日本郵政と楽天が資本提携をした事で何が変わるのか? 全国の郵便局に楽天モバイルの基地局を立てればさらに面白くなる

昨日、NHKが独自で出してきた「日本郵政と楽天が資本提携」というニュースは、楽天のしたたかさを感じる提携であるような気がします。ネット通販大手の楽天は、商品の発送の面において、アメリカ資本であるAmazonと比べると、その仕組みの違いもあってかなり差を付けられているような感じがしています。有料でプライム会員を集め、「prime」マークが付いた商品を注文すれば代金に関係なく送料が無料になり、会員でなくても複数の商品をまとめて発送する場合には2千円以上で送料が無料になります。

楽天はこのAmazonのシステムに対抗して、一度の楽天市場での買い物の額が2,980円以上なら送料無料という構想を打ち上げたものの、当時はその「送料無料」の後ろ盾がなく、単に出店企業に送料を負担させるだけではないかという批判を受けたことがあります。その後、楽天はAmazonのような販売商品をいったん大きな自社倉庫に集めそこから全国に配送するような方向で考えているようなニュースもありましたが、それもなかなかうまくいかないのか、昨年末に日本郵政と物流領域における戦略的提携に向けて合意というニュースがあったので、流れとしては決まっていたことなのかも知れませんが、資本提携という形でまとまるというのは、今後の楽天が通信事業にかなりの費用を出さなければならない中で、何とかしようと考えて選んだ道だとも言えます。

そうした楽天の行なう通信事業の今後を考えた場合、日本郵政と資本提携した事により、そこまで楽天モバイルという存在を、世間が無下に扱うことはできなくなったのではないかと個人的には感じています。それでなくとも、通信事業を管轄する総務省の職員や大臣がNTTの社長から接待を受けている疑惑が大きくなっています。過去にも書きましたが、NTTが新しく出してきたプランahamoは楽天モバイルの一年間無料後のユーザーを奪いに来た感がありありでした。このような中では、NTTが楽天モバイルの脅威を感じて総務省に働き掛けをしようとしても今はさすがに直接話はできないでしょうから、楽天の方としては既成事実を積み上げるように、一気に話を進めた可能性がありますね。

かつて現在のスマホプラン(データ通信つなぎ放題や音声通話かけ放題など)を携帯電話会社に先んじて提供したものの、同じプランを大手が出してきたことによって業務を続けられなくなってSoftbankに吸収されてしまったイー・モバイルやPHSのウィルコムのように、楽天モバイルを大手三キャリアの中に吸収してしまおうと思っている勢力があったのかは定かではありません。ただ大手三社の横並び新プランに対して、楽天が0円からの新プランで対抗しなければ、恐らくNTTを始めとする大手キャリアの思惑通り、楽天が通信事業を断念するような結果になってしまったのではないかと思われます。

そうならなかったのは、楽天は通信専業ではなく多くの関連企業を持ち、現在は通信部門の負担が大きくても、楽天モバイルにユーザーを呼び込むことでユーザーには他のサービスを使ってもらい、トータルで利益を出す方向で当面は考えるようにしたことがあると思います。逆に今は大手通信キャリアが異業種への展開を目指して今後やってくる通信事業の利益減少(通信料金が下がれば利益も少なくなるので)を填補することを考えるくらいですから、イー・モバイルやウィルコムと比べたら楽天モバイルはしぶといと思います。

具体的には今後楽天市場で売られる品について、日本郵政の物流機能を使い、逆にユーザーへの通知システムなどを楽天は提供したり、また郵便局のギフトなどに楽天市場の商が入ってくるような形になっていくのかなと思いますが、今後のアナウンスを期待したいところです。

個人的には、資本提携をすることになるならぜひ実現して欲しいことがあります。ニュースの提携内容によると、郵便局の中で楽天モバイルの販売をするという話が出ていたので、そこで説明する現場の声にもつながると思うのですが、通話無料をアピールしておきながら郵便局への問い合わせの番号が0570のナビダイヤルを使うのは速攻で止めるできです。楽天LINKアプリから直接郵便局の問い合わせ番号に繋がるようにしても、それが無料通話の対象外で余分にお金がかかるような状況を放置してしまうと、郵便局だからと信用して楽天モバイルに加入したユーザーとのトラブルの頻発が懸念されます。せっかく楽天と提携したわけですから、郵便局内から配達先への電話も無料化できますし、そうした流れの中で、せめて楽天モバイル契約者が郵便局へ掛ける電話は無料通話の範囲内で提供して欲しいですね。

また、日本の郵便局のネットワークはかなり大したもので、数年前に沖縄の波照間島まで行った時には、コンビニすらない島に郵便局があるのはもちろんですが、ATMがちゃんとあったのでそこから現金を引き出すことができてほっとしたことがあります。現在も楽天銀行のカードで郵便局のATMで引き出すことができるのですが、郵便局でもATMにでもどちらでもいいのですが、楽天モバイルの基地局を配置してくれると、その近くなら高速インターネットが無制限で利用できるわけですから、車中泊の旅で全国を回る中でかなり有利になります。

さすがに全国の人口カバー率100%を実現するという、楽天がぶち上げた人工衛星を使ったネットワークが完備するのはまだ時間もお金も掛かると思うのですが、それこそ小さな島だったら郵便局に基地局ができれば全島で高速ネットが使い放題になる可能性もあります。

楽天と郵便局が提携することで、デジタルとアナログの結合という感じでの進化も期待します。例えば車で全国を放浪するような場合、必要な物品をネット注文して現在地から近い郵便局を指定して受取りするような事も今より便利になるといいですね。またお土産を買ったり旅の途中でいらなくなったものを自宅に送るような場合も宅配便の営業所でもできますが、郵便局の方が使いやすいと思う方もいるでしょう。今後はゆうぱっくの料金を現金で払ってもカード・アプリの提示で楽天のポイントが付くとか、そんな方面からの変化にも期待したいです。


カテゴリー: 通信サービス全般ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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