昨日から東京オリンピックの競技が正式に始まりました。事前にこのブログでは開会式のセレモニーについて色々書いていたこともあり、当日の開会式の様子は生で通しで見ていました。そこで、ご退屈かとは思いますが今回のセレモニーを見ての感想などをつらつらと書いていきたいと思います。
まず、開会式の音楽を担当する人の中で小山田圭吾氏の進退については、当初かなり組織委員会が擁護したのに(後日本人からの申出を受けて解任という形になりました)、なぜ演出ディレクターの小林賢太郎氏を速攻で辞めさせたのかという点については、セレモニーが進み森山未來氏の舞踏の段になって、その舞踏のテーマが1972年ミュンヘンオリンピックにおける選手村でのイスラエル選手団襲撃事件にテーマを持つもので、初めてオリンピックの開会式で当時犠牲になった選手たちのために黙祷が行なわれた演出を行なうという事情があったのです。
もし小林氏をそのまま続投させていれば、同じユダヤ人に起こった悲劇について、ホロコーストを揶揄したという話が広がっている中で、そのネタを作った人の演出でテロの被害に遭ったイスラエル選手を悼むという、外部から見たら「何か裏の意味があるのでは?」と見ている人の中で思わせないようにという配慮が速攻で働いたのではないかと思いますね。
あと、音楽については各国の入場のバックグラウンドに日本のゲーム音楽が流れていて、日本発の文化というものを出していましたが、国歌を斉唱したMISIA氏は外せないとしても、セレモニーで印象に残ったのはジョン・レノン&オノ・ヨーコの「イマジン」および、クイーンの「手をとりあって」というUKと日本をつなぐ楽曲の導入にありました。なぜUKなのか? 「イマジン」についてはジョン・レノンの曲というより日本にルーツを置くオノ・ヨーコ氏との合作なのでその由来はわかると思いますが、「手をとりあって」の方は、知らないと普通にUKのロックバンド「クイーン」の曲で、日本ではクイーンが人気があるから? という風に思ってしまう方も少なくないと思います。
ただ、この楽曲についてはクイーンのギタリストであるブライアン・メイ氏がクイーンとしての初来日時の熱狂的なファンの姿と、その来日以前にはUKを含む連合軍と日本とは第二次世界大戦で戦っていて、広島・長崎に原爆が落とされた状況があったことを考え、自分達と日本のファンの絆を求めてこの歌詞を書き、サビの部分を日本語通訳の方に翻訳してもらって、ボーカルのフレディ・マーキュリーが日本語でサビを歌う作品に仕上げたとかつてのインタビュー記事では書かれていたように思います。ライブでの演奏は日本国内に限られるとは言え、この曲はクイーンの通常のアルバムに普通に収録され(もちろん世界中で購入し聴くことができます)、曲名もローマ字表記の「Teo Toriatte」となっていて、決して日本だけに向けられたものではないという事が今回のセレモニーで採用された理由なのでしょうか。
ただ、それにしてももっと日本的なものや日本から世界に発信するものを扱えなかったのか? という気持ちを持つ方もいるでしょう。特に復興五輪としての位置付けがある中で、楽曲でもそうしたものを扱えなかったのかという事を思ったことも事実です。
個人的にはそうした開会式で流れた音楽の他にはセレモニーのサプライズ演出というものはなく、それが今回のスタッフ降板騒動につながっているのかとも思えましたが、来賓の挨拶が長いというような事はどうにもならないものの、もう少し日本発というものを強く押し出してくれた方が見ている方も楽しかったのではないかという気がした事は確かです。
オリンピックも一気に競技が始まり、新型コロナウイルスの深刻な状況も忘れがちになってしまうかも知れませんが、あくまで冷静に、必要があれば外に出ないように気を付けることだけは忘れないでこの期間を過ごすようおすすめしたいと思います。昨日もかなりの暑さになりましたので、出掛ける場合にも水分・塩分の補給を考えて体調を崩さないように健康にはくれぐれもご留意いただければと思います。
ちなみに、オリンピックは外に出ないで家で見ることが奨励されていますが、昨日には静岡県がコースになった自転車のロードレースはテレビでの生中継がなく、Fire TVにつないだ家庭用テレビで見ようと思ったTVerアプリでは、スマホではライブ中継を見られるもののテレビにつなぐ場合にはライブ中継が見られないという政府のお願いを叶えられない仕様になっているのには憤慨しました。同時に行なわれる競技数の関係で、ネット経由で自由にライブ中継を見られるようにするのは基本だと思うのですが、こんなところも言行不一致という感じがするのですね。
一応、こちらではFire TVに入れていたウェブブラウザ経由でレース内容は大型テレビでその一部始終を見ましたが、私と同じような視聴環境にある方は、そうしたやり方も試してみて下さい。ロードレースは6時間のレースでも最後のスプリント勝負でメダルの色が決まるというスリリングな展開で、もし世の中がコロナ禍でなかったら、現場に赴いて直接見たいほど面白いレースでした。今後の状況によってはスケジュールをこなすことも難しい局面があるかも知れませんが、その点についてはこの後起こることもあるがままに受け取るようにして冷静に見ていこうと思っています。