JRの分社化がなければ交通に関する地域格差は是正されていたのか?

その昔、日本国有鉄道(国鉄)が地域ごとのJR各社に分社化され、現在に至っているのですが、ここにきてその歪みというものが一気に吹き出している感じがしています。これは郵便局とも同じようなところがあるのではないかと思うのですが、「赤字ローカル線」という名のもとに相当多くの路線が廃線になっていくわけですが、そもそも人口が少ない地域をつなぐ鉄道というのは、都市部と同じように利益を上げることは不可能で、国が経営しているということで、交通網の整備という観点から広げたものなので、採算性を第一に考えて作られたものではないのに、現在まで事業者ごとの格差が激しくなってしまっています。

そんな中で、一番の稼ぎ頭は私の住む静岡県内を含む東海地方の鉄道を運行しているJR東海でしょう。ドル箱の東京からの東海道新幹線を運行することで多くの利用者を得ているだけでなく、私鉄との競合がない私の住む静岡県内では、主に在来線を使う人にとっては必ずしも便利でも安くもないような感じで経費を抑えながら利益を上げているように思えます。

現在起こっている静岡県とJR東海のリニアモーターカー工事に関するイザコザについても、ニュースでは静岡県知事の言動にスポットが当てられ、静岡県外の方から見ると単なる地域エゴととられるのではないかと思います。私自身についてはリニア工事がJR東海の計画通りに行なわれたとしてもそこまで不利益を被ることはありませんが、もし大井川の水が枯れてしまった場合、お茶の産地など農業全般や、工業用水として大井川の水を使っている地元の企業にどんな影響が出るのか、それがわからないと少なくとも大井川流域の人たちが反対を続けることは普通に考えても有りそうです。

それでもJR東海がこれまでのやり方と同じように交渉を行なおうとするなら、もしかしたらJR東海の方が静岡県で生活する人たちや、新幹線(のぞみは停車しないので)や在来線で静岡県内を通過するために使っている人たちの利便性を犠牲にするような運行すると脅しを掛けてくるのではないかと、一抹の不安があります。そうした脅しがなくても、今までのJR東海はあまり魅力的な切符を出していないように私は思います。そして改めて思うのが、他のJR会社での沿線住民に対しての、数々の営業努力の結果としての魅力的な商品の数々だったりします。

昨日発表されたJR西日本の「西日本どこまで4DAYS」という切符は、青春18切符と同じように新幹線をのぞく在来線に乗り放題の切符なのですが、2023年2月21日から3月21日までの一ヶ月間で、連続する4日間乗り放題になるきっぷ(一名から購入可で9,800円)です。青春18切符との違いは、新幹線は乗れないものの、在来線の特急なら、特急料金を払えばそのまま乗れるということです。うまく使えばJR西日本内の地域をぐるりと一回りも可能です。

こうした期間限定のおトクなきっぷは、JR東海管内では18切符を使うしかない感じなのですが、別のニュースでは何とか今年も春・夏・冬の18切符の販売は行なわれるそうです。もし、18切符の販売が終了してしまったとしたら、もはや東海地域と東日本(東北・上越・長野新幹線が使えるJR東日本パスなどの販売あり)・西日本との気軽に鉄道旅行に行ける度はかなり落ちます。仕方ないこととは言え、やはり悲しいですね。

また、東海道・山陽新幹線以外に新たに開通した新幹線と並走する在来線が第三セクターに移管され、青春18きっぷで乗れない路線が増えたことも、JR各社の体力の違いに起因するところがあると思います。以前、長野新幹線の開通によって運転が終了した信越線の横川~軽井沢間を代行バス(もちろん別料金)を使って移動したことがありましたが、単に鉄道がバスに代わった以上に不便になっていました。というのも、鉄道なら車両に乗れるだけ人が乗れますが、バスの場合は座席に全員座ってシートベルトを締めないと運行できないため、補助席を含めたバスに座れるようにしないとスムーズな乗り継ぎが不可能で、同じ列車で到着してもバスの定員が埋まってしまったら、そのバスに乗ることはできず、同じバス停で次のバスを待たなければなりません。

そう考えると鉄道の輸送力というのは大したもので、今後恐らく新しい車を買えずに車を止める人が多く出ることが予想される中、地域の日常の足としてだけでなく、旅行として気軽に遠方からも全国色々な場所に行くことができるよう、今以上に鉄道を止めるというのは避けてもらいたいと個人的には思ってしまいます。これは私が静岡県在住だから言うのではなく、リニアモーターカーを開通させるだけの予算があるなら、今ある全国の在来線をキープする方向にお金を使って欲しいものです。今後に向けては地域エゴ丸出しで静岡県の駅に新幹線「のぞみ」を停めるべきだとか、富士山静岡空港に新幹線の新駅をというような事は主張しませんので、ぜひとも今後のためにも公共交通機関の整備の一環として地方の在来線を全国のJRが守っていく方向に考えていって欲しいと思うのですが。


カテゴリー: 旅行・交通関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

スポンサーリンク

コメントを残す