事件報道で取り扱いが変わるかも知れないもの

 北海道札幌であった爆発事件で使われた爆発物というのは、私たちが普通に購入できる一般的なものでした。それこそ、100円ショップでも売っている「カセットガスボンベ」自体を加熱することによって、すぐには爆発しないものの時間をおいてガスボンベが爆発することを狙い、さらに付近に画びょうや釘を置いておき、爆発の際に飛び散って周辺にいる人への殺傷を狙った極めて悪質な使い方だと言えます。

 このように犯行の手口が明らかになるにつけ、レジャーや災害対策として車にコンロを積んでいる方にとっては気楽に燃料を持ち運べなくなるのではないかという不安も出てくるというものです。もっとも、車の中にガスボンベを常備するような用意の仕方については大変危険ですので、私もやっていませんし他人におすすめするつもりは全くありません。それでも、キャンプに車で出掛かける際にはカセットガスボンベやキャンプ用のガスボンベを持っていくことがあるかも知れません。その際、もし職務質問を受けてガス缶を指摘された場合どうなるのでしょう。セットとして使うカセットコンロやキャンプ用のバーナーと一緒に提示すればわかってはもらえるでしょうが、単体での持ち運び(購入直後の運搬を除く)というのは事件のすぐ後ということもあり、面倒なことに巻き込まれたくないと思う方は止めた方がいいでしょうね(^^;)。

 事件報道ということで思い出すのが、お風呂のお湯を白濁させ硫黄の匂いが出る、まさに家庭の浴槽で温泉気分だけでなくその効能を味わうことのできた入浴剤についての話です。この入浴剤は「六一〇ハップ(ムトウハップ)」という商品名で日本中で割と安価に購入することができました。また、群馬県草津温泉では「草津温泉ハップ」として同様の入浴剤が売られていて、私が草津温泉に出向いた時には必ず買って帰る定番のお土産だったのです。しかしこれらがある洗剤と混ぜると硫化水素が発生し、自殺に使われるだけでなく周辺にいる人の健康にも影響をおよぼすことがネットで拡散され、自殺についての報道が加熱するに従って、洗剤の方は今も普通にテレビコマーシャルが流れ、販売されているのにも関わらず、入浴剤の方だけが販売に制限がかかり、その結果ムトウハップの販売元は事業を続けられなってしまいました(草津温泉ハップも現在一般販売はされていないようです)。この入浴剤に限らず、薬として売られているものは用法や分量を守って使わないと命にも関わるような結果をもたらす場合があります。きちんと使用方法を守って使っている分には大変便利であるのに、わずかな、しかも用法を守らずに使っていた人のために製品の販売が中止されてしまうようなことは大変理不尽で悲しいことです。本当に、こういうことは今後起こって欲しくないと思います。

 あくまで仮定の話ですが、今後カセットガスボンベを面白半分に使っての爆発騒ぎが起こり、それが大きく報道されるようなことが続けば、私たちは今までのように気軽にカセットガスボンベを購入することができなくなってしまうかも知れないという最悪の状況についても考えないわけにはいきません。現状では火を使わないIH調理器が普及しているので、家庭用のカセットコンロに取って代わる可能性は十分にあります。そうなると、普通のカセットコンロは屋外での使用は想定されていないため(主に風対策の面で)、残るのは一部の屋外用コンロのみということになってしまいます。ボンベを使うコンロがなくなれば、一気に店頭からカセットガスボンベが姿を消し、今のように100円ショップで気軽に買えるようなものではなくなってしまうという事もあながち見当はずれな推測ではないでしょう。

 キャンプ用のものを含むカセットガスボンベは使い捨てなため、使い終った後のゴミの問題も指摘されるところではあります。その点からも今後に向けてなくなっていく可能性はあるものですが、もし今後大規模な地震が起き、安全に室内で使える調理器具は何かという事を考える時、やはり一番手に来るのがカセットコンロだろうと思います。本当は安全に調理に使うことができる燃料が開発されればいいのですが、それまでは今ある技術を安全に使って、今まで通り販売が続くような状況でいてくれればと思っています。


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