マスク社会の中で多くの人が気付かないことをラジオから知る 目から情報を得られない方との関係を考える

昨日は早朝に目が覚めてしまい二度寝もままならなかったので、手元にあったラジオでNHKラジオの「ラジオ深夜便」を聞いていました。時間はちょうど午前4時を過ぎたあたりで、番組は「明日へのことば」というコーナーで、国立民族学博物館・准教授の広瀬浩二郎氏がご自身が全盲という立場からのお話をしていたのでついそのまましばらく聞き入りました。

とにかく最近は会合自体が少なくなりましたし、普段会う人とも長めの会話は自粛するような状況になっているので、普段でもなかなかお話する機会がない立場の方の話をじっくりと聞く機会は、こうしたラジオの番組でしかないのかも知れません。今回はその話の中で今まで自分が無知であって知って良かったということについて紹介したいと思います。

感染症予防のために、外へ出掛ける時には付けていかないと許されない雰囲気になっているマスクですが、このマスクは視覚障害がある方、特に全盲の人にとっては、マスクを付けることで新型コロナ以前の外出時とはかなり行動が制限されるという事があるそうなのです。

これは、私たちでも目をつぶったり目隠しをして目から入ってくる情報を遮断して外に出てみればわかることですが、目からの情報がない分、他の体の感覚をフルに使わないと移動することも難しくなります。広瀬氏の話では、マスクをすることによってその場に漂う匂いを感じにくくなるだけでなく、頬に当たる風も感じられなくなるので、今までと比べると行動に制限がかかるという事でした。

確かに私自身、目から入る情報に頼り切っていると、耳から入る音はまだしも、匂いや顔や体に風の当たる感覚までは細かく感じ取っているかと言われると、やはりそこまでは感じていないというのが正直なところです。改めて、自分が見えていない状態で外を歩こうとしてみて、視覚情報がない状態で交通機関を利用する方々の大変さというものをしみじみ感じてしまいました。広瀬氏は自分は「視覚障害者」ではなく「触常者」であるという主張をしているのだそうですが、その能力ということを考えてみると、私では到底太刀打ちできないくらいの鋭い感覚を持たれているのだと思います。だからこそ、その能力を奪ってしまうマスクというのは、常に付けることで行動が制限されるところがあるのですね。

今後、感染症の恐れが無くなっても、日常的にマスクをしたまま移動するような状況は続いてくると思われます。ただ、マスクを付けずに外に出ている人の中には、目から十分に情報を入手することができないので、あえてマスクを外すことで別のところの感覚を受けて歩いているかも知れないということがあるため(もちろん、こちらの考えもつかないところでマスクをしない理由がある人もいるかも知れません)、闇雲に非マスクでの行動を非難することは控え、臨機応変に様々な対応を取るべきだと考えます。

また、白杖を持った方が普段通りの移動ができずに動こうにも動けないような状況になっているのではないか? という状況に遭遇したら、自分に時間があればまずは声を掛けることが大切ではないかと思います。その時掛ける言葉は「何かお手伝いすることはありませんか?」というような言葉にし、相手にも都合があってその場に留まっているのかも知れないという前提で話し掛け、そこでもし相手からお願いされれば、自分でできる範囲の事を手伝うような感じがいいと思います。

自分の考えが及ばない事で、他人の身になって考えることは大変難しいことですが、日々家にいながらでもちょっとした事に注目して自ら情報を集めることで、色々なことがわかってくることがあります。私はラジオでしたが、本を読んだりネット検索でも目的の語句だけでなく周辺を見ていくと、目的とは違っても自分に興味がある事が見付かったりします。今の状況ではそうして自分の中で今まで知らなかった事をもっと多く知ることができるといいなと思っています。


カテゴリー: ノンジャンルコラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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