「Rakuten Link」の仕組みは自社の通信が使えなくても電話やSMSが使える

KDDI(au)の通信障害の影響は、トラブルが長引くに従って今まで想像もしていなかった範囲に広がってしまいました。流通と通信は直接関係がないようですが、ドライバーの持つスマホがau回線を使っているものだった場合、お客さんへの連絡だけでなく不在票に書かれているドライバーの携帯電話に電話してもつながらないような事が起こっていたようで、ヤマト運輸や日本郵便の配送に遅れが出るなどの影響が出ているというニュースに、もしこの障害が平日の日中から始まっていたら、さらなる影響が出ただろうと思い、ゾッとします。

通信障害というのは今回のauに限らずどのキャリアでも起こり得るものなので、どのキャリアが障害に強いか(物理的に送信設備が壊れたり停電による停止が起こる場合は今回想定していません)ということを考えた時、意外というか先日最安0円の契約を終了したばかりの楽天モバイルが、実は案外馬鹿にできないのではないかと思えるようになりました。というのも、SIMカード経由のモバイル通信の仕組みを使うことに楽天も変わりはないのですが、他キャリアと比べて違う事に、音声発信や着信、さらにSMSを、楽天の回線が使えない場合でも「Rakuten Link」アプリを使ったインターネット通信があれば可能という事実です。

もし自宅などで光通信を利用したWi-Fiを使っている場合、もし楽天の回線がうまく入らない地域においては、パートナー回線としてau回線を使っているためネットおよび音声通話が利用できないことになるのですが(今回の障害では楽天モバイルでパートナー回線を使っていた人にも影響があったので)、自宅でWi-Fiを使っている限りは、Wi-Fiの電波でも通信だけでなく通話もできてしまうので、ニュースがあるまで障害があったことに気が付かないような方もいたのではないかと思います。

私自身、楽天モバイルを使っていますが、最近は発信する際にはほとんどWi-Fiの電波を使ってRakuten Linkを利用しているような状態なので、もしauでなく楽天の回線が障害を起こして音声通話がつながらないような事になった場合、Rakuten Link自体の不具合でない限りは他のモバイル回線からテザリングでネットに繋いだ上で、回線が使えなくても番号を使った発信や着信ができる可能性が他社よりはあるわけです。

なお、今回のトラブルではデータ通信が復旧した中でも、元々のトラブルの原因がVoLTE関連のシステムだったためか、アクセスが集中する電話回線を規制することを続けていたようなので、ずっと電話が使えず、特に緊急通報ができない人が公衆電話に殺到したような報道もありました。ちなみに、「Rakuten Link」では110番や119番には掛けられないので、楽天回線のトラブルがあってWi-Fi経由で緊急通報したい場合には、ちょっとした工夫があります。これは一例ですが、グーグルマップを開き、現在地が間違っていないことを確認したら、その画面で「警察署」「消防署」と入れて検索すると、現在地に近い交番・警察署・消防署が出てきます。具体的な場所の選択をしたら「すべて表示」と書かれたところをクリックすると、その場所の電話番号が出てきますので、画面上でその番号をコピーした上で、「Rakuten Link」アプリから電話しましょう。その際、110番や119番には回線トラブルでこの電話からは掛けられない旨をきちんと説明した上で通報しましょう。

各種トラブルには様々な要因があるので、回線だけでなくRakuten Linkのシステムも含めたトラブルが発生した場合はアウトですが、そもそも今回のauと楽天の利用者数の差はかなり違うので、よほどシステム担当者がポカをしない限り、アクセス集中によるつながりにくさというものも大手よりましになるのではないかと思ったりもするのです。

だからといって、楽天ばかりを推すつもりもないのですが、今後通信方式もますます高度になっていく中で、通話が必要で、できれば多くの人に通知している番号にかかってきた電話を常に外にいる状態で取りたいと思っているような場合には、メイン番号の他に楽天で取得した番号も大切な知り合いに伝えておいて、いざという時に使うという選択も悪くないと思います。今後のキャリアの障害は、今回のようにデータ通信と通話がセットで繋がりにくくなることも十分考えられますので、そのための予備回線として楽天モバイルの検討もありです。個人的には、パソコンにソフトをインストールして、そのパソコンをネット通信ができる環境に置けば利用可能だという「デスクトップ版 Rakuten Link」が2022年末までに発表されれば(すでにそのように楽天モバイルでアナウンス済)、楽天モバイル回線でなくても問題なくパソコンからの電話を臨時固定電話のように使うことができるようになると思いますので、今後の楽天モバイルの発表に注目しましょう。


カテゴリー: 通信サービス全般ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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「Rakuten Link」の仕組みは自社の通信が使えなくても電話やSMSが使える」への2件のフィードバック

  1. ケータイオタク

    楽天モバイルをOCNモバイルとのデュアルSIMで運用しています。普段はデータ通信はOCNです。
    rakutenLinkの通話音質はWi-FiをOFFにしてLTE回線接続すると改善されると言う記事も数件あったのでOCNのデータ通信で利用しています。一般的にrakutenLinkの通話音質について悪く言われるのは楽天モバイルの通信状況が安定していない事が大きいのではと考えています。
    楽天モバイルの回線は楽天回線あるいはパートナー回線のauですからドコモと同時に通信不能になる可能性は低いと思います。
    どちらかが通信可能であればrakutenLinkは通話及びSMSが可能と言う事にはあまり着目されていませんね。
    現在はOCNで通話定額に加入しているのですが、楽天モバイル有料化後は廃止して通話はrakutenLinkで行う事を考えています。着信はOCNでも可能なのでほぼ心配は無いのでは。
    110番アプリがありますが、本来は口頭で伝えられない人等の為と言う事と事前登録が必要です。
    緊急時の事を考えれば公的機関でもLINEや+メッセージなどで連絡出来るシステムが今後は必要ではないでしょうか。固定電話の無い家庭も増えてきています。
    デスクトップ版rakutenLinkがどうなるか。期待したいものです。

  2. てら 投稿作成者

    ケータイオタクさん コメントありがとうございました。

    私自身、楽天モバイルを自宅用回線として使いながら、加入時に購入した楽天仕様のスマホで(回線はドコモ)Rakuten Linkを使えているので、元から0円維持ということは考えていなかったのですが、3GBで980円、しかも音声通話・SMS無料というのはかなり安いと思います。また、現状では楽天回線がトラブルになれば、au回線でつながるわけで、一契約でいざという時には2回線使えるという点でも有利ですね。ただ、この会社はぶちあげた計画をどこまで本気でやってくれるのかが心配なので、年内のうちにデスクトップ版Rakuten Linkが出てくるかどうかがまずは問題になるでしょう。いざとなれば、災害用の無料電話としても使えそうですし。

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