海外に拘束されながらひたすらに詐欺電話を掛けたり受けたりしていた人たちが逮捕されたニュースは、実は私のところにもよくやってきたショートメール(SMS)がきっかけで多くの被害者が出ていたということが明らかになってきています。
過去にもこのブログでそうした内容のメールについては紹介しましたが、通常は決してショートメールで荷物の不在通知は来ないようになっているのに、たまたま荷受けをするタイミングでその業者を装ったショートメールが来て、さらに運が悪いことに荷物を受け取りそこなった場合には、ついショートメールに記載された主に東京03などの市外局番から始まる電話番号について、あまり良く考えずにリンクをクリックして電話を掛けてしまう可能性があるのですが、こうして掛けてきた人をカモにするように言葉巧みに騙し、使ったり登録していないネットサービスの利用料および延滞料(そもそも登録していないのですからそんなお金が発生することはありえません)をコンビニで売っている各種買い物に使えるマネーカードに記載されている番号を伝えることにより、被害者が購入した分のお金を国外にいながら入手してしまうという、人の無知に付け込んだあくどい手口の犯罪に巻き込まれないようにまずは注意しましょう。
なぜ東京03などの市外局番から始まる電話を掛けたのに、国外にいる詐欺犯とつながってしまうのかと言うと、電話本体の通話の仕組みはIP電話で、主に050から始まる電話番号が使われているのですが、こうしたIP電話サービスの中には、ビジネスで使う用途で契約者が住んでいる場所の市外局番の付いた電話番号からもIP電話につながるように番号を連携できるものがあるそうなのです。このサービスを使うと、固定電話を契約しなくても、今までの電話番号を使ってIP電話やスマホのアプリから発着信ができるようになるので、ビジネス用に電話番号を使っている場合には相手への安心感が増すということがあるるので、それなりのニーズはあるようです。
他にも、実際には携帯電話網を使っている電話なのに、今までの固定電話番号を引き継げたり、新たに自宅のある市外局番からの電話番号を固定電話より安い金額で持てるソフトバンクの「おうちのでんわ」、NTTdocomoの「homeでんわ」のような固定電話の番号を紐づけする仕組みもあります(実は携帯電話番号も付いているので発信に制限がある場合があるので、固定電話から移る場合には注意が必要です)。今回問題になった電話は、主にIP電話に固定電話番号を紐づけたサービスを使っているだろうと思いますので、これまでのように市外局番だからと、何も考えずに電話を受けては危険です。
基本的な対策は、まずはスマホの場合にはワンクリックで電話を掛けないようにし、電話を掛ける前にその番号をネット検索し、以前にその電話に掛けたり、その番号から掛かってくる電話を受けたりした時にどんな業者に繋がるのかの情報を得ることにすることです。そのためにも、固定電話を残しているならナンバーディスプレイの契約(高齢者世帯の場合は無料で利用できる可能性がありますので、NTTへ問い合わせることをおすすめ)をするか、番号そのままに「おうちのでんわ」「homeでんわ」で有料の番号通知サービス(月440円)を契約するかということになります。この場合も利用料はかかりますが、固定電話だと基本料が高いので、トータルの支払いという点では「おうちのでんわ」「homeでんわ」の方が安くなりま基本料金が安い分、安くなります。
さらに将来的な話をすると、まだ試作品のモックのみの展示ではありますが、日本参入を表明したOrbicという会社が、OSにAndroidを載せたタブレットに受話機を付けた、まさに5Gイエデンワとでも言えそうな製品のモックアップを製品化未定とはいいながらMWC Barcelona 2023で発表したことがネットニュースで流れていました。今後はそのような端末に例えば日本通信やmineoの通話専用のSIMを入れるだけでなく、この端末にはLANポートもあるようなので、LINEやSkypeアプリを入れて、さらにはIP電話アプリも入れれば、用途に応じていろいろな掛け方で通信料を節約しながら自宅用の電話(テレビ電話含む)を高品質で使うことも可能になってくるかもしれません。
そうなれば、電話番号ではなくIDを知っている同士での通話が主になるかも知れず、そうなるともはや固定用の電話番号を使う頻度が少なくなるのではないでしょうか。電話番号を使った通話でも、電話に出る前にアプリの方でブラックリストに乗った電話番号からの着信をしないようにもできそうなので、より確実に詐欺電話をシャットアウトするようにもできるのでは思います。このような未来の電話には、ユーザーが設定しなくてもすでに迷惑電話対策機能が設定されていて、誰でも簡単に使えるようなものになって欲しいですね。