甘みのある麦茶はなぜ消えたのか?

私の夏の定番といえば麦茶で、特にこの麦茶はカフェインが入らず、ミネラルが豊富なので、ペットボトル飲料や水出しパックで冷やしたものを飲みたくなります。その「麦茶」は無糖が普通ですが、まだお茶全般がペットボトルや缶入りで売られていない時には、ヤカンで煮出した麦茶に砂糖を入れてから冷やして飲んでいた時代もありました。

その時代というのは、当然コカ・コーラのようなジュースはあったのですが、激しい運動の後に水分を摂るのはご法度という時代で、スポーツドリンクなどもない時代でした。当時の夏の飲み物・食べ物と言えば、砂糖入りの麦茶の他には蜂蜜のレモン漬けなんてものもありましたが、どちらもかなり甘いものでした。

ですから、1980年頃にはじめてスポーツドリンクの「ポカリスエット」が大塚製薬から出てきたり、伊藤園やサントリーから缶入りの烏龍茶・緑茶が出てきた時にはかなりの違和感があったことを思い出します。

ポカリスエットの甘さというのは、今でも「甘すぎる」という意見はありますが、その前から国内で飲まれていた麦茶に投入する砂糖の量と比べるとかなり少なかっただろうと思うので、最初の頃は「スイカのジュースみたい」という評価で、そこまで売れていなかったように記憶しています。そして、お茶としては緑茶よりも缶入り烏龍茶の方が先に出てきたと思うのですが、当時は、普通に急須で煎れるお茶の方が美味しいのに、なぜそのお茶を缶に入れて売るのか? と思っている人が多くいて、最初の頃は今のようには売れなかったと思います。

恐らく、当時の日本人の舌は、甘いものに餓えていたような感じだったのだろうと思うのですが、甘いものを摂りすぎるとその弊害として肥満児が増えたり、「歯が溶ける」なんて都市伝説があったりして、体にいいものを飲みたいという欲求が出てくる中で、人々がポカリスエットの味に慣れ、さらに砂糖がなくても本来のお茶の味で満足する人が増える中でお茶飲料が進化を続け、それが逆に茶葉でお茶を飲む人が減ってしまう結果になってしまっているというオチまで付いてしまいました。

現在でも東南アジアの国では、ペットボトルのお茶飲料がどれも甘くて日本の飲料を飲み慣れた人にはとても甘すぎて飲めない味になっているのですが、改めて思うことに、今昔のような砂糖入りの麦茶を作ったとしても、昔美味しくいただいた方が以前と同じようにおいしいと思うかというと、必ずしもそうではなくなっているのではないかと思います。気になる方は、砂糖入りの麦茶は簡単に作れますので、試してみてください(^^;)。

無糖のお茶とスポーツドリンクが出現した1980年からはすでに40年が経過し、昔は急須からお茶を飲んでいた人たちがペットボトルの緑茶や麦茶ユーザーにかなりの数移行し、その味を楽しむようになっているのですが、麦茶に砂糖はさすがに今のペットボトル飲料やスポーツドリンクしか飲んでいない人にとってはとても美味しく飲めないと思うのですが、茶葉で煎れる各種のお茶の美味しさは今も健在です。新型コロナウィルスに効果があるのかはわかりませんが、時間を掛けてお茶を楽しむことは、ストレスの解消にもつながるかも知れません。これはコーヒーや紅茶にも言えることですが、道具を一式揃え、茶葉の種類にもこだわり、きちんとお湯の温度管理をして煎れた一服のお茶と、ペットボトルとの違いを感じてみるのもいいかも知れません。


カテゴリー: ノンジャンルコラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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