製作費はほぼ工具代だけ?アルコール燃料を使用するGroove Stove簡易版

ここ数年の新型コロナの感染者数増の影響により、キャンプに目覚めた方も少なくないと思いますが、私の場合ここ数ヶ月で様々なアルコールストーブを手に入れてその性能差を試してみています。

というのも、アルコール燃料を燃やすというと、小学校の理科の実験で使ったアルコールランプを思い出す方もいるかも知れませんが、構造が単純(言ってみれば揮発したアルコールに火を付けるだけ)なのでメンテナンスの処理がいほとんどらないだけでなく、アルミ缶を切ったり穴を開けたりして自分で製作することも可能なため、キャンプどうこうと言うよりも、自作アルコールストーブの製作にのめり込んでいる方もそれなりにいらっしゃいます。

今までは、こうした「自作派」の方々が作るアルコールストーブについては、「所詮製品版のアルコールストーブより低性能なのではないか?」と考えていたのですが、色々調べてみるとそう単純なものではないようで、自分の使っている鍋に合わせて作ることで、効率よく燃焼するようなサイズのものを作れば、市販品と比べても引けを取らないものも作れることを知りました。

ただ、今まで私が知っていた自作するアルコールストーブというのは、主にアルミ缶を切り出して穴を開けてとなかなかめんどくさい工程があるので敬遠していたのですが、最近になって知ったのが、穴を開けずに直接鍋を載せられるGroove Stoveが簡単に自作できるということでした。毛細管現象でサイドスリットに燃料を供給する構造なのですが、そのサイドスリットについては同じアルミ缶から切り出した筒を均一に16等分して折り曲げることで、外側から火が出て、私の持っているチタンマグカップ(モンベルのチタンカップ600で、スノーピークチタンシングルマグ450の底面口径75mmと同じ)でも効率よく湯沸かしのできる250mlのアルミ缶(口径約55mm)を使った作り方が以下のサイトで紹介されていたので、そのリンクで出ている通りに(実際は作業はかなり荒い)作ってみました。

http://little-bit-works.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-5ad2.html

いちばん大変だったのは、事前にスチールウールを使ってアルミ缶の塗装を落とすところぐらいで、あとは文具のはさみで切ってステンレスの定規をあてて差し込むための円筒を16分割して折り込み、あっという間に完成しました。
ちなみに、スチールウールは家にあり、今回のために購入したのはサンドペーパー(バリ取り用と塗装剥がし仕上げ用)、ステンレス定規(サイドスリットの部分を折り込むため)くらいで、アルミ缶を切るカッターとハサミは家にあるものを使い、肝心のアルミ缶はなかなかこういう小さいサイズのものは見付けられませんが、激安スーパーに一本39円であるのを発見し、ベースとしました。

そして、すぐに試してみたのですが、これが意外と高性能なのです。写真は右側が今回作ったGroove Stoveで、左側が今回アルコールストーブにはまるきっかけとなった、構造的には同じだと思えるLixadaのアルコールストーブ(約3千円)です。Lixadaのアルコールストーブは鍋の直乗せはできず、その実力を発揮するためには、ゴトクを用意しストーブと鍋の距離を調整することで、約20mlのアルコール燃料で500ccの夏の湯沸かしができるくらいなのですが、今回作ったGroove Stoveの方はゴトク不用で直乗せをした状態で利用でき、性能は20mlのアルコール燃料を入れてカップを乗せ、燃焼開始したら約10分燃え、燃料が無くなる前に見事外で(風防付き)沸騰させることができました。

Lixadaのアルコールストーブは室内など無風の場合でないと20mlのアルコール燃料で500ccを沸騰させるのは難しく、改めてこんなものが作れてしまうのかという実感でした。火を付けるとすぐに使え火力も高いですし、お湯を沸騰させる点においてはわざわざ購入した市販品を上回るくらいの性能を見せてくれました。

もし、こんな事が最初からわかっていれば、アルコールストーブを買わずに自作中心でも十分使えるものを作れたのではと思いますが、写真のサイズを見てくれるとおわかりの通り、Lixadaの中にGroove Stoveがすっぽり入るので、持ち出すアルコールストーブが一台増えることになったので、それはそれで便利になります。また機会ができたら、セットにする鍋の大きさに合わせたアルミ缶を探し、効率よく燃焼するものを防災用品の一つとして作っておいてもいいのではないかと思います。

数多くあるキャンプ用の調理火器の中でも、アルコールストーブは価格も安く、さらにこのGroove Stoveの燃費を見ていただければおわかりの通り、330円で売っている500mlのアルコール燃料で500mlのお湯を25回沸かせる計算になります。しかも、今回自作したGroove Stoveを作るにあたりかかった費用というのは、缶代の中味入り39円を入れても、工具代がほとんどなので、もし今回紹介したものが壊れたとしてもまた作り直す際の費用は缶代のみで済むことになり、かなりリーズナブルです。今回気軽に作ってみて、びっくりするような性能が簡単な工作(小学生でも十分に作れます)で作れることがわかりましたので、怪我に気を付けながらまず既製品を購入する前に自作してみることをおすすめします。メスティンでの自動炊飯はできるかちょっとわかりませんが、水を沸騰させたり単純に熱するくらいの調理であれば十分キャンプにも使えるクオリティがありますので、興味のある方はぜひ作ってみて下さい。

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