感染症の水際対策以外にも日本が海外からの観光客を受け入れる気がないと思われる事実

2022年8月現在、海外から日本へ観光旅行へ行く場合、基本的には団体旅行で添乗員が付き、マスクを付けることが必須となっているためか、他の国々と比べて日本へやってくる海外からの観光客は伸びていないということをニュースでは報じられています。

かつては日本を多くの観光資源を持つ観光立国として海外から多くの観光客を呼び込む事を積極的に行なっており、それにともなってかなり潤った業種も存在しました。しかし、現在は日本を観光するためにはハードルが高く、終日自由行動のような旅ができないとなると、しばらくは海外からの観光客を呼び込むことは難しいのではないかと思います。

ただ、私にはコロナ対策以外にも、ちょっとした懸念があるのです。もし新型コロナの特効薬ができたとしたら新型コロナもインフルエンザ並みの対応で良くなり、海外からの入国についてもコロナ騒動前の状況に戻ると思うのですが、それを待ってやってきた海外からの観光客が、日本全体での利便性がコロナ以前よりも損なわれていることに気付き、感染症の危険がなくなっても日本観光を敬遠するのではないかという一つの問題があります。

この問題というのは、以前このブログでも書かせていただいた「公衆Wi-Fi」が使える場所が確実に減っているという問題です。公衆Wi-Fiは、東京オリンピックで多くの海外からの観光客が訪れることを期待され、その整備は日本中で行なわれたのですが、オリンピックを無観客で開催したあたりから、設備投資をしても使われないことになったこともあったと思うのですが、オリンピックが終わった2022年に至る中で、確実に使える場所は少なくなっています。

大きなポイントは、日本のコンビニチェーンの主要企業であるセブンイレブン・ファミリーマートで提供してきた無料Wi-Fiの提供が終了してしまったことですね。日本に住む私たちにとっては、セキュリティの問題がある公衆Wi-Fiよりも、安価でそれなりの性能を発揮するモバイル通信のネット接続があれば、ほとんど日常的にはWi-Fiを使わないような状況が出てきているので、今の日本の状況がこのままずっと続くのであればこの流れも間違いではないと思うのですが、一時的に日本にやってくる人からすると、いちいち旅行中にSIMカードを契約しないと国内での通信はやりにくくなってしまいます。今までは公衆Wi-Fiの広がりがあって、そうしたニーズをカバーできていた部分もあったのではないでしょうか。

海外からやってくる旅行客は、スマホは持っていても日本国内でのデータ通信については、公衆Wi-Fiに頼る人というのが一定数います。過去に日本を観光した経験を持っている人は、日本でもそれなりに公衆Wi-Fi網は整備されていると思ってやってくると思いますので、以前使えていた場所でWi-Fiが使えなくなっていて、その使えない場所が思いの外多いということになると、いくら良い観光資源が日本にあると言っても、同じ条件で無料Wi-Fiが整備されているところに行き先を変更してしまう可能性はあるのではないでしょうか。そういう意味では、全国の主要なコンビニで使えなくなっているというのは、以前訪れて使えると思っていた人にとっては大きなマイナス要素となるでしょう。

もちろん、利用する人が減るだけでなく、Wi-Fiの導入が売上につながらずに、逆にWi-Fiを使うためだけにやってきて、購入のためにやってくる人がお店に入れないというようなディメリットもあっての企業側の提供中止ということも確かにあります。個人的には、企業のサービスだけに任せるということでなく、国策として海外からの観光客を迎え、失望させないためには、ある程度の公衆Wi-Fiの再整備を公的な支援を含めて行なうことが必要なのではないかと思うのです。

いざという時のために利用することを見越して公衆Wi-Fiが整備されると、先日あったような携帯電話キャリアのトラブルや、大きな災害でネットが使えなくなるような状況での最後の頼みの綱として使えるわけで、公的な資金を投資する大義名分も立つのではないでしょうか。セブンイレブン・ファミリーマートが店内の無料Wi-Fiサービスを止めた時にはニュースにはなったものの、現状では企業がサービスを終了すればそのままになってしまっています。

日本における公衆Wi-Fiの整備は、ライフラインの確保という意味においても重要だと私は思います。例えば、首都圏を中心とする直下型地震が起き、電車など交通機関が使えなくなり大量の帰宅難民が出るような状況になった場合、もし携帯電話回線が停電やアクセス集中によって使えなくなった場合、やはり頼りになるのはモバイル回線とは別の仕組みを使っている光回線によるインターネット回線を飛ばすWi-Fiだと思うので、このまま尻すぼみ的に減っていくとなると、大きな障害や災害が起こった時にも困ることになると思います。少なくとも今後海外からの観光客を大々的に受け入れたいと思っているなら、本気でこの問題について考えていただければと思います。


カテゴリー: モバイル関連コラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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感染症の水際対策以外にも日本が海外からの観光客を受け入れる気がないと思われる事実」への2件のフィードバック

  1. ケータイオタク

    公衆Wi-Fiの廃止に対するネット上のコメントを見ると日本人の排他性を感じますね。コロナでの入国規制をきっかけに鎖国すら求めかねないコメントも見られる。
    異国では公衆Wi-Fiにはずいぶん助けられました。ドライブインで提供しているところも多く、バスが停車する度に接続してFacebookなどにアップロードしました。
    ただ海外ではSIMフリーのデュアルSIMのスマホが多い事を考えるとプリペイドSIMの提供と言う対応も考えられるとは思います。
    コロナ前に香港に行く機会があったんですが、空港でプリペイドSIMを購入してSIMロック解除したルータで使いました。
    どちらが便利かと言えばプリペイドSIMです。個人で海外で観光だと頼りになるのは街のインフォメーションです。パスポート提示で購入出来る様にすれば犯罪防止の観点からも利点は多いのでは。
    災害対策と言う点では駅を中心とした公共施設では公衆Wi-Fiの整備は必要と思います。交通機関の運行状況情報の提供など可能になると言う利点もあると思います。

  2. てら 投稿作成者

    ケータイオタクさん コメントありがとうございます。

    公衆Wi-Fiは海外旅行のバックパッカー(できるだけ滞在費を安く上げたいと思っている人も)にとっては訪れる国を考える場合に選択肢の一つとなるかも知れず、観光立国を目指すなら、東京オリンピックが終わったらそれで終わりではなく、もう少し何とかなるようにデジタル庁には期待したいところです。ただし、現状の中のベストということで考えると、ケータイオタクさんが書かれているように、プリペイドのSIMカードでの対応になるのも仕方がないでしょう。

    あと、公衆Wi-Fiで起こっている国内の問題としては、外食系のバイトがなくなり生活に困窮した学生が、利用できるWi-Fiを求めて(高額なプランには入れなかったり、契約自体をしないでスマホを使わざるを得ない)難民のようになっているような時もありました。Wi-Fiが使えないと仕事を求めるためのメールのやり取りもできないというくらい切羽詰まった状況の人が今後出ないとも限らないので、もう少しこの件が話題になってもいいような気もします。

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