今季Jリーグ残留争いの鍵は「グラウンド外」で起こった事が関係したのか?

普通、スポーツの順位というのは選手の力量や監督・コーチの指導力に負うところがほとんどだと思うのですが、まれにグラウンド外で起きたことを選手たちが引きずってしまい結果が変わることも起こります。具体的には、1989年のプロ野球日本シリーズにおいて、それまで3勝0敗で日本一が確実と思われていた近鉄バファローズが、一人の選手のインタビューの内容が読売の選手たちを大いに刺激し、シリーズは逆に読売がそこから4連勝して日本一になったのですが、もしあのインタビューが無かったらと思っている方も少なくないのではないでしょうか。

今年のサッカーJリーグの残留争いは、最終節まで清水・湘南・徳島の3チームのうち1チームが来年J2に降格するというしびれる展開で、来年もpovo 2.0のトッピングでJリーグの中継を行なっているDAZNを見ようと思っている私としては、何としても清水にはJ1に残ってもらって、来年には磐田との静岡ダービーマッチを見たいと思っていたのですが、こればかりは運命の女神がどのチームに微笑むかというのは全くわからず、昨日の最終節が終わるまではらはらしていました。

ただ、今回の降格チームが決まっていく中では、微妙ではありますが最初に書いた「グラウンド外の事情」が関わっていたのではないかと思うことがあります。前々節は今回残留争いをしている3チームのうち、湘南と徳島が対戦したのですが、この対戦の前に23才と若いブラジル人MFオリベイラ選手の訃報が入ってきたのです。今まで一緒に試合をしてきた選手にとってはかなりの動揺だったと思いますが、これまでの力から見て、この試合は湘南の方に分があるのではないかと思っていたのですが、負けるとJ2への降格が見えてしまう徳島が踏ん張って、1チャンスを生かして起死回生の勝利を収めます。湘南にとっては、関係ないとは言っても若い同僚が突然去ってしまったことが、試合を行なうメンタルに影響を与えたのではないかと思い、残留争いをしながらも湘南の選手には気の毒だと思えました。

ただ、その時点で今度はその対戦相手である徳島の選手たちの心情に動揺を与えるような出来事が起こってしまいます。試合終了後に湘南の監督がファンに向かってオリベイラ選手の事を話している時に、徳島のサポーターの1人が、贔屓チームの勝利に浮かれるあまりか、湘南を揶揄するような野次を放ったというのです。

この事はすぐにニュースになり、特定されたそのサポーターについては永久に試合入場を禁止されるなどの強い措置が徳島によって行なわれたものの、サッカーファンは徳島サポーターのマナー違反を非難し、その影響はもしかしたらこれまでJ1残留へと心を一つにしてきていた、徳島の選手の心を多少なりとも乱してしまったかも知れません。

そんな中で始まった徳島の最終節である広島戦は、広島に立て続けに3点を前半で取られ、後半に多少盛り返したものの、結局2対4で敗戦し、今季のJ2降格は徳島ということになってしまったのです。清水は最終節で勝ち、湘南は引き分けましたが、サポーターの引き起こした騒動が無く、本日の試合で清水が負けていたら清水の方にJ2降格の可能性もあっただけに、ほんとうに紙一重の結果でした。個人的にはとても複雑な気持ちで、徳島の選手たちも可哀想でなりません。

今回の事は、リアルタイムで行なわれているスタジアム内で出た野次だったため、中継配信を見ている人にも直後にわかってしまい、すぐにネットニュースになったのですが、このように選手ではない個人が発することでも、場所と状況をわきまえないと、クラブの将来がかかった大きな試合に多大な悪影響を与えてしまう可能性があるということを多くの人に認知させたのではないかと思います。

自宅でテレビやネット配信を見ながら大声で悪態をつくなら問題にすらならないのですが、試合を見に行っての過度な行動はもちろんの事、自分の過激な意見をネット上に書き込んだり動画をアップしたりすることで多くの人の目に触れることになり、それが最悪の場合ネットニュースとして拡散され、自分だけでなく贔屓にしているチームや関係者に迷惑を掛ける可能性が出てきます。一般的にSNS自体にも自分の行動をいちいちアップすることで発言した本人が社会的に抹殺されてしまうくらいの非難を浴びてしまう側面があるのですが、今回のケースはそれ以上に様々な個人・組織の不利益に結び付いてしまうことにもなり、改めてインターネットの拡散力の恐さというものを感じてしまいます。

自分の贔屓しているチームがふがいない試合をして負けるのは確かに悔しくて悪態の一つぐらい言いたいですし、逆に競争相手が自滅してくれるような展開になった場合には、ゴルフツアーでの一部の心ないギャラリーのように、ショットをミスしたりパットを外した瞬間に拍手をするような心境になってしまう場合もあるかも知れません。しかしそれを公の場で行なったり、直接ではなくてもネット上で発言することによって、自分だけではなく応援しているチーム・個人にも迷惑が掛かることもあることをきちんと意識することは大事ですし、来年以降はこんな事が起こらないように願いたいものです。


カテゴリー: ノンジャンルコラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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