週刊文春の報道で、総務省総務審議官・谷脇康彦氏と山田真貴子氏(当時は総務審議官)へNTTが高額な接待をしていたという疑惑を報じました。その後、谷脇氏が会食の事実を認めたということです。恐らく、記事で接待を受けたとされる方々は否定するかも知れませんが、楽天モバイルの出現がきっかけだとは言え、NTTがNTTドコモを子会社化して「ahamo」をぶち上げ(このプラン自体は当時楽天モバイル潰しのプランであると個人的には思えました)たのは、NTTと総務省との間で何らかの打ち合わせが行なわれたのではないかと疑ってしまいます。当時官房長官だった菅首相の要請があったとはいえ、携帯電話値下げの実行については、NTTの動きにかなり性急な印象がありましたので。
結果としてこのドコモ主導の流れについて、MVNOの参入を促す事で全体的に料金を下げるというような事も言っていた風向きが変わり、下手をしたら多くのMVNOが淘汰される流れになってきてしまいました。もしもこの「ahamo」登場に至る経緯に、総務省とNTTの接待が何らかの影響を与えていたとしたら、これは公正な競正を促す立場である総務省がどう説明するのか気になりますが、これまで大手の力に押しつぶされるように喘いできた非NTTの業者にとっては、疑惑の徹底的な解明を望むでしょう。
一連の携帯値下げに関しての動きで記憶に新しいのが、当初「ahamo」が税抜月額2,980円(5分定額通話付)と、楽天モバイルと同額で新プランを出した後、auがpovoで5分定額をオプションにして最低契約価格を税抜2,480円で出してきた際の総務大臣がまるで不快感をあらわにするような発言をしたことでした。この背景には、実はNTT(NTTドコモ)と総務省のずぶずぶの関係があったのではないかと個人的には思ってしまったのですが、こうして実際にNTT側が総務省の担当者を直接高額接待していたことがわかると、あからさまにNTT側に立って総務省が動いていたのではという疑惑が生まれてきてしまいます。auにとってはこの点はしっかりとした説明を聞きたいのではないでしょうか。
また、MVNOの日本通信はNTTドコモから通話用の回線を借りるための協議において、なかなか回線を安く貸してくれないNTTドコモの行動によって、下手をしたら会社自体が消えてしまうかも知れない窮地に追い込まれた時があります。現在は、過去に遡って回線を安い条件で利用できることになり、最悪の状況は回避できましたが、これも競争を促して携帯電話の料金を下げるためには、むしろ日本通信の申し出に対して総務省は積極的にNTTドコモをたしなめる必要があったのではと以前から思っていました。しかしそうした目に見える「携帯電話料金を下げる努力」については主にNTT主導でやらせてしまったという事の裏には、こうしたNTTとの癒着と思われても仕方がない接待があったのではないかと思うと、同じく日本通信の方々もこの件についての総務省の説明をしっかり聞きたいのではないでしょうか。
このブログでは連日紹介している楽天モバイルについても、今後楽天が大手キャリアと対等に競争をするためには、飛びやすい電波であるいわゆる「プラチナバンド」を楽天が使えるように総務省が認可するかどうかが今後楽天モバイルが大手と肩を並べられるかの鍵になっていきます。現在のBand3だと固定化するために私の家の窓のすぐそばに置いていてもモバイルルーターのアンテナは3本中2本立つのみで、電波が弱くなるとすぐにパートナー回線であるauの回線(Band18)に移行してしまいます。今後楽天モバイルがプラチナバンドを使えるようになれば、外での使用だけでなく家の中で使いたいという場合にも安定して電波が入ってくるので、本当に第四のキャリアとして成長していく可能性も見えてきます。できれば早く楽天モバイルにもプラチナバンドを使わせてくれるように国は認可を出して欲しいと思っていたのですが、今回の疑惑が表に出てこなければ、内々でNTTと総務省の話の中で楽天は弾き出されてしまう可能性も大きかったように思います。
通信事業者について、政府の独占ではなく電電公社を民営化してNTTに民営化したということは、民間を含めた公正な競争の中でユーザーが業者を選べるようにしたということなのに、未だにNTT中心で公正な競争が実現されない(?)のでは、現在安くなったと喜んでいる私たちユーザーも、将来的には大手の好きなように料金を決められる不自由な未来を考えておかなければならないと思います。総務省はそんな事にならないように、接待してきた会社の希望や都合ではなく、通信業界の全体を見てよりよい競争で安くて良いサービスを提供する業者に決まるような仕組みを整え、フェアプレイのできる環境を整えるべきです。そのため、今回の報道における接待はどんな目的で行なわれていたかということを含め、わかっている事は明らかにし、きちんとした説明を求めるとともに、ユーザーは契約を選ぶことでその意志を伝えるべきではないかと思います。現状でのドコモのエリア的な優位性は否定できませんが、回線は複数使い分けても良いわけですし、使う側も今回のような内々での話を重くとらえ、契約する回線についても判断の材料にすることも必要ではないかと今回のニュースを聞いて改めて考えた次第です。