マイナンバーカードの交付窓口を郵便局にも拡大することへの疑問

先日のブログでマイナンバーカードについて書かせていただきましたが、短い間に全国的なマイナンバーカードの普及を目的に様々な情報が出てきています。本来はきちんと考えた上で進めなければいけない事業だと思うのですが、もはや政府のやっていることが支離滅裂になってきたような感じがしてならないのは、全国の郵便局でマイナンバーカードの交付を検討しているというニュースに接したからです。

現在、郵便局は小泉純一郎氏の郵政民営化の政策の元、現在は準公務員ではなく一民間企業として事業を行なっています。手紙などは優先的に扱ってはいるものの、荷物などは同業他者の方が威勢がよい感じもしますし、保険や貯金についても以前のような民間企業とはちょっと違うようなサービスも無くなり、本当に普通の民間企業になってしまったという感じがあります(簡易保険に入っていると旅行に行けたりしたのは今はもう昔の話です)。

そんな、一民間企業の社員がマイナンバーカードを扱うというのなら、例えば郵便局に食い込んでいる携帯キャリアの楽天モバイルあたりが、マイナポイントを楽天ポイントにと郵便局で営業を掛けたとしたら、他社は不公平だと思うでしょう。郵便局の方は意図しない事かも知れませんが、マイナンバーカードは数年ごとの更新が身分証明に使うためには必要になるので、そのために郵便局を訪れることになれば、もしかしたらその事がきっかけで新たに金融サービスに入ったり、年金の受け取り口座をゆうちょ銀行にしたり、生命保険に入ったりすることもあるかも知れません。もし、それで郵便局全体の業績が上がったとしたら同業他者としては、なぜ郵便局だけにマイナンバーの交付が許されるのだということにもなりかねません。

そもそも、民間企業社員にそうしたナーバスな情報の入っているカードを扱わせてそもそも大丈夫なのか? という気がしてなりません。こうなってくると、言いたくありませんが、まだまだ非マイナンバーカード派の人たちは、大きな都市銀行よりも郵便局を使っているから、そこを抑えて元公営企業の郵便局にやらせてしまおうという考えはないのか、ちょっと疑ってしまいます。

過去の事をふりかえってみると、郵政民営化当初は、地方にある郵便局については局そのものを縮小し、コンビニエンスストアに郵便局の機能を持たせるような事も言われていたように記憶しています。しかし、全国一律サービスをうたう郵便というのは、一件でも人が住んでいる家があれば基本配達をするので、営利企業として簡単に語ることのできない部分があります。だからといって、もう公務員ではない人に(全国でやればかなりの数になります)公務員のような事をやらせるべきではないと私は思います。

もしやるとするなら、全国のATM跡地にブースを作り、そこで通信回線を使ってのマイナンバーカード担当の公務員と面談を行なった上で手元の機械からマイナンバーカードを発行するような仕組みを作って全国に広げるような事をするなら納得もできます。しかし、それだと最初に公言した2024年までには間に合わないのかも知れません。それなら、まだ作っていない人のところに地方公共団体のマイナンバーカード担当職員が直接訪問して発行手続きおよび交付手続きをするようにするとかでないといけないのではないかと思います。もちろんそんな事になれば、地方公務員の仕事量は増大してしまいますが、だからといって郵便局にやらせるというのは、かなり違うのではないかと思うわけです。

それでもやるとしたら、マイナンバーカードを扱う職員の身分を、改めて準公務員として郵便局での交付が必要となくなるまで変えるようにするしかないと思いますが、そうなると社員の中で明らかな立場の違いができてしまうわけで、組織としてはかなり混乱してしまうのではないでしょうか。個人的には社会全体の電子化に反対するものではないのですが、さすがにその手法についてはもう少し関連するところの納得が得られるように事前に根回しはできなかったのかと思ってしまいます。

カテゴリー: 通信サービス全般ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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マイナンバーカードの交付窓口を郵便局にも拡大することへの疑問」への3件のフィードバック

  1. ケータイオタク

    迷走していると言う感じですね。まだ警察に委託すると言うなら理解も出来ますが。
    郵政事業が民間事業としては苦しく将来性が無い。将来再び国営化を念頭に置いているのか。
    非常勤の公務員として検討されているようですが、郵便局制度の維持の為に一定職位の郵便局員を公務員として雇用する事で郵便局制度を維持しようと言うものなのか。
    マイナンバーカードの交付窓口の確保よりそれを口実とした郵便局への事実上の補助金導入と考えた方が良いかもしれないと思います。
    警察は一定階級までは地方公務員だが、上級職は国家公務員と言うように郵便局も一定職位までは民間人管理職は公務員兼任。
    地方だと郵便局自体維持が難しい。自治体管理の施設に委託して郵便局を維持しているところもありました。

  2. てら 投稿作成者

    ケータイオタクさん コメントありがとうございます。

    単なる民間企業に現在では過ぎない郵便会社だけに、他の民間企業にはやらせない事をやらせると公言するというのは、少なくとも公正な競争とは言えません。マイナンバーカードを直接交付するのではなく郵送で交付するだけというならまだわかるのですが、さすがにこれはおかしいと思いますね。

    個人的には大きな郵便局ではそこまで目立たないものの、田舎の小さな郵便局でも同じことをやると、そこで働く人の中で公務員扱いになる人が出てくるのは、まさに小泉純一郎氏の唱えていた郵政民営化の考えとは相容れなくなるのではと思います。少なくとも小さな郵便局の中にマイナンバーを交付するための機械を置き、住民と面談しながら申し込みや交付をするような事を、現在の業務に加えてやることは、人の少ない郵便局ほど大変になるでしょう。もしそうした仕事をやりたくない(相当の責任がかかると思われます)人が離職した場合、すぐに代わりの人員を用意できるのか、そんなことも気になります。

    しかしすでにこのニュースは発信され、地方の小さな郵便局に負担を掛ける方向で動いていくのでしょう。こんな時だからこそ、発言は慎重にしてきちんと検討してから出して欲しいものですが。

  3. ケータイオタク

    むしろ小泉郵政民営化を否定し、再国有化が念頭にあるのだと思います。元々郵貯局長の組織は経世会(旧田中派)の地盤であり、郵政資金は経世会の資金源だった。それを壊滅するのも小泉郵政民営化の目的でした。
    現状地方の過疎化が進み、民営企業としての郵政は存続が危ない。
    再国有化が念頭にあるのですから小泉郵政民営化の考えとは相いれないのは必然だと思います。

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