先日、今年成人式に出席している新成人にインタビューを行なっているテレビバラエティを見たのですが、ある程度の世代の方なら気になる「生まれて初めて自分で購入したCD(レコードなど音楽ソフト)は?」という質問に、物心付いた頃からすでに音楽はネット経由で買うものという意識があったので、CD(レコード)で音楽を聴いたことがないという回答がありました。考えてみると、今の時代であれば自分の好きな曲やアーティストがあったとしても、スマホからストリーミング再生したりダウンロードすればすぐに聴きたい曲にアクセスすることができ、今後もその傾向が変わることはないでしょう。
こうした音楽を配信するサービスには色々ありますが、昨日たまたまニュースを見ていたら、私もメインの音楽ストリーミングサービスとして使っているSpotifyが、ニュースになるような騒動に巻き込まれているという事でした。
というのも、各音楽ストリーミングサービスは、音楽だけではなくラジオのように様々な情報を発信する「ポッドキャスト番組」があります。これは、音楽だけでは他のサービスとの差別化ができないため、ユーザーに選ばれるサービスを目指して、多くの人の興味を持つようなコンテンツを整えていると思うのですが、今回はそうした海外のポッドキャスト番組の内容について、音楽を配信しているミュージシャンからクレームが入り、楽曲をSpotifyから引き上げるという実力行使に出るなど、騒動になっています。
現在の騒動は、新型コロナウィルスに関しての偽情報を流していると多くの医療関係者が講義していることをミュージシャンが知り、抗議の意味で自分の楽曲をSpotifyで配信しないような手続きを取ったということなのですが、こうしたことは新型コロナウィルスに関することだけではなく、様々な思想についてのポッドキャスト番組がやり玉に挙がる可能性があります。
Spotifyをはじめ大手の音楽配信サービスは利用者の囲い込みをして利益を挙げたいと思っており、多くのサービスの中から自分のサービスを選んでもらうためのキラーコンテンツというものを持ちたいと思っていることも事実です。そうして多くのリスナーを抱えるようになったコンテンツが批判にさらされた場合、単にそのコンテンツを切ったとしても、コンテンツは場所を変えて配信されるようになれば、Spotifyはその利益を失うことにもなり、最悪な見通しについて考えると、今のようなサービスを続けることについても難しくなってくるかも知れません。
現在、テレビやラジオ、新聞のようなメディアではないポッドキャスト配信について、どこまでチェックがされ、問題が起きた時に当事者がきちんと対応できるのかというのは未知数です。極端な事を言えば普通の人でもその意見をポッドキャスト番組として発信することは可能ですし、多くのリスナーが付けばそれが収益に結びつくということになれば、かなり過激な内容を意図的に発信するような人も出てくるでしょう。
私自身は、Spotifyのポッドキャスト番組については、いわゆるマイナーな文化人の方がたまに出ているのを聴いて、その方のお話を直に聴けるのを楽しんでいるような事があるので、テレビにもラジオにも出てこない人の発信の手段としては悪いものではないと思うのですが、コンテンツにも色々あって日本でも同様な状況になっていかないかと心配になります。
そもそも、今の社会では信頼すべきマスコミ発の情報ですら本当に正しい事を伝えているのか? と思うことも多々出てきています。今後はポッドキャスト番組の内容についてもある程度はその内容について批判が出たら対策されることにはなると思いますが、やはり様々な情報の受け手である私たちがフェイクニュースに惑わされないように注意しながら様々なコンテンツを楽しむように心掛けるしかないのかも知れません。