テレビ朝日深夜の人気番組「タモリ倶楽部」2023年3月で終了の報を聞き一つの時代の終わりを感じる

まだインターネットで様々な趣味・嗜好を持つ人が発表の機会を得ることができなかった時、そうした少数者の嗜好というのは、個人がコツコツ進めていくしかなかったのですが、そうした極めてマイナー嗜好な人にスポットを当てるテレビの深夜番組が今年3月に消えることになりました。

テレビ朝日の深夜枠で、長いこと独自の方向性を持って脱力系の番組を作り続けてきた「タモリ倶楽部」ですが、「笑っていいとも」「ミュージックステーション」、そして「ブラタモリ」のように国民の多くが見るようなところでの番組でなかったことが、40年もの長きにわたって続いてきた原因なのかとも思ったりします。

今回のテレビ朝日の判断には、当然メインパーソナリティーを務めるタモリさんの体力の問題もあると思いますが、いわゆるサブカルチャー的な情報を発信する手段が、深夜のテレビでなくインターネットにシフトしてきたということもあるのではないかと思います。

このブログ的には、過去にこのブログ内でも紹介しましたが、車中泊のブームが起こり始めた時に車中泊をする人たちを番組に呼んでの車中泊特集が組まれたことがありました。普通のテレビ番組であれば、キャンピングカーやハイエース改造の車だけを紹介することで終わってしまうのではないかと思いますが、タモリ倶楽部では「落ち」的な人選として、軽自動車のパジェロミニで強引に車中泊をする人を出すなど(寝床は4,500円かけてDIYしたと記憶しています)、単なる情報番組ではなく見ていてくすっとするようなエッセンスが乗っていて、全く自分の知らない事も新たに知りながら面白いというような番組でした。

恐らく、これまでのタモリ倶楽部の立ち位置は、あまたいるYouTuberがとって代わることになっていくのだろうと思います。ブログの場合は別に面白くなくても、情報を知らせることができれば良いと思いますが、動画というのは退屈だと見ている人が感じたらすぐに視聴を止め、他のものに変えられてしまいますので、今後動画で食べていこうとする方々は大変だと思いますが、そうした人たちの中から、「タモリ倶楽部」的なネタや新しいキャラクターが出てくるのではないかと、個人的には期待しているのですが。

タモリ倶楽部の思い出というのはたくさんありますが、私が考える番組の功績の一つとして、「鉄オタの公認化」があると思います。昔のタモリさんは、卓球を「暗いスポーツ」と主張するなど、自分自身がマイナーな世界に身を置きながらもそうした趣味とは距離を取った活動をしていたように思います。それが、現在は「鉄道ビッグ4」の一人、ホリプロマネージャーの南田裕介氏が初めて出演した回で、恐らく大々的に自分が鉄オタであることを公言したように思います。その後俳優の原田芳雄氏との同番組での共演では、もはやお二人とも子どものように気動車の運転体験に大はしゃぎする様子を流し、タモリ倶楽部出演を願う多くの鉄道趣味を公言するタレントが出る流れとなり、その後の鉄オタ系タレント発掘に大きな役割を果たしたように思います。

鉄道をはじめとした「オタク系」の人たち全体が「タモリ倶楽部」から巣立っていったと言うと言い過ぎかも知れませんが、今やもうオタクだからと差別を受けることなく多くのニッチな趣味を持つ人々が自由に発言し、行動しているというのは、確かに「番組は役割を終えた」と言えるのかも知れません。

私ごときが言うことではありませんが、こうした番組は長く続けることに意義があると思いますし、その点ではタモリさんだけでなくスタッフの方々の力も大きかったでしょう。今後は「タモリ倶楽部」の面白さを理解している人たちによって、新しい流れが起こってくることを期待しています。


カテゴリー: ノンジャンルコラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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