接触確認アプリ「COCOA」の追加報道と行政の姿勢

前回、厚生労働省が配布した接触確認アプリ「COCOA」について、入れないより入れた方が良いと思い、このブログで紹介しました。しかしその後、このアプリの挙動について、多くの人が不審を拭えない状況があることが後追い報道でわかってきました。ここでは、その内容を紹介するとともに、改めて私たちはどうすればいいのかという事について考えてみたいと思います。

このアプリの仕組みは、Bluetoothを使って自分のスマホと、アプリをインストールしてBluetooth通信をONにした誰かのスマホが15分以上、1mの範囲内にあり続けていた時にその内容が通知され、その相手がもし新型コロナウィルスに感染してしまった場合、スマホにデータが登録されてから14日以内であれば「濃厚接触の疑いあり」ということで通知が届く仕組みになっています。

前回書いた時には、自分の中で濃厚接触の疑いがあるという通知を受ければ、すぐにPCR検査が受けられるだろうと思っていたのですが、後追いでの報道によると、必ずしも検査が受けられるわけではないことがわかったのです。

報道の内容によると、濃厚接触の疑いがあると通知を受けた場合、改めてアプリからの質問に答えるようになるそうです。そこで「具体的な症状がある」と答えれば検査を案内されるのですが、「具体的な症状がない」と答え、さらに「身近に感染者・感染を疑われる人がいない」と答えると、基本的には検査を促されず「14日間は体調の変化に気を付けて下さい」というメッセージが返ってくるだけなのだそうです。

新型コロナウィルスに関する情報として、表面上は感染しているように見えなくても、実は感染しているケースもあったと聞きます。これだと、検査を受けるためには、正直に質問に答えないで、自分もしくは周辺の人が感染を疑う症状があるという風に申告しなければならなくなります。ただ、その場合、自分の詳しい症状や、周辺の人とは具体的に誰なのかを細かく説明しなければならないでしょう。これはもしかすると、お金を掛けずに感染を疑われる人を自粛させてしまおうという魂胆が最初からあったのかと逆に行政を疑ってしまいたくもなります。

自宅に籠もるにしても、学校はともかく仕事をしている場合には、アプリから通知が来た時点ではあくまで感染の疑いがあるだけで、陽性とも陰性とも言えません。なまじアプリが個人情報を取るものではないために、もしこのアプリの通知をもとにして仕事を休むためには、単にスマホの画面を見せただけではどうにもならないでしょう。それこそ職場の方で事前にアプリを入れたスマホの型番を記録し、毎日アプリからの通知の有無を確認するようなことをしなければ、本人が持っているスマホであるということすらも確認できないでしょう。さらにその際には自宅に籠もると家族に感染させてしまう恐れがあるなら、自費でホテルの手配をしなければならないのか、地元の行政からホテルを提供してもらえるのかもわかりません。結果、色々めんどくさいからと症状がない場合にそのままの日常生活を送ってしまう人がかなりの割合で出てくるのではないかとすら思えます。

また、その人のアプリ上でも「陽性」の記録がされないわけですから、もしそのスマホの近くに15分以上居続けたアプリを入れたスマホを持っている人のところに通知は届かないわけです。普通にアプリを運用すれば防げるものを、逃してしまうケースが今後増えることが予想されることにもなるでしょう。

だからといって、アプリの機能的には自分一人ではわからない危険を知らせてくれる機能は付いています。入れるか入れないかということで言えば、入れた方がいいと個人的には思いますが、たとえ政府が言うように人口の6割の人がアプリを導入したとしても、かなりの割合で危険を通知してくれないアプリであるという評価には変わりはなく、気休め的に入れておき、アプリを起動させた時に出てくる「アマビエ」のイラストを見て和もうくらいのものだと思った方がいいのかも知れませんね。

そういう意味において、現在は県境をまたいだ移動について解禁されてはいますが、移動中にどんな人に出くわすかはわかりませんし、アプリの検出度に信頼が持てないということになると、自ら他人との接触を断つという選択しか現状では考えられません。ワクチンの予防接種ができるのは今年中では無理でしょうし、症状がない状態ではなかなか抗体検査もできない状況では、できるなら不要不急の外出をしないようにするしかないでしょうね。

満員電車で通勤・通学をされている方は本当に大変だと思いますが、まずはこの「COCOA」アプリの運用について、疑わしきは検査という方向転換をするか(一部の自治体では検査すると表明しているところもあるそうです)、それともアプリの提供自体を止めるかしないと、アプリで通知を受けた人からの問い合わせで、現場は混乱するばかりではないでしょうか。


カテゴリー: 防災関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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