モバイルデータの定額制はどうなる?

 今、携帯電話会社が携帯電話の通信回線におけるデータ通信量の増大とともに、データの定額制でなく、一定の容量までやりとりしたら、それ以上には追加で料金を徴収するような料金体系の導入を模索していると言われています。それは、全ユーザーのうちでわずかなユーザーが行なうデータ通信の量が、全体からするとかなりの割合を占めるという事実があります。恐らく少数のユーザーは、同じお金を払うならということで常にデータ通信を繋ぎっぱなしにしながら使い続けるような運用の仕方をしている場合もあるのでしょう。これは日本だけのことではなく、アメリカでは同様のユーザーがいるためにデータ定額制を中止し、ある一定の容量を超えると追加料金がかかるようにしたという事実があります。

 一般的に言って、人間の欲望を完全に消すことはできないので、多くのユーザーが節制したとしても、わずかなヘビーユーザーの存在はなくならないでしょう。となると、日本の携帯電話会社も定額制を廃止するのかということになってくるのかというのが気になってきます。関係ないと思われる方もおられるかも知れませんが、やはりどこでも使えるインターネットを定額の無制限に使えるのは便利です。車中泊の旅で情報を入手する手段として、ブラウザによるデータの他に、ラジオさえ入感が厳しい場所であっても携帯電話がつながりさえすれば、NHKが提供する「らじるらじる」(NHKラジオの番組をネット配信するサービス)を使って聞くというやり方があります。ちなみに、民放のradikoのデータ量は、時間帯によって違いはあるものの、30分で30~40MBと、かなり多めです。定額制がなくなると長時間の聴取でどれくらいデータのやり取りがあるか計算しながら聞くことになり、利用しづらくなることが予想されます。

 携帯電話会社がこれだけデータ通信の増大にナーバスになるのは、安定した通話ができるインフラを同時に確保しなければならないということもあるでしょう。そういう意味では、データ通信のみで音声通話のサービスを行なっていないUQのWimaxのサービスの方が、現状のような全く規制のない外からの高速インターネット接続サービスを提供しやすいという感じがします。auがやっている、Wimaxと3Gとのデュアル端末は携帯電話回線の緩和をめざした動きというのは普段の暮らしの中ではWimaxでネットを使い、旅行などで山の中へ行った時は従来の携帯電話の電波を使ったネット接続をするというような形でわかりやすく、実際にデータ通信量の削減効果もあると思います。他社のやっている無線LAN網を張り巡らすというのは、市街地などで決め細やかに張り巡らせることができれば有効かと思いますが、いつでもどこでもというわけにはいかず、やはり3G回線を頼りにするようになってしまうと思うので、個人的には別の手段が必要になってくるのではないかと思います。

 一つの例として、今、私が使っているイオン販売専用の日本通信のデータ通信用SIMカード(NTTdocomoの回線を利用)の料金体系を紹介しましょう。このサービスは、通信速度別に3つの種類があります。私の契約しているAタイプのものは、以前のISDN程度の遅さで、動画もネットラジオも、skypeもできませんが月額980円と格安に維持することができます。スマートフォンがいくら知らないうちにネット接続したとしてもそれ以上の料金はかかりません。とりあえずメールとインターネット程度ができればいいという割り切りさえあれば、何とか満足できるものです。また、状況によって高速な通信可能なプランに月ごとに乗り換えることもできます(その場合、ヘビーユーザー並に使い過ぎると速度に制限がかかります)。このように、定額制は維持したままスピードで料金を変えるようにすれば、安く使いたい方は動画までは見ないようになるでしょうし、一定の効果が期待できます。ヘビーユーザー対策として最高速にのみ定額制を廃止するという方法もあります。

 どちらにしても、私が思うのは、今問題になっている電力会社の収益構造のように、携帯電話会社が痛みを伴わないでユーザーにだけ負担を押し付けるようにはなってほしくないということです。幸い、携帯電話についてはユーザーは複数の会社を選べるようになっていますので、もしユーザー無視のような経営方針を取る会社が現れた場合は、ユーザーの方で会社を変えていくという選択も今後必要になってくるだろうと思っています。


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