大阪狭山市での自動車暴走事故の報道では触れられなかった「パーキングブレーキ」の問題

大阪府狭山市にあるショッピングセンター駐車場で起こった自動車の暴走による死亡事故のニュースがテレビなどで報道されていますが、運転車が90に近い高齢者で、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる暴走ということもあって、高齢者の免許返納という結論になっているような報道になっています。

今回の事故は報道されている内容によりますと、奥さんが買い物から帰ってきて、荷物を車の中に入れた後に、恐らくシフトを「D(ドライブモード)」に入れたままパーキングブレーキを掛けていたのだろうと思うのですが、(「N(ニュートラルモード)」にしていても坂道では惰性で動いてしまって慌てるのは同じなので、この場合はそもそも「P(パーキングモード)」にするのが良いと思います)、わずかに車が進んでしまったことで、ブレーキを掛けようとしてブレーキとアクセルを踏み間違えて急発進し、前でぶつかったためパニックになり、シフトを「R(リバースモード)」に入れてこれまた急に後退してポールにぶつけ、さらにシフトを「D」に戻して同じように急発進して壁にぶつかって停まったというような状況になるかと思います。その後、ニュースが更新された際の内容としては、シフトは「P」にせず、パーキングブレーキも掛けていなかったということが明らかになっています。ただ、事後前の状態が「N」なのか「D」なのかはこの文章を書いている段階では明らかではありません。

そうした一連の動きの中で人をはねたり、自動販売機をかなりの衝撃で跳ね飛ばしたりしていますので、これは高齢者に限らず、初心者やあまり運転の経験がない人においても同じようにパニックを起こして人にも物にも大きな被害を与えてしまう可能性があります。ですから、今回の事故の運転者が高齢者だからと言って、その原因を加齢による判断力の欠如だけにするのはどうかと思います。

今回の事故については、運転車の年齢に関係なく、エンジンを掛けたままの一時停止であっても、シフトはDやNにするのではなく、必ず「P」にし、パーキングブレーキを掛けるという事を徹底させることが第一だと思うのですが、今回の事故についてはもう一つ、自動車メーカーに考えてもらいたい車の構造上の運転しにくさも関係していると思います。

事故を起こした方は、通常の運転時には安全運転を続けているという周辺の人たちの声が取材により出てきていましたが、そんな人が少し車が動いた時に車のブレーキを一気に踏み込むような事をするのか? という疑問がまずは出てきます。この方が運転していた車はトヨタのプリウスだろうと思いますが、「またプリウスか」というような事は私は全く思いませんが、現在売られている車のほとんどが(プリウスを含めて)、パーキングブレーキがどこに付いているか? ということを考えて、今後の改善をお願いしたいと思うところです。

今売られている車の装備が普通だと思っている方にとっては、あまり意識するところはないかも知れませんが、昔はパーキングブレーキが運転席の左下にあり、もしオートマ車で車が動いてしまった場合、多少慌てていても思い切って手でパーキングブレーキを上げれば、とりあえず車は止めることができます。そうした一連の動作の中でアクセルが踏まれることは考えられません。今ちょっと調べたら、2019年のフルモデルチェンジで、プリウスは足踏み式のパーキングブレーキがブレーキの左側に設置されているそうなので、事故を起こした車も同じような構造になっていることが考えられます。

昔ながらの手動式のパーキングブレーキや、電子式のパーキングブレーキがシフトの隣にあるような構造であったなら(今回の事故車両を実際に見たわけではないので、この点はあくまで一般的な論であることをお断りしておきます)、まず足の長さや力の弱さによってブレーキの効きが甘くなることは電子パーキングブレーキの場合はまずありませんし、パーキングブレーキのかかりが弱く、車が急に動いてしまったらまずは足元よりも手でパーキングブレーキを操作することで、安全にブレーキを掛けられて車の暴走を抑えられたのではないか? という気がしてならないのです。

パーキングブレーキについては、今回問題にしている足踏み式のパーキングブレーキの場合、手動や電子パーキングブレーキに比べると足でブレーキを解除しつつアクセルを操作する坂道発進がしにくいという感じを受けているので、私が今後新車を購入する機会がありましたら、できればパーキングブレーキは左手で操作できる電子パーキングブレーキが搭載されているものを選びたいと思うのですが、メーカー及びディーラーの方も、特に高齢者に新車を勧める際には、こうした事を考えた上で、足踏み式のパーキングブレーキ搭載車でない物を勧めたり、プリウスのグレードの中に、電子パーキングブレーキ搭載車を含め、そちらのグレードをおすすめすることを最低限やるべきではないかと強く思います。同時に自動車メーカーやディーラーはテレビの大きなスポンサーであるためか、ここで書いたような指摘がマスコミができないとしたら、それは安全よりもお金を優先していると考えざるを得ません。

そんなわけで、皆さんも新車を購入される場合は、できるだけ車の構造によって事故が起こりやすいと思われる内容の車を避けることをおすすめします。


カテゴリー: 車関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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大阪狭山市での自動車暴走事故の報道では触れられなかった「パーキングブレーキ」の問題」への2件のフィードバック

  1. ケータイオタク

    プリウスはPのボタンがあり、ボタンを押せばP状態になります。エンジンブレーキは左足で踏むようになっています。
    むしろ古い車よりも簡単にP状態に出来る様になっています。以前の車だとシフトをわざわざ動かしてPにしなければならなかったのでちょっとした作業くらいならブレーキペダルを踏んで停止させる癖があったのではないでしょうか。
    長い間運転で悪い癖が身についてしまったのでは。
    プリウスの場合ボタンを押せばPに出来るのでNにする場合の方が少ないと思います。
    実際運転していてNするという事はほとんどありません。Nは使う機会が無いと思います。
    以前はよく信号待ちなどでガソリンを節約するためにNにするという事を聞きましたが、その癖が身についてしまった悲劇だと思います。
    プリウスだからではなく、プリウスなのに以前の癖で起きた事故。
    プリウスユーザーとしては車好きから否定されるプリウスの悲劇とさえ感じます。

  2. てら 投稿作成者

    ケータイオタクさん コメントありがとうございました。

    本文にも書きましたが、後日の警察発表を元にした記事だと思いますが、どうやら普通はしておくはずのPにせず、パーキングブレーキも掛けていなかったらしいことがわかってきました。これではプリウス云々の話をする前に論外というだけで、高齢者運転の問題というよりも、自己流に凝り固まった運転についてもっと多くの人が考えなければならないように思いました。

    過去には、車の中にキーを差したままロックしてしまう「インキー」が問題になり、私自身もJAFのお世話になることがありましたが、今では車の構造としてキーを付けて回すような車もなくなっていますし、またキーを使わないでロックする(ロックが掛かった状態でドアノブを持ちながらドアを閉める)ような行動を止め、常にキーを使って外からロックするか、キーのリモコンでロックすることを心掛けるだけでインキーを起こさなくなったというところもあります。もっとも、今はキーを持って離れるだけで車は自然とロックする構造になっており、事故回避的な点でも多くの事故例を分析し、人間のエラーが起きても今回のような悲惨な暴走を車の方でしないようになってくれるのが一番いいのですが。

    ちなみに、私の場合は左足で踏み込む形のパーキングブレーキより、左手て引っぱる形のパーキングブレーキの方が坂道発進では安心できます。こうした話も意味がないような感じで車の安全装備も進化していって欲しいものですが。

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