UQモバイルのKDDI事業統合はユーザーのメリットになるのか

ここ数年、三姉妹のテレビコマーシャルで一般の方への認知度も上がってきたUQモバイルですが、私自身はモバイルルーターでWiMAXを使うための通信を提供している会社という認識だったのが、auのエリアが使えるSIMカードを販売するMVNOとしての認知度の方が今では大きいでしょう。当時からauの使えるMVNOの中ではキャリアと同等にスピードが出るMVNOとして人気でしたが、それは裏を返すとauが他のMVNOとUQモバイルに提供している回線の品質に差を付けているのではないかと思われても仕方ない部分があります。

恐らく、他のau回線を提供しているMVNOからすると、ずるいのではないか? と思わせるくらいのサービスをUQモバイルが提供していることは確かです。個人的には、他のMVNOのSIMだと速度低下が起こる時間帯にもハイスピードを維持できる高品質の回線という特徴以外にも、音声とのセットプランを選んだユーザーに対してのみ低速制限時の最大スピードを300kbps(他のMVNOでは最大200kbpsがせいぜいでさらに低速で大量のデータ使用をすると二段階制限があるところもあり)で使え、さらに大手キャリア以外では同じ大手キャリアの関連会社のワイモバイルとともに、オプション料金はかかりますが24時間通話定額を専用アプリなしで(プレフィックス通話でない)利用できるのが大きなメリットでした。

私自身も、今使っているドコモのガラケーの2年縛りが切れたら、UQモバイルの通話無制限を付けたデータプランに移行しようと考えたこともありましたが、これらのメリットは、新規参入してきた楽天モバイルによって薄れてきてしまったと思えます。今回のUQモバイルのKDDIとの事業統合は、まだ広くは知られていないキャリアでありながら、革新的なサービスを展開するRakuten UN-LIMITの動向を受けたところも多分にあるのではと個人的には思ってしまうのですが。

これも私の場合で言うと、そもそも楽天のエリアが使えないエリアについて、UQモバイルと同じauエリアで提供していることもあって、純粋にその比較はプランそのものの比較で済んでしまいます。まず、UQの低速回線300kbpsのメリットは、楽天が低速制限時の最大速度を1Mbpsとしたことで、ほとんど消えてしまったと言ってもいいでしょう。さらに、通話定額についても、UQモバイルでjオプション付きでできるようになったとは言え、料金的には大手キャリアに準ずるような形になってしまっています。楽天の通話定額はオプション料金がかからず、インターネット回線を使って行なうので単純に比べるべきではないと思いますが、ガラケーからスマホに移行して使うなら専用アプリを意識することなくスマホから発信できますので、普段使いではあまり差を感じません。

唯一差があるとしたら、専用アプリからでは110番や119番などの緊急通報ができないということと、楽天はインターネット電話なので、物理的な災害だけでなくソフト的なトラブルでも電話として使えなくなる可能性があるということです。この点だけ考えると、Rakuten UN-LIMITとともに、予備回線として電話専用のガラケーに差す音声回線を安くキープすることができればと思えるのですが、あいにくガラケー専用のプランはUQモバイルには用意されていないので、このところだけは大手キャリアを利用するしかなさそうです。

ただこれは、現状では必ずしも音声による通話でのコミュニケーションを必要としない生活をしているのなら、そこまでこだわることはないと考える方もいるでしょう。Rakuten UN-LIMITはこの点も画期的で、楽天自体のSIMを通話するスマホに入れて使わなくても、ドコモ系のMVNOが出しているデータ専用(SMSオプションも不用)のSIMをRakuten UN-LIMITの通話を使うための「楽天link」アプリが入っているスマホに入れれば、楽天からもらった電話番号(MNPすれば今まで使っていた電話番号)での発着信ができるようになります。楽天のサービスを使っていても、スマホに入れるSIMの回線をユーザーが選べることになるので、複数のSIMを使い分けて圏外を避けることもできるわけです。

ここまでは以前からこのブログで何回も紹介してきたことですが、ここまでRakuten UN-LIMITが色々できてしまうと、KDDIの方としては楽天のモバイル事業がコケてくれるのを期待し、その時には買収してRakuten UN-LIMITをUQモバイルに続く第二のサブブラントにすることをねらっているのか? という風にも思ってしまいますが、そうでなければこうしたRakuten UN-LIMITから移行しようと思うくらいの思い切った大手キャリアでは提供できないような新しいプランを事業統合後に出してくるのか? というところが注目になるような気がします。

もちろん、今のUQモバイルの音声プランも十分安くて使い易いとは思うのですが、今のRakuten UN-LIMITのポテンシャルの高さと安さに対抗するためには相当のプラン開発が必要です。KDDIとしてはRakuten UN-LIMITの利用ユーザーが増えれば増えるほど、楽天エリア外で利用された分の回線使用料が入ってくるわけですからあわてる必要はないのですが、もしRakuten UN-LIMITがユーザーに受け入れられた場合、UQモバイルは今のままではうまく行かなくなるのではないかと思ってしまいます。昔からこうした企業の争いというのは素晴らしい技術を持っているところが勝つとは限らないので、今後も冷静に状況の推移を見ていこうと思います。個人的にはRakuten UN-LIMITと選択を迷うくらいのテコ入れをKDDIがしてくれることを希望したいですね。


カテゴリー: 通信サービス全般ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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