ソウル・梨泰院での転倒事故に学ぶ危機回避能力の持ち方について考える

新型コロナによる活動自粛の空気が和らいだ中で到来したハロウィンの季節に、お隣りの韓国で大きな事故がありました。先日、日本でもリニューアルしてドラマが日本人俳優によりテレビで放送されたことで話題になった飲食店が立ち並ぶソウル・梨泰院におよそ10万人の人々が押し寄せ、150人を超える犠牲者が出た転倒事故が発生したのです。

当時の状況を高いところから撮影した動画を見ていると、日本の岡山県西大寺で行なわれるはだか祭くらいの密度で人々が接近していました。お祭りの方は屈強な男衆が褌一丁の状態でご神木を奪い合うのですが、裸なのでコスプレによる触っただけで痛いような服を着ていませんし、お祭りの参加注意事項としてメガネおよび飲酒の禁止という事がありながら過去に死亡事故は起きています。いかに今回の梨泰院の路地が危険であったかという事が映像を見るだけでもわかってきます。

人が集まることによる危険というのは今回の事故の動画を見れば明らかですが、それでも人は吸い寄せられるように人の集まる場所を目指すようなところがあります。花火大会で大きな事故になった明石市の歩道橋の時も、駅から次々に出てくる人がいて、事故が起こっているのに人の流れを止めることができずに被害が拡大するようなことがありました。

基本的には、自分の思った通りに歩けないくらい人が出ている場所に入り込んでしまった場合には、とにかくその場所から離れ、自分の意志で動けるぐらい余裕のある人のいない場所へと早めに避難することが大切だと思います。こうした状況はお祭りやイベントの時だけではありません。かの関東大震災の時には火事で焼け出されて避難した多くの人が逃げ場を失って多くの人の尊い生命が奪われてしまいました。その際は人の集まり方もすごかったと言いますが、何とかして家財道具だけでも持って逃げようと多くの荷物を持って出た人が多かったことも、その場から逃げられずに災害拡大の原因になったそうです。

今後国内で大きな地震や火事が起きたような場合、それが大都市であれば地震・火事そのものというよりも人があまりにも集まり過ぎることによる被害の拡大が心配されます。すぐ先に安全な避難場所がある場合であっても、そこへ行く途中に人の波に流されるような感じを持った場合は、安易に人の波に乗って進むことの危険性についても考えるべきでしょう。あえて危険な場所へ人の波の反対側に進むということもまた違うと思うのですが、とりあえずは自分の身の安全が保全できる場所に留まり、そこからどう動くかということを冷静に判断した上で動くようにすることを個人的には心掛けたいと思います。

今回の事故で被害に遭われた方に対してご冥福をお祈りすると同時に、このような痛ましい事故が起こることのないように、皆で考えていくことができればと思います。


カテゴリー: 防災コラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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