「IP電話」の「乗っ取り」や「高額請求」とはどういうことか?

 表題のキーワードが強調された見出しのニュースがテレビや新聞で話題になっているようです。ひどいケースになると月に数百万円の身に覚えがない請求が来たケースもあったというから穏やかではありません。果たしてIP電話を乗っ取られただけでなぜそんな請求額になるのか、乗っ取られないためにはどうすればいいのか、そもそもIP電話と言っているがどのくらいの範囲まで乗っ取られる可能性があるのか、そうした疑問についてニュースを見ただけではわからないことも問題です。今回は、インターネットで調べながら何がとうなると恐しいことになるのかということについて考えてみたいと思います。

 テレビニュースにちらっと映っていた請求書はNTTの固定電話に対する紙の請求書だったため、このIP電話は固定電話からアダプターを介して発信するタイプのものなのかなと思いました。請求書からすると、NTTが料金収納を代行するような形で料金を支払うようなタイプのものだと思われます。光回線を使ったものが怪しいですが、それ以上のことはわかりませんでした。また今回の場合はことごとくアフリカの特定の国に向けての通話が行なわれたようで、その国に(通話先に何らかのカラクリがあるのかも知れません)電話することで利益を上げられることを見越してIP電話の乗っ取りをしたと考えられます。

 ここからは更に推測になりますが、IP電話を使うために必要なのはSIPアカウントとSIPパスワードになります。IP電話サービスには汎用のソフトやアプリを使っても、SIPアカウントとSIPパスワードさえわかればなりすましてさまざまなやり方で電話を掛けることができるものが多いです。今回の被害に遭った方は業務として固定電話でIP電話を使えるようなシステムを組んでいた可能性が高いですが、スマートフォンにアプリを入れるタイプのものでもSIPアカウントとSIPパスワードが盗まれれば同じ事が起きてしまうことに変わりがありません。

 ただ、今回の事に限っていえば、まずは国際通話ができないように設定をしておけばある程度の被害は防げます。ちなみに、スマートフォン用に普及しているIP電話は乗っ取りの被害には遭わなかったようですが、注意喚起のお知らせは回ってきています。そこで言われているのも国際電話の利用について、使わない場合はOFFにしておいてくれというものでした。主なサービス別の状況は以下の通りなので、必要に応じて設定の変更をおすすめします。ちなみに設定画面に入るためのパスワードはSIPパスワードとは別なので、そこまで心配しながら作業する必要はないと思います。ただ、登録したメールアドレスと設定用のパスワード自体を盗まれたりしたら、一連の設定も勝手にやられてしまうので、注意するに越したことはありません。

・FUSION IP-Phone SMART デフォルトで国際通話できないよう設定済
・050plus 設定の変更が必要
・LaLa Call 設定の変更が必要

 現在は過去に問題となった情報料を通話料と一緒にNTTが集金するダイヤルQ2はIP電話からは接続できなくなっていますので、国際通話をシャットアウトしておけばIP電話乗っとり犯人の目的が国内通話することでない限り大きな被害を出すことはないでしょう。ただ今後の事を考えて、IP電話各社も根本的な対策をお願いしたいところです。国内通話が定額になるような料金プランとか、国内通話については上限額を設定し、それ以上に通話料がかかってきた時点で発信を強制的にストップするとか、この他にもいろいろあるのではないでしょうか。この件については問題が解決しているわけではないため、ユーザー側からもできる対策を行なうことが大切です。実際に利用されている方は毎月の利用状況を確認し、おかしいと思ったらすぐに対処できるよう備えておくように心掛けたいものです。


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