下の庫内温度をキープできたことになります。たった1℃の差ではありますが、こうした形でローテーションできれば、あとは真夏の室内でのデータと合わせても、少なくとも丸一日以上はキープは可能だと思うので、一年中サブ冷蔵庫としてこのクーラーボックスを使えるようになるでしょう。
今回のポイントは、容量比を増やしているのに交換する保冷剤の数を少なくするため、6℃以下で固まるタイプの保冷剤を利用したことだろうと思います。今では入手は難しいとは思いますが、効率よく冷蔵庫のサブとして使うなら、ぜひ手に入れておきたいところです。
もしクーラーボックスを氷点下まで下げたい場合には、固まるまで18~24時間もかかる「氷点下パック」(緑色の液体になっている場合が多い)を使う必要がありますが、これだけの保冷力があると、長時間かけて保冷剤を凍らせている間もかなり長い時間室内は氷点下をキープさせることは可能でしょうから、災害時でもミニ冷蔵冷凍庫を稼働し続ければ、このクーラーボックスを冷凍庫としても使える可能性が出てきます。ただその場合は、40Lも容量が必要ないと思うので、容量半分の20Lのものをミニ冷凍庫として使うのも有りでしょう。
私の場合は、このクーラーボックスは冷蔵庫として使えれば良いと思っているので、実際に長期停電になった場合は、凍った保冷剤に交換したら冷蔵庫の電源を切り、その間は別の用途にポータブル電源を使いながら充電も行ない、1日半くらい経ったところで改めて保冷剤を冷やし始めれば、恐らく庫内温度が5~6℃になる前に保冷剤を凍らせることは可能だと思います。
実験の結果、本格的にこのクーラーボックスをサブの冷蔵室として使うことができることがわかったので、今年の夏はかなり生活が変わるかなという感じがします。当然同じことは大きなポータブル冷蔵冷凍庫を用意してもできるのですが、災害対策も兼ねられ、小容量のポータブル電源でも十分使えるという小回りの良さという点では、この組み合わせは絶妙だろうと思います。もちろん、このセットを車中泊をするための車に仕込めば、ポータブル電源の充電は走行充電で2時間も走れば空のポータブル電源も満タンにできるので、特に電源回りの設備を用意していなくても、シガーソケットからポータブル電源の充電を行なうだけで、長期間の車中泊旅行に使えるようになります。旅先では食材を買えば氷をもらうこともできるので、さらにポータブル冷蔵庫の負担は下がるでしょう。
そんなわけで、現在比較的大きめのポータブル冷蔵冷凍庫の購入を考えている方がいたら、「ミニ冷蔵冷凍庫」と「高性能クーラーボックス」の組み合わせの可能性についても考えてみると良いでしょう。自宅で停電が続いた場合や、キャンプ場で逗留するような場合でも、日照時間が比較的あるような場所であったり、日常的に日照の多い地域にお住まいの方であれば、100Wクラスのソーラーパネル一つでも、200Whのポータブル電源は4~5時間で満充電できるような計算を立てられます。物を冷やすための電気の使用量を抑えられれば他の方にも電気を使えますし、クーラーボックス自体は電気は使いませんので、どこかで氷を調達することだけでも使えるので、災害時での使いやすさもあります。皆様の車中泊グッズ購入のための参考になれば幸いです。